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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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同行者

お待たせしました。

 トウヤと名乗った青年はそう宣言すると、モズ隊長の返答を待つ。


「ええと、君はモミの知り合いなのかな?」

「はい、幼少の頃からの遊び相手で幼馴染おさななじみです」


 モズの問いにトウヤははきはきと答える。

 あー、そういえば以前そんな事をモミから聞かされていたっけ。

 それなら、身近にいる男女だから、恋愛感情抱いてもおかしくないはずなのだが、モミにはなかったのか?


「なるほど。ではここに来る前は何をしていたのかな?」

「モミ様が旅に出ると聞いたので、こちらもその準備をしていました」


 トウヤの言葉に間違いはないだろう。背中に大きな袋を背負っているのが証明しょうめいだ。


「ああ、うん、それは分かった。そうじゃなくて、君は都で兵士をやっていたのかな?」

「はい。それが何か?」


 モズはトウヤの鎧を見て判断した。国から支給された物だと分かる作りをしている。

 具体的には麻布でできた服の表面に銅板どうばんが並んでい付けてある物がそうなのだが。村で作られる鎧は、麻布を何重にも重ねた物を使う。まず銅という金属をどうやって手に入れるかというところから始まるから、こうはいかない。

 そういえば、近くに足尾銅山があったな。あそこから掘り出せば……、いやいや、カドミウムが怖いし、この時代では無理だろうか?


「ということは、その役割を投げ出して来たと?」

「失礼な。きちんと仲間には出て行くことを伝えて来ました」

「いつ頃に伝えたんだい?」

「都を出て行く直前です」


 トウヤの返答を聞いたモズが右手で額をむ。


「……君、ちょっとそこで待っててくれる?」

「はい」


 モズはトウヤをそこに置いたまま、俺たちに手招てまねきして場所を変えて尋ねてくる。


「君たち、トウヤ君をどう思う? 連れて行くかい?」

厄介やっかい事ですね」

「追い返した方が良いと思いますが」

「はいはーい、あたしもそう思います」


 タナソ、コウ、モミは追い返したい派だ。


「それが良いと思う。……だが、駆け出しの兵が増えた中で、訓練された者が入って来るというのは好機だ。是非ぜひ迎え入れたい」


 ブヤは三人に同意しかけたものの、部隊の強化ができることに注目した。

 実を言うと、俺もブヤの意見に賛成だ。


「そういや、カゼはあいつを知っているようだったが、どこで会ったんだ?」


 セリに話を振られたので、トウヤとの出会いを正直に話すことにした。

 都の中、モミと二人でいた所を問答無用で斬りかかられたこと。

 都の北の反乱の鎮圧に参加していて、人を斬ったせいで剣が刃毀はこぼれしていたことなどをげた。


「それは、また」

直情ちょくじょう的な奴だな」

「そんな奴が良く今まで部隊の中でやって来れたな」


 モズ、コウ、タナソが呆れた感想をらす。


「しかし、人を斬った経験があるのか……。戦力化すれば心強いことこの上ない」

「モズ隊長、どうします? 僕としては付き合いがみじかすぎるので、この部隊に入れて様子見したいのですが」


 ブヤがますますトウヤに興味を持った。

 俺は様子見をして、兵たちと相容あいいれないようなら追い出すつもりである。

 俺の言葉にモミが不満の声を上げる。


「ええ、入れんの? 斬りかかられたのに?」

「んー、あの時はお互いの立場が分かっていなかったから、そうなったんだと思う。今度はそうならないんじゃないかな?」

「優しすぎないか? ……まあ、お前がそう思うんならそれで良いけどよ」


 楽観らっかん的な俺の予測にセリが突っ込みを入れる。

 モズは少し悩んでいたが、決心したのか頷く。


「ううん、そうだね。確かに今の戦力では心許こころもとないか。……よし、連れて行くことにしよう」

「やった」

「ええ、本気ですか?」

「助かる」


 俺は思わずこぶしにぎってよろこぶ。コウは面倒臭そうな顔をし、ブヤは意見が通ったようで安心したようだ。

 一人だけ、ほんの一人だけだけどいるといないとでは大違いだ。


「それで、彼をどこの小隊に配属させるかなんだけど」

「あたしのとこは嫌」

「……言い出したカゼの所に入れたいと思う」

「え」


 モズの取り決めにモミが即座に反対し、彼は俺を指名したため、体がぴしりと固まった。

 しまった、俺の所に来る可能性を考えていなかった。


「まずはたがいを知って信頼を重ね、友達になってほしい。でないと、部隊に不和を生み出しかねないからね」

「あ、はい」

「頼んだよ」

「……分かりました」


 モズは右手を俺の左肩に乗せて言った。

 彼の当たり前すぎる言葉に俺は頷くことしかできない。

 俺の肩から手を離したモズは皆へと振り返って言う。


「後、彼が僕らと行動を共にすることを王様に伝えておきたい。どうする?」

「まあ、無断で連れて行くのも不味い気がしますね」

「適当な村に寄ったときに、村人に幾ばくかの金を握らせて都に走らせておくのが良いと思います」

「そうしようか」


 その意見にコウが同意しブヤが提案した内容にモズが受け入れた。

 これで小会議は解散となり皆はそれぞれの小隊に戻り、行進が再開することになった。

 俺は一人、トウヤの所へ歩いて行った。


「話はどうなった?」

「モズ隊長が君を連れていくことを決定したよ」

「そうかそうか。話せば分かるものだな。ははは」


 モズの決定を伝えるとトウヤは軽く笑う。

 多分、次に俺が言う言葉で暴れ出すんだろうなと思いながら発言する。


「それで、君の配属先なんだけど、俺の小隊の所に来てもらう事になったから」

「……何?」


 彼の笑顔が引きつった。

 暴れるなよ、余計なめ事はごめんだからな。


「というわけで、よろしく」

「何故だ。俺はモミ様の(もと)が良い」

「女性たちの中に男の君だけが混じるのは不自然だ。それに隊長が決めたことなんだ。諦めて従ってくれないか?」

「ぬうう。ううう。…………仕方ない。お前の所に行こう」


 彼は頭を抱えて悩んでいたが、俺をにらみつけながら了承りょうしょうする。


「良いのか? 嫌がると思っていたんだけど」

「モミ様のおそばにいられないのはしゃくだが、近くにいられないのはもっと嫌だ。大人しくついて行こう」

「君がそう言うのなら構わないけど。……とりあえず、これからは部隊の皆と仲良くなるように頑張ってね。これが守れないようなら出て行ってもらうから」

「分かった。後、俺の名はトウヤだ、君じゃない」

「ああ、これからはそう呼ぶ。……それとモミの事なんだけど、この部隊では彼女の立場は『王族の所でつかえていた女官にょかん』っていうことになってるから、周りにばらしたりしないように。万が一、彼女に危害が及ぶ可能性もあるからね」

「分かってる」


 いやに素直に従うなあ。傍目(はため)には分からないけれど、モミのことを大切に想っているのかもしれない。


「様付け禁止だよ。できる?」

「む。……努力しよう」


 さっきまでモミ様と連呼れんこしていた奴が守れるとは思えないんだが。まあ、これも様子見か。


「はあ、やれやれ」

次話の投稿は未定です。気長に待って下さい。

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