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魔王の兄は旅をする  作者: 白波
森の迷宮編 プロローグ
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森の迷宮編 プロローグ

 その昔、世界はひたすら平坦で何もありませんでした。


 それがつまらないと考えた神様は、山を造り、海を造りました。


 それでもつまらなかった神様は、世界を階層状に変えました。


 それでも、つまらなかった神様は、生物を造りました。


 生物は、神様の意志とは関係なく勝手に進化していきました。


 進化を続けた生物は、神様の意に反して魔物となり、世界中で暴れまわりました。


 困った神様は、魔物が倒せるような高い知能を持った生物を造りました。


 最初は、協力していたものたちは、魔物がいなくなると対立し、分立していきました。


 片方は、人間と呼ばれ、もう片方は魔族と呼ばれました。


 二つの種族はとても仲が悪く、常に戦っていました。


 そして、いつの間にか神よりも強い力を持った人間と魔族が現れて、それぞれの神様となりました。


 仲の良かった二人の神様は、これ以上大きな戦いが起きないようにするためにはどうしたらいいか考えました。


 そして、ある日考え付いたのです。


 それぞれの代表が戦うことによって世界を安定に導こうと、そうすれば代表以外が戦うことはないのだからと考えたのです。


 こうして、人間の神様は勇者を造りました。


 対して、魔族の神様は魔王を造りました。


 それからというもの、それぞれの称号を受け継ぐ者たちが代々争うようになり、二人の神様の目的は達成されたのでした。


 でも、それが面白くない人たちもいました。


 その人たちは、神様になるために天に昇りました。


 その人たちは、観測者となりました。


 この世界は、出来損ないの神様が造りだした出来損ないの世界なのです。


 ---王宮図書館 迷宮創造伝説より抜粋




 *




「……でなんでこうなってるんだろうねー」


 真っ黒なローブに身を包んだ青年はいかにもめんどくさいといった様子で頭をかいていた。

 彼を囲んでいるのはこのあたりを根城にしている盗賊団で「命が惜しけりゃ金目の物を置いていきな」などとあまりにも典型的(テンプレート)なセリフを吐いているのだから、少しばかり呆れてしまう。


「俺らを前にして堂々としてやがるじゃねぇか!」

「めんどくさいけど、その言葉そっくりお返しするよ。まぁ僕は一人だけど」


 刹那、男たちのうち一人の首が飛び、青年は別の男の後ろに涼しい顔をして立っていた。


「まだやる? 急いでるから手短に済ませたいんだけど」

「この野郎! よくもやりやがったな! いいか! 野郎どもやっちまえ!」


 リーダーらしき男が盗賊の士気を上げるためかそんなことを叫んでいる。

 それにこたえるかの如く、さっきまでおっかなびっくりだった男たちは、再び武器を手に取ってこちらへ向けた。


「まったく。それ完全に死亡フラグでしょ。それに俺の手の届く範囲にお仲間の首があることをお忘れなく」


 手に持ったナイフで素早く男の首を切り落とし、返り血を頭からかぶる。

 ナイフを軽くなめた後にその切っ先を別の男へ向けた。


「ばっ化け物……」

「そりゃどうも。非常に面倒なことに妹が魔王なんてものやってるからさーある意味ほめ言葉かもな」


 ついでに別の男……めんどくさいから盗賊Cとしよう。ちなみに一人目の犠牲者が盗賊Aで二人目が盗賊B、生きている奴らは右からD,E,F,G,Hだとすると、頭は奥でどっしりと構えているHだろうな……てっとり早くこの場を片付けるなら、さっさとHの首を落とすのが最優先だろう。だが、Hを守るように立っている壁があまりにも邪魔だ。


「めんどくさ……」


 あと二人も首を落とさなければならないと思うと気が滅入ってくる。

 だが、どうせ捕まえて役人に突き出したところで十中八九縛り首なのだから、誰が手を下したところで変わらないのだが……


「わざわざ手間かけさせないでくれる?」


 これ以上返り血を浴びたくなかったのでナイフを持ちかえてFを殴り倒した後、後ろの方にいたHに急接近しナイフを振るう。Hの首はあっという間に胴体とさよならを告げて地面へと落下した。


「ごめんごめん。さっさとリーダー殺っちゃったけど、またつづけるの?」

「ひー! 逃げろ! 殺されるぞ!」


 Gが叫びながら逃げて行ったのを皮切りに残りの男たちが一斉に逃げ出していった。


「おーい! 忘れ物があるぞー!」


 忘れ物というのは足元に転がる人間だったものなのだが、こればかりは残されると非常に後味が悪い。


「まぁいっか」


 軽く魔法でそれを焼いた後、すすを払ってその場に背を向け、目的地へ向け歩き出さした。

 さて、プロローグからこんな感じでしたが、基本的にはほのぼの旅をしているような予定です。


 これから、よろしくお願いします。

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