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穴から落ちたソコは異世界でした  作者: 森都 めい
第2章 ディングルの街で
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21. 隠し事はやっぱりバレるもの

評価をいただきました!

ブクマも登録していただきました。

ありがとうございます。

楽しく読んでいただけると嬉しいです!


 ジークさんがボアボアを見事に退治してくれた後、私たちはまた薬草採りを続けた。ジークさんも時折周りの様子を確認しながら進んでくれた。


 私は主にマヒ消しや毒消しの薬草を摘んでいた。他にも食べられそうな木の実などもあり楽しみながら摘んでいく。案外草が生い茂っているところにひょっこり生えていたりするので、草をかき分けながら探してみたりもする。その中に知らない草も生えていた。



『あら、これは薬草かな。目に魔力を少し送って “鑑定” えーと、これは…』

『ジーク、向こうで魔獣の群れに襲われている馬車がいるぞ』


「「えっ!?」」 と、ジークさんと私の声。

「「はっ!?」」 と、ジークさんと…なんだこれは!

「え、妖精さん?」 あれ、このセリフ、デジャブ。ということは…

「違う。精霊さん?」


 ウェンティア以外の精霊って初めて見た! 薄い水色の少し長めの髪を無造作に縛り、ラフな格好をした小さな人が宙に浮いていた。全体的に少し青みがかっていてとても綺麗だ。精霊って美形が多いの? 綺麗過ぎてガン見してしまった。


「おい、お前、俺が見えるのか? 俺の声が聞こえるのか? あー、やっぱりお前、選ばれし者だな!」

「え、私…」

「なんで今までわからなかったんだよ~。え、俺たちがわからなかったって、それってつまりもしかして、お前、レベル5ってこと? どうなんだよっ!」

「あの、えっと、私…」


 精霊さんはとても怒っているようで、その剣幕に私は圧倒されてしまい言葉がつまってしまった。

 ふわんっ! そこにもう一人の精霊が現れた。


「おぉ、お前、ウェンティアか? 突然現れるなよ! っていうか、こいつ、ウェンティアの選ばれし者なのか?」

「ほらほら、説明はあとよ。向こうで襲われている人たちがいるんでしょ? 早くいかないと被害が大きくなりますわよ」

「そうだった…ぐぬぬ…ジーク、行くぞ。おい、ウェンティアとお前、あとでみっちりと説明してもらうからな、覚悟しとけよ!」

「アクティオはまたその “俺様キャラ” なのね」

「俺はいつも変わらないんだ。そういうウェンティアは…それやめろよ」

「あら、私はとても気に入っていますのよ」


 精霊2人は顔見知りのようでとても仲がよさそうだ。お友達なのかな。


「ルイ、襲われた人は怪我をしていると思う。危ないところに行くがついて来て欲しい」

「は、はい、私も一緒に行きます」


 ジークさんは急な展開のこの状況に、ついていけていないような顔をしていた。あ、ウェンティアのことは見えていないんだったかな? 何か私に言いたそうだけど今は言わずに、魔獣退治のことだけを伝えてくれた。

 はー、こういうタイミングでバレるのね。というか、あのアクティオと呼ばれていた精霊がジークさんの精霊なら、ジークさんも選ばれし者ってこと? えー! 全然わかならなかった。

 え…ウェンティアは知っていたの? だからジークさんたちに近づかなかった? じっくり考えてみたいところだけど、私もあれよあれよという間にこの状況に巻き込まれている…ちょっとキャパオーバー。

 でも今はそのことについてはあまり考えずに、とりあえず目の前の魔獣退治に集中しよう。


「ルイ、すまんが担がせてもらう」

「え? 担ぐ?」


 ジークさんはそう言うと私をいわゆる “お嬢様抱っこ” で抱き上げた。うそでしょ?! さらにこの状態?! なぜこうなるの!


「俺は身体強化をして早く走れるんだ。ルイはそのスキルはないだろう? しばらく我慢して欲しい。アクティオ、案内してくれ」

「では行くぞ。ちゃんとついて来いよ」

「しっかり掴まっていろ、しゃべるなよ」


 ジークさんが私の耳元でささやく。

 だからっ! その低音ボイスで耳元に言わないでっ! と思ったとたん、ジークさんが走り出した。


『落とされる!』


 そう思った私は一気に思考が飛び、振り落とされまいと無我夢中で思い切りジークさんの首に手を回し肩に顔をうずめた。

 すごいスピードで走っているのか、振動が伝わってくる。しゃべるなと言われた意味が分かった。この振動では舌をかみ切りそうだ。私は歯を食いしばり腕に力を込めた。ジークさんの温もりが伝わってくる。息遣いが聞こえる。落とすまいと私を抱えるジークさんの腕の力を感じる…。肌に感じるスピードは怖いはずなのに、なぜか私は気持ちの落ち着きを取り戻していた。



 しばらく走ったあと、獣の声が聞こえてきた。ワーワーと叫んでいる人の声もする。ジークさんのスピードが緩んだ。


「ルイ、下ろすぞ。そこにまず2人、怪我人がいる。治療してやってくれ。俺は向こうの魔獣を倒す」

「はい、気を付けて」


 ジークさんは私を下すと、そのまま馬車の向こう側で魔獣と戦っている人たちの中に加わり退治し始めた。

 そこへ、ぬっとミカヅキが顔を地面から現した。


『僕、こっち側の魔獣、倒してきてもいい?』

「え、こっち側からも来るの? ミカヅキ、助かるよ、お願いするわ」


 私の言葉を聞いて、ミカヅキはシュッと飛び出て行ってしまった。怪我をしている2人はぐったりしていてミカヅキには気がついていないみたい。よかった。


『私も周りを警戒しているからルイは治療に専念していいわよ』

『ありがとう、ウェンティア』



 私は怪我がより深そうな人の方から治療を始めることにした。今回襲ってきた魔獣はレッドウルフの群れだ。ブラックウルフよりは小柄だが、群れが大きな数で移動するので、倒しても倒してもまだいる、というような厄介な魔獣だ。鋭い爪と、大きな口と牙で襲い掛かってくるので、まともに攻撃を食らうと傷が深くなってしまう。また、武器の傷と違って多少の魔素も纏っているので、治り方が遅い。


 足や手にある傷口のあたりを見ると、うわー、痛みがこっちにも伝わってきそうだ。服で傷口は隠れていてあまり見えないけど、血がべったりとついていて傷が深そう。まずは浄化をしておいた方がいいかな。私はスマホで、スキルに浄化を選び、傷口に手をかざして浄化という消毒をする。


 治癒魔法といっても、かすり傷程度ならすぐに治せるけど、深い傷の場合は治癒力を高めるように魔法を送り、全部を治すのではなく多少は自分で回復させるらしい。傷はふさがってしまうので見た目には治ったように見えるけど、体の中の方は自分の力で治させるのよ、とウェンティアが言っていた。

 治癒魔法を送り傷を治していく。手助けをする感じで、ある程度送り終わったら回復魔法も送っておく。最後に眠り薬を2滴ほど口に含ませる。普通は水で薄めて飲むものだけど、深い眠りにつかせたいので原液を飲ませた。自己治癒にはやはり眠るのが一番いい。あと半日くらいは眠り続けるだろう。



 ジークさんの方を見ると、ウォーターフローの魔法を展開していた。ジークさんの精霊も水属性らしく、2人の魔法が合わさると、なんと氷魔法に変化してアイスフロアになっていた。スゴイよ! 同じ属性だと倍になるのではなく、より強化な魔法になるんだ。足場を固められたレッドウルフたちは動けず、ジークさんにサクサク切られていた。ジークさん、強すぎる。

 2人目を治している途中でミカヅキから念話が入った。


『ルイ、ごめん! 2頭がそっちに向かったよ。気を付けて』

『了解、連絡ありがとうね』


 私はウェンティアを見た。ウェンティアも今の会話を聞いている。レッドウルフなら前にも倒したことがあるから多分倒せると思う。


『魔獣が来ます!』


 ウェンティアが気配を察知した。私は一旦治療を止めて両手を魔獣が来る方へ付きだす。

 見えた!


『ウェンティア、行くよ。せーの!』

「「ウィンドブレード!」」


 ウェンティアと合わせて魔法を放つ。片手から一つずつ風の刃が放たれた。ウェンティアの風魔法も合わさり勢いよく2枚の刃が飛んでいく。


シュン、シュン


 よっしゃ! ウェンティアのコントロールもあり、見事命中。さらさらと2頭のレッドウルフが霧散していく。

 私はまた治癒魔法を再開し、2人の治療が終わると別のところで動けなくなっている人のところへ行き、全部で4人の治療をした。


読んでくださり、ありがとうございます。

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ご連絡があった時は自動修正させていただいています。


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