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努力嫌いな俺のラブコメ  作者: 魂夢
第三章 そうして彼ら彼女らの夏休みが始まる
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最終話 その全てがもう遅い

こんにちは魂夢です。え!?最終話!?と思う方が多いと思います。


これには理由がありまして、私の方にドリョコメがパクリだというご指摘を頂きました。

私としてはこの指摘を重く受け止めたい所存です。

つきましては、ドリョコメを大幅に修正して、また投稿したいと思います。


そのために、一週間だけ時間をください。

必ず戻ってきます。

 約一ヶ月半の夏休みが、今日で終わる。長いようで短い夏休みだった。いや嘘普通に短いわ、もう一年間夏休みでいいよ、学校行きたくねぇし。


 俺はベットにぐでーっと横たわって、この間買った本を開く。

 きりのいいところまで読み終わると、俺はなんだか読み進める気になれなくて本をパタリと閉じた。


 明日からまた学校が始まるのかと思えば、憂鬱になる一方で、また彼女らと会えるのかとほんの少しだけ嬉しく思う。

 けれど、大倉の問題がその喜びを純粋に喜ばしいと思わせてくれない。


 正直、イジメを受けるのは別に良い。例え百人が俺をイジメてきても、一人俺のそばで理解を示してくれる友達がいたならば、耐えることができるから。


 でも、もし田中にまた被害が及べば、俺は打つ手が無い。だから今俺にできることは大倉に飽きられないようにすることだ。


 大倉が俺を標的にするかぎり、問題は何も無い。はずだ。


 少なくとも、俺はそう信じてる。

 ……いやそれは噓だ、本当は、信じることしか、俺にはできないだけなのだ。



 その次の日、俺は夏休み前と同じように学校に向かった。そして授業を受け、大倉たちから嫌がらせを受け、暴力を受け、その後部活へ。


 ゆっくりと、スーっと部室の扉を開ければ、部屋にいたのは扶桑花だけだった。彼女は俺が初めてこの部室に来たときと同じように、窓を見ている。

 まるで世界が滅亡しようとも、ここで同じように窓を見ているんじゃないかと錯覚する。それくらい、外の景色を見つめている彼女は現実離れしていた。


 俺が後ろ手で扉を閉めると、扶桑花は俺に目を向ける。


「こんにちは」

「……おう」


 っぶねぇ、「こんにちは魂夢です」って言われるのかと思ったぁ、怖ぇ。


 俺がいつもの椅子に腰掛けると、彼女はあれっと口にした。


「恋綺檄さんは?」

「俺が教室を出た時はまだ柳たちと雑談してたぞ」


 だからもう少しかかるだろう。というのを言葉にはしなかったが、彼女は理解してくれる。


 そこから俺と彼女の会話はプツンと途切れ、沈黙だけがこの部屋を埋め尽くす。


 この部活に俺が加入してから早いものでもう四ヶ月ほど。けれど、未だにこの空気感には慣れない。


 俺が大倉からイジメを受けたあの日から、部室にはギクシャクとした物を残しながら、それに気づかないふりをして、忘れた気になって、そして本来なら解消すべき問題をあの時間に置いてきてしまった。


 いつもなら、沈黙を生まないように恋綺檄があれやこれやと話を始めてくれる。だから俺たちは、いや俺は、もう無かったかのように思っていたのだと、再確認、否、再認識する。


 無かったことにはならないという事実を、この場の空気感が俺に突き付ける。

 あの時の俺は間違えたのだろうか。田中を守り柳たちを守り、そして彼女たちを守った。その代償として俺がイジメを受ける。


 俺がイジメを受けるのは問題ではないから、問題を解消している。


 それなのになぜ、この部室はこんなにも息苦しいのか。


 俺は大きく伸びをした。この息苦しさを忘れようと、息を吸って、吐く。それでも、苦しさは無くなってはくれなかった。


 その時、部室の扉が開かれる。


「ごめん! 柳たちと話してたら遅くなっちゃった!」


 小走りでテトテト俺たちの方へやってくると、恋綺檄はいつもの椅子に座った。

 そして、この空気感を感じたのか、一瞬俺と彼女に目を向ける。俺は、そっと目を逸らしてしまう。やましいことなんて、無いのに。


「……あ、あのね! この間ね」


 今まで通りの明るい声音で話題を提供してくれる恋綺檄。いつもならかわいらしいとしか思わない。


 だけど、今日だけはなぜか、その話し方が、その振る舞いが、妙に痛々しく感じた。



 結局、俺たちは違和感に目を向けること無く時間が過ぎた。一週間、一ヶ月、一年と。

 俺たちは絶妙な今日を保ちつつ、何も変わらず、ぼっち部が廃部になった。


 数年が経過した今でも、あれで良かったのかと、俺は自問する。


 けれどその全てが、もう遅い。

五月二十五日、もしくはもっと早いかも知れません。

来週には必ず戻ってきます。


修正版ではストーリーは基本的に変えませんので、張った伏線を全て回収しまので安心してください。


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