最終話 その全てがもう遅い
こんにちは魂夢です。え!?最終話!?と思う方が多いと思います。
これには理由がありまして、私の方にドリョコメがパクリだというご指摘を頂きました。
私としてはこの指摘を重く受け止めたい所存です。
つきましては、ドリョコメを大幅に修正して、また投稿したいと思います。
そのために、一週間だけ時間をください。
必ず戻ってきます。
約一ヶ月半の夏休みが、今日で終わる。長いようで短い夏休みだった。いや嘘普通に短いわ、もう一年間夏休みでいいよ、学校行きたくねぇし。
俺はベットにぐでーっと横たわって、この間買った本を開く。
きりのいいところまで読み終わると、俺はなんだか読み進める気になれなくて本をパタリと閉じた。
明日からまた学校が始まるのかと思えば、憂鬱になる一方で、また彼女らと会えるのかとほんの少しだけ嬉しく思う。
けれど、大倉の問題がその喜びを純粋に喜ばしいと思わせてくれない。
正直、イジメを受けるのは別に良い。例え百人が俺をイジメてきても、一人俺のそばで理解を示してくれる友達がいたならば、耐えることができるから。
でも、もし田中にまた被害が及べば、俺は打つ手が無い。だから今俺にできることは大倉に飽きられないようにすることだ。
大倉が俺を標的にするかぎり、問題は何も無い。はずだ。
少なくとも、俺はそう信じてる。
……いやそれは噓だ、本当は、信じることしか、俺にはできないだけなのだ。
○
その次の日、俺は夏休み前と同じように学校に向かった。そして授業を受け、大倉たちから嫌がらせを受け、暴力を受け、その後部活へ。
ゆっくりと、スーっと部室の扉を開ければ、部屋にいたのは扶桑花だけだった。彼女は俺が初めてこの部室に来たときと同じように、窓を見ている。
まるで世界が滅亡しようとも、ここで同じように窓を見ているんじゃないかと錯覚する。それくらい、外の景色を見つめている彼女は現実離れしていた。
俺が後ろ手で扉を閉めると、扶桑花は俺に目を向ける。
「こんにちは」
「……おう」
っぶねぇ、「こんにちは魂夢です」って言われるのかと思ったぁ、怖ぇ。
俺がいつもの椅子に腰掛けると、彼女はあれっと口にした。
「恋綺檄さんは?」
「俺が教室を出た時はまだ柳たちと雑談してたぞ」
だからもう少しかかるだろう。というのを言葉にはしなかったが、彼女は理解してくれる。
そこから俺と彼女の会話はプツンと途切れ、沈黙だけがこの部屋を埋め尽くす。
この部活に俺が加入してから早いものでもう四ヶ月ほど。けれど、未だにこの空気感には慣れない。
俺が大倉からイジメを受けたあの日から、部室にはギクシャクとした物を残しながら、それに気づかないふりをして、忘れた気になって、そして本来なら解消すべき問題をあの時間に置いてきてしまった。
いつもなら、沈黙を生まないように恋綺檄があれやこれやと話を始めてくれる。だから俺たちは、いや俺は、もう無かったかのように思っていたのだと、再確認、否、再認識する。
無かったことにはならないという事実を、この場の空気感が俺に突き付ける。
あの時の俺は間違えたのだろうか。田中を守り柳たちを守り、そして彼女たちを守った。その代償として俺がイジメを受ける。
俺がイジメを受けるのは問題ではないから、問題を解消している。
それなのになぜ、この部室はこんなにも息苦しいのか。
俺は大きく伸びをした。この息苦しさを忘れようと、息を吸って、吐く。それでも、苦しさは無くなってはくれなかった。
その時、部室の扉が開かれる。
「ごめん! 柳たちと話してたら遅くなっちゃった!」
小走りでテトテト俺たちの方へやってくると、恋綺檄はいつもの椅子に座った。
そして、この空気感を感じたのか、一瞬俺と彼女に目を向ける。俺は、そっと目を逸らしてしまう。やましいことなんて、無いのに。
「……あ、あのね! この間ね」
今まで通りの明るい声音で話題を提供してくれる恋綺檄。いつもならかわいらしいとしか思わない。
だけど、今日だけはなぜか、その話し方が、その振る舞いが、妙に痛々しく感じた。
○
結局、俺たちは違和感に目を向けること無く時間が過ぎた。一週間、一ヶ月、一年と。
俺たちは絶妙な今日を保ちつつ、何も変わらず、ぼっち部が廃部になった。
数年が経過した今でも、あれで良かったのかと、俺は自問する。
けれどその全てが、もう遅い。
五月二十五日、もしくはもっと早いかも知れません。
来週には必ず戻ってきます。
修正版ではストーリーは基本的に変えませんので、張った伏線を全て回収しまので安心してください。