後日談・フィルと汐2
「俺は……っ、ずっと〈子供の姿〉なんだぞっ!?」
わかっていた。
わかっていた、筈だった。
汐はごくりと唾を飲み込む。
それは想像するよりもずっとーー
重い言葉だった。
栗色の瞳を揺らす。
向かいにあるフィルの蒼い瞳が歪み、息を継いだ気配がした。
「今はいいかもしれねぇが。……お前が二十歳になったら? 三十路になったら? 四十路になって……」
「……っ」
「五十になって、六十になっても! 俺は、子供のままだ! ーーどうみたって、祖母と孫にしかなンねぇのに!!」
悲鳴じみたフィルの声が胸を裂いて。
溢れ出る涙を、零れる嗚咽を留めようとする。
だが。
温かな愛しいモノと、氷の刃が胸を突いて。
うまくいかない。
目を、閉じてしまいそうになってーー
強引に引き寄せられて、胸の中に抱き込まれる。
激しく脈打つフィルの心音に、耳を疑う。
「汐とそうなるならーー……」
同じ時間を刻みたい。
それは、声にはならなかったけれど。
汐にはわかった。わかって、しまった。
栗色の大きな瞳から。
ポロリと輝く雫が溢れた。
声が、震える。
「……いい」
「っ」
「それなら、いい」
小さな手を精一杯伸ばして。
フィルをぎゅうと抱きしめ返した。
夜の闇を、朝の光が引き裂く中。
最初の少年と最後の少女は約束を交わす。
永遠に。
魂と共にあるという、その契約をーー
〈終〉
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
時間の流れが違う二人が、それでも「一緒にいる」を選ぶ話でした。
その選択をどう受け取るかは、読んでくださった方に委ねたいと思います。
また、別の作品等で、お会い出来たら嬉しいです。
ありがとうございました!




