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穴から落ちたソコは異世界でした  作者: 森都 めい
第2章 ディングルの街で
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20. 一緒に薬草採りをしています

いいね!をありがとうございます。


 畑と森との分かれ道でおじさんにお礼を告げ、馬車とお別れをした。ここからは徒歩になる。


「では、森へ向かいましょう。結構歩くことになりますが大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない。大丈夫だ」


 さすが護衛慣れをしている。いつも王都から護衛をしてくるんだもんね。こっちの世界の人に『歩きは大丈夫か』なんて聞いたのが間違いでした!

 木々が多くなってくると、ちらほらと薬草が見え始めた。私はそろそろ薬草を採りながら行こうかな。


「ルイ、薬草とはどれなんだ? 教えてくれ」

「え? 本当に薬草を採るんですか?」

「は? 当たり前だ。薬草を採りに来たのだろう?」


 薬草採りなんて言い訳で、彼は暇つぶしに森に来たのかと思っていた。この人、真面目な人だなぁ。そういうことなら、ちゃんと採ってもらおう。


「では、一番わかりやすい回復草を採ってください。回復草はですね、えーと、あ、これです。葉の先がギザギザしている草です。葉の先っちょだけですよ。全体がギザギザになっている草は違いますから気を付けてくださいね」

「うーん、何となくわかった…」

「一か所に止まってしまうと時間がかかってしまいますので、歩きながら探して進みましょう」


 ジークさんは首を傾げながら、時々止まっては『違うな』とか言って進んでいる。ほらほら、そこにもあるのにスルーしていますよ。まぁ楽しみながら摘んで欲しいね。私の方は、回復草以外の草を採りながら歩いた。


「ルイ、これはどうだ?」 ジークさんが採った草を見せながら私を呼び止めた。

「これですか? ジークさん、残念! 惜しいです。ほら、ここのところ、葉の真ん中ぐらいまでギザギザになっちゃっていますよ。先だけギザギザです」

「ダメなのか? そうか…なかなか難しいな。もっとどっさり採れると思っていた」

「そんなにどっさりは採れませんよ…。これも慣れですね。最初は量より、草とか花とか周りの景色なんかを楽しみながらやってみてください。楽しむことが一番です」

「楽しむか…わかった。薬草採りで、ルイが俺に期待していないのもわかっていたが…。のんびりやらせてもらうよ」

「ふふ、そうしてください」


 今まで頑張って採ろうと思ってくれていたのだろう。気負ったところが抜けて、いい感じの顔つきになった。そうそう、楽しんでくださいな。

 時々薬草について話をしながら、黙々と二人で薬草を採っていく。ミカヅキは途中で、ちょっと離れて狩りをしてくると行ってしまった。魔獣はミカヅキがほとんど狩ってくれるので助かるよ。



 気が付けば日も高くなっていた。いつも休憩するところより手前だけど、木が倒れてちょうど良い座り所になっている場所があったので、昼食タイムにすることにした。

 2人で倒れた木に座って、テルナさんが作ってくれたサンドイッチをほおばる。なぜこんな状況になっているのか考えると不思議だけど…。でも、何となくこの人といても苦にならないと、そんなことを考えていた。


「ルイ、俺がゆっくり摘んでいるから全然進んでいないんだろう?」

「いつもよりはペースがゆっくりですけど、私もじっくり観察しながら採ってますから気にしないでいいですよ。ジークさん、薬草採りはどうですか」

「いつもの忙しい毎日と違って、のんびりできて、森も薬草採りもなかなかいいな。ルイはどうだ?」

「ジークさんが回復草を採ってくれるので、私は他の薬草を採ることができて、私もいつもの薬草採りと違っていいですね」

「そうか! それならよかった。そういえばちょっと気になったんだが、この辺りは魔獣が出てこないな。いつもこんなにいないのか? 森にはもう少し魔獣がいるのかと思っていたが…」

「え、あ、そーですね。今日は特別いないかな~。昼間だとあまり見かけない気がします…」


 失念していた! ジークさん、薬草採りは二の次で、同行してくれたのは護衛のためだった。

 食べ終わってバッグの中を整頓している振りをしながら、ミカヅキに念話を送る。

『ミカヅキ、ちょっと聞いて!』

『どうしたの?』

『スゴク頑張って狩りをしてくれているのはわかっているんだけど、魔獣を1匹か2匹ぐらいはこっちに送って欲しい」』

『えー、なぜ? 僕、全部狩るのが楽しいのに』

『一緒にいるジークさんが、魔獣が全然いないって不思議に思っているんだよ』

『そんなの、そいつにそう思わせておけばいいよ』


 ミカヅキは私とウェンティア以外の人にはホントに無関心なのだ。


『そんなこと言わないで。ね、お願いだよ』

『その人、ちゃんとやっつけることができるの?』

『ジークさん? 戦っているところを見たわけじゃないけど、強そうだよ』

『その人、ちゃんとルイを守れるの? それができないなら、僕がそっちに行って魔獣を倒すからね。それでもいいなら少し魔獣をそっちへ送るけど』

『うん、ミカヅキ、私のこと心配してくれてありがとう。多分大丈夫だから、お願いね』


 魔獣をこっちへよこして欲しいなんてとんでもないお願いだけど、言われてみればあまりにも魔獣がいないのも変だ。最近は、ミカヅキの体つきも大きくなり強くなったから、小さい魔獣はあまり近寄ってこないんだよね。

 ミカヅキと話がついたところで、さて、そろそろ午後の部を始めますか。



「ジークさん、もう少し奥へ行ってから街へ戻ってもいいですか?」

「俺はかまわない。ルイがそうしたいんならそれでいい」

「はい、護衛というジークさんもいますし、せっかくなのでもう少し薬草を採りたいですね」

「了解した。では行くか」


 私たちは休憩を終え、また薬草採りを再開した。新緑の季節は新芽が伸び始め、いろいろな植物が成長し始めていた。今までに見たことのない薬草も芽を出している。

 今日、森に来た一番の目的はミカヅキを走らせてあげること。薬草採りは私にとっても二の次だけど、季節ごとに育つ薬草もあるようで、探すのも楽しい。

 この世界も四季があるようだ。私は秋、冬、春と過ごしてきたから、予想通りにいけば夏がそろそろ来そうかな。



 しばらくすると、ミカヅキから念話が来た。

『ルイ、そっちにボアボアが行ったよ。気を付けてね』

『了解』


その念話をしたあと、すぐにジークさんが反応した。


「んん! ルイ、魔獣がくるぞ。下がって!」

「は、はい」

 この人スゴイ! 気配察知のスキルを持っているのかな。ジークさんは私を木の陰に押し下げ、剣を構えた。


 ダダダダダダ、バキ、バキ


 足音が近づいてきた。多少の木々は問題ないほどの勢いで突進してくる。ミカヅキがボアボアと言っていたね。ボアボアは名前は可愛いけど、私たちが知っているイノシシより二回りほど大きい体格の魔獣だ。ひるむことなく突っ込んでくるので、間合いの取り方が難しい。


 ジークさんは剣を構えたかと思ったら自らも突進していった。ボアボアは突っ込んでくる怖さを除けば、直進で来るので軌道は読みやすい。とはいえ、あれを一撃で倒せるのか?

 そう思って木の陰から見ていると、ジークさんの剣が光りだした。魔法を剣に纏わせているんだ! すごい! まだボアボアとの距離はあるけど、ジークさんは剣を下から上に一振りした。すると剣から水の刃が放たれた。ウォーターカッターみたい。ザクッと体に当たりボアボアのスピードが落ちたが、それでもまだ突っ込んでくる。今度は魔法で傷ついたところに剣を直接振り下ろした。

 一刀両断! ボアボアの体が真っ二つになり、その後さらさらと霧散していく。



「ジークさん、大丈夫ですか! っていうか、楽勝のようでしたね。ありがとうございました」

「俺は大丈夫だ。ルイはどうだ?」

「はい、私は木の陰から見ていただけでしたので。どこかお怪我はありませんか。これでも一応治療はできますよ」

「今はどこも怪我はない。そうだったな、ルイは回復薬が作れる光属性か。それは頼もしい」

「いえいえ、頼もしいのはジークさんですから!」


『ミカヅキ、大丈夫だったよ。ジークさん、スゴイ人だよ! 強いよ』

『うん、僕も遠くから見てた。でも僕なら一発で仕留められるよ、ふんっ』



 ミカヅキは出番が減ってちょっとご機嫌ななめだ。拗ねてるところもホント可愛いんだよね~。あとでたくさん褒めてあげなくちゃ。



読んでくださり、ありがとうございます。


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