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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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矛先の行方

「……方針を決めたいと思う。僕は先に王に会ってから反乱勢力を鎮圧しようと考えていたが、途中でその勢力と当たりそうなので無理と判断した。そこで、都の南にある勢力とヤブイワの北にある勢力、どちらを先に鎮圧するかだ。皆の意見を訊きたい」


 モズの出した案に皆は考えながら意見を出し合う。


「最初は自分の村()()を守りたい、とか思っていたけど、まさかここまで酷いとはなあ」

「俺のいた村なんか、多分襲う側だぜ? どうやって止めるんだよ」

「止めるよう説得できねえか?」

「無理だと思う。何だよ、俺らが村を出て行けば反乱が起きなくなるんじゃなかったのかよ」

「同情するよ。……とりあえず、やるなら都の南か? 王様のお膝元ひざもとが荒れっぱなしは不味まずいんじゃ?」

「俺はヤブイワの北の方が先じゃないかと思う。ここを野放しにしたら、周辺の村の被害が計り知れん」

「いっそのこと、部隊を二つに分けてそれぞれを鎮圧するというのはどうだ?」

「幾ら俺たちが完全武装とは言っても、どのくらいの数を相手にするのか分からんからな。二手ふたてに分けるのはやばいと思うぞ」

「小隊長たちはどう思うんですか?」


 話を振られた。

 どうするべきなんだろうな。

 考えをまとめているうちに他の小隊長が口を開く。


「俺は都の南かな。故郷のナナサトはヨシマが盾になってくれてるから、反対側を攻めたい」


 そう発言したセリのいたナナサトはヨシマと仲が悪いから協力したくないけど、何もしないで今回の騒動が終わると立場が悪くなる。だから、南の川向こうの勢力を攻めると。

 ……考えすぎか。


「俺はヤブイワを防衛したいと思う。故郷だからな」

「ヤマカミ出だが同じく。敵勢力の数が分かるまでは攻めるべきではない」


 タナソとコウが消極的な案を出す。


「カゼさんはどうなんですか?」

「僕は本音を言うと、故郷のヨシマ村を助けに行きたい。けど、それじゃあ皆の意見とばらばらでまとまらない。だから、僕は先ずこの町から一番近いヤブイワを目指して進み、北の勢力を鎮圧したいと思う。……もう一つの考えは、西へ進んでヤタニを少しだけ防衛し、それから北にある川を渡って北上、北の勢力を鎮圧するというもの」

「ヤタニを防衛? どうしてその先の勢力を叩かないんだ?」

「ええと、ヤタニに僕たちがいるんだぞって相手に見せつけて、ヤタニへの攻撃を思いとどまらせている間に、北の勢力を鎮圧したいなって」

「なるほど」

「その後、改めて都の南の勢力を鎮圧する。……ただ、移動するのが凄く大変なんだけどね。……僕らが相手の数を知らないように、相手も僕らの存在を知らないと思うんだ。対応される前に速攻そっこうで鎮圧すれば、楽に終わると考えたんだけど、どうかな?」


 俺の問いに皆が首を傾げる。


「良い案だと思うんだが……」

「ううん、ヤタニ村近辺の人々はどう思うんだろう? 折角せっかく助けが来たと思ったら、防衛もそこそこに他に行ってしまうのは」

「……あ」


 そうか、相手の立場を考えてなかった。


「でも、どこかの勢力を叩いてる間に他の村が被害を受けたら、『何で俺たちの所に最初に来てくれなかったんだ』って、言われないか?」

「……ありえる」

「結局、どれを選んでもかどが立つんじゃないか?」


 意見が出尽くしたのか、皆は沈黙する。


「モズ隊長、どうします?」


 コウが助けを求めると、モズは口を開く。


「……角が立つ、か。それなら僕らのやりたいようにやらせてもらおう」


 そう言うと、モズは槍の石突いしづきで地図をしながら説明する。


「まず、カゼ君の言った通り、ヤタニを目指す。そこで都の南の勢力を一当ひとあてして萎縮いしゅくさせる。その間に夜の闇にまぎれて北へと向かい、北にいる勢力を鎮圧してから取って返し、再び都の南の勢力を叩く。……これで行こう」

『はっ』


 皆が威勢いせい良く答える。


「あと、クシビキとヤブイワ、ヤタニ、都に伝令を送りたい。都へはノエモンに任せるとして、他の村へは偵察隊から送ってほしい。……お願いできるかな? 明日の朝食、他の人のばいは出すから」

「分かりました。任せて下さい」


 モズが食事について言及げんきゅうした途端とたん、偵察隊のやる気が上がった。

 分かりやすいな。

 偵察隊が喜ぶ中、ノエモンがモズに訊く。


「俺はどこを通って都に行きますか? ヤタニやオカワは危ないから近寄らないとすると……」

「そうだね。クシビキから北上して川沿いを上り、……ああ、ヨシマも危なかったか、ナナサトを通って行くのが良いのでは?」

「なるほど、それなら大丈夫そうだ」

「こちらの王への報告書を貴方あなたに預けるから、頼んだよ」

「はっ」


 モズから竹簡ちっかんを受け取り、ノエモンは畏まる。


「それと、途中で立ち寄るナナサトにも先触さきぶれを出しておいてくれないかな。援軍が来ると分かれば皆さんも頑張ってくれると思う」

「はっ」


 方針は決まった。

 翌日、ヤウミをった俺たちは予定通りクシビキへ行き、そこからヤタニを目指した。

 クシビキやヤタニへ行く道には、ヤタニ村から村人たちがわずかな手荷物を抱えて避難ひなんしてきていた。

 余裕のありそうな人に話を聞くと、ヤタニは反乱勢力の手には落ちていないが、念のため脱出してきたと言う。

 食料を狙われるだけなら良い。いや、良くはないが、それ以上の乱暴らんぼう狼藉ろうぜきを働く悪党あくとうがいるかもしれない。それに巻き込まれたくはない、ということだそうだ。

 また、あえて現地にとどまることを選んだ人たちもいると言う。彼らにしてみれば、同じ国の住民なのだから、話し合えば分かりあえるはずだと。


「急ごう」


 モズの言葉に俺たちは一路いちろ、ヤタニへ向かい進撃した。

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