表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
穴から落ちたソコは異世界でした  作者: 森都 めい
第5章 再び 王宮 リーガル城で
83/195

82. パレード 1

ブクマ登録をありがとうございます。


 パレードの日がやってきた。空は清々しい青空。雨期の合間の青空だけど、日ごろの行いがいいのかカラッとしている。私たちは契約の儀式のときの白い衣装を身に纏い、馬車に乗り込んだ。選ばれし者が乗る馬車は、日よけで屋根には幌が被せてあるが、顔が見えるようにオープンカーのようになっている。スポーツ選手の凱旋パレードのようでちょっと恥ずかしい。



 先頭の馬車には陛下と皇后様。2台目には皇太子殿下ご夫妻と第2皇子、第4皇女が乗っている。その次が私たちの馬車で、最後尾には魔法管理庁の人たちが乗る馬車が付く。合計で馬車が4台、それに私たちの周りには護衛の騎士団の騎馬隊。華やかなパレードだ。


 今は出発前の待機状態。もうすぐ出発らしいが、まだ周りの人たちがせわしなく動き回っている。私たちの馬車はオープンだから気軽に話しかけられるので、騎士団の方達が挨拶に来てくれた。


「今日は護衛をさせていただきます。皆さん、よろしくお願いします」

 第3騎士団から、カールさん、ショーンさん、ケイトさん、ジュディさんがこの馬車についてくれる。ワーズコートの街でもお世話になったから、顔見知りだし心強い。彼らと話していたら、別の顔が現れた。


「ルイ嬢、お久しぶりです。お元気でしたか」

「え?! あれ? シュトリー様? シュトリー様は騎士団の方だったんですね」

「そうです。今日はルイ嬢をお守り致しますので、ご安心ください」

「え? でもその制服は第3騎士団ではないですよね…」

「これはレンリベット卿。朝から騒々しい方だ。あなたの持ち場はここではないはずです」


 シュトリー様も馬に乗っているので、私たちと目線が同じくらいだ。ジークもこちらに来て私とシュトリー様の間に入り、会話に割り込んできた。


「あれ? レンリベット様、ここは選ばれし者様の馬車ですよ」

「レンリベット様、向こうで第1騎士団団長が探していましたけど…大丈夫ですか?」

 第3騎士団のショーンさんとケイトさんが、シュトリー様を見ると次々に伝えた。


「早く行った方がいいのでは?」 ジークの口調がきつくなる。

「…私はあきらめませんからね。今日はこれで下がりますが。ルイ嬢、何かありましたらすぐにシュトリーに言ってください。では失礼」


 彼は第1騎士団だったんだ。私より陛下たちをお守りしてください。そうじゃないと、私の方が罪に問われそうだよ。


「しょうがないヤツだな。しっかり陛下をお守りしろよ」

「彼は結構いい子なのだけど…。でもちょっと周りが見えなくなるタイプかしら」


 アル様に彼の年齢を聞くと、確か20歳ぐらいかな、との答え。私より年下?! 確かにあまり周りが見えていない。私としては今後あまり会わないことを願うよ。



 それから少しした後『開門!』の声が響き渡った。いつもは閉まっている重厚な門がギギギーと音を立てながら開いていく。王都の街のメインストリートにつながる門から私たちは出発するのだ。

 私は開錠されるところを見たくて少し馬車から身を乗り出した。すごーい! でもまだ街は見えない。その向こうにあるお堀にかかる橋がまだ上がっているからだ。


『向こう側の橋も下ろされると、いよいよ出発ですわ』

『うん! こんなの、初めて見るよ。まるで映画のセットのよう!』


 ウェンティアと一緒に前の様子を眺める。精霊たちは飛ぶことができるから、この様子をハッキリ見ることができていいな。

 橋が下ろされ、ガタンっと大きな音が響いた。それからラッパのファンファーレが高らかに鳴り響くと、騎士団の馬を先頭に、一番前の馬車が動き出した。


「ルイ、もうすぐ動き出すから座り直せ。危ないぞ」

「はい、すみません、子供みたいで」

「リュカもちゃんと座るっすよ。まぁ、リュカは落ちても何とかなりそうだけど」

「ゆっくり動くのなら、落ちても問題ない」

「そんなこと言ってないで、まずは落ちないこと! いい?」

「わ、わかってますよ」


 相変わらずリュカはアル様と話をするときは顔が赤くなるね。

 馬車はゆっくりと進む。私たちの馬車は3台目だから、なかなかお城から出られない。やっと門を越したと思ったら、歓声が聞こえてきた。橋を渡って王都の街へ入ると、さらに歓声が大きくなる。


「陛下~ ばんざ~い」

「皇太子さま~」

「キャー、騎士様~」

「おぉ、選ばれし者様が見えてきたぞ~」


 私たちに課せられた使命は、絶えず笑顔で手を振ること。何があっても笑顔でいてくださいとベイグ宰相に言われている。初めはいいけど、きっと最後の方になったら笑顔も疲れると思うんだけど、やらねばならない。

 でも、沿道にいる人たちの顔も、みんな笑顔で手を振ったり拍手したりしている。腕を大きく振っている人もいる。こんなにたくさんの人たちが選ばれし者を応援してくれているんだな。そんな人たちの笑顔を見ていると私もつられて笑顔になっちゃう。

 やっぱり自分がここの立場にいることが信じられないよ。



 少し経った頃、フランが手を振りながら大声で言い出した。

「父ちゃ~ん、母ちゃ~ん。俺、ここっすよ~」

「え、フランのご両親も来ているの?」

「ああ、見に来てくれているっすよ! 両親と妹、お姉とその旦那」

「みんなで見に来てくれたんだね。どこどこ~?」

「ほら、あそこで手を振ってる人たちっすよ」


 フランをおじさんにした感じの、赤い髪をした人が手を振っている。あの人かな。その隣に女性3人と男性1人が笑顔で手を振っていた。


「フラン、お父様にそっくりだわ」

「ふふ、私も思いました! フランもおじさんになるとあんな感じになるんでしょうね」

『確かに』


 イグニティオもそう思うみたい。みんな優しそうな人たちだね。息子の晴れ姿を見れて、お父さんは満足そうな顔をしているよ。

 しばらくすると、馬車が止まった。

「すみません、前の方で何かあったみたいで、少し止まります」


 護衛をしてくれているカールさんが伝えてくれた。と、今度はリュカが手を振って声を出した。


「お~、ここだぞ~」

「うわ、今度はリュカの知り合いなの?」

「あぁ、ほら、あそこに…覚えているか? ワーズコートの市長がいる」

「あら、ホントだわ。見に来てくれたのね」

「は、はい。そして、その隣に両親」

「あ~、リュカはお母さん似っすね」

 馬車がちょうど止まっているのでよく見えるね。


「そしてその隣が嫁と子供」


「「「…え、え~っ? なんだって~?!」」」

「止まってますけど、大声は出さないようにお願いします」

「すみません」


ジュディさんに言われてしまったので一応謝っておくけど、今はそれどころじゃない!


「ちょ、ちょっと待った~。リュカは奥さんがいるっすか?」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「言ってないよ~。聞いてないよ~。どういうこと?」

「どういうことって、意味わかんねーし」

「リュカは結婚が早かったのね」

「は、はい。獣人は婚姻が早いので」

「は~、最近の中で一番驚いたっす。ねぇ、ジークは何で驚かないっすか?」

「俺は、リュカを迎えに行ったときに、挨拶している」

「えー、ジークは知っていたってことっすか? それは言ってくれよ~」

「俺がわざわざ言うことでもないだろう」

「確かにね。ジークはそう言うことは言わないわね」

「お話もいいですけど、見に来てくれている方達に手を振ってくださいよ」

「すみません、すみません!」


 今度はショーンさんに言われてしまった。リュカの奥さんらしき人に頭を下げると、向こうも気が付いてくれてぺこりとしてくれた。


「リュカの奥さん、めっちゃ可愛いね~」

「当り前だ。俺の嫁だ」

「く~、いいねぇ。私も言われてみたいよ、そんな風に!」

「え、ルイも可愛いと言われたいのか?」

「そこじゃなくてですね。自分の知らないところで褒めてくれる旦那さんっていいじゃないですか!」

「あー、わかるわ! クレイグは褒めてくれるかしら」

「アル様、何をおっしゃってますか! 心配ご無用。クレイグさんは、アル様の目の前でもいないところでも、常にアル様を褒めてくれていると思いますから大丈夫です!」


「「「絶対そう!」」」


 全員の意見が一致したところで、馬車が動き出した。



読んでくださり、ありがとうございます。


面白い、次が読みたい、と思ってくださった方、いいね!や、ブクマ登録、評価をよろしくお願いします。

とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ