37歳夜勤男の人生
同時並行で、ギャグファンタジー小説も書いているので、更新は遅めです。
日本の平均生涯収入は約2億2000万円と言われる。
もちろん、これは平均であり、これより遥かに多く稼ぐ人もごまんといる。
そして当然、遥かに少ない量しか稼げない人もごまんといる。
これは、平均生涯収入よりも少ない量しか稼げない方に分類されていた男が、たった一夜にして、大きく人生が変わっていく話ある。
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高橋直樹(現在37歳)若い頃はそれなりにモテていた。
それが余計な自信となり、約9年前に結婚したが、直樹が不倫をしてしまい、約7年前に離婚。
妻であった鈴木麻衣(現在35歳)との裁判の末、慰謝料250万円を支払うこととなった。
これは平均的に見て、少し高い額であったが、直樹は深い反省と謝罪の意を示すため、自ら高額な慰謝料を麻衣へ払うことを望んだ。
麻衣と離婚後、同じ地域に住むことが気まずく感じた直樹は今の仕事を辞め、県を跨ぐ引越しをした。
慰謝料と引越し代によって、これまで麻衣との子供ができた時の為にと、こつこつ貯め続けた彼の貯金は底を尽きた。
そのため、地方の中心都市から少し外れた築30年の1Kのアパート(家賃5万)で、節約暮らしを始めた。
大した学歴もないがすぐに働きたかった直樹が始めたのは、学生時代に経験のあったコンビニでの夜勤バイト。
22時から、1時間の休憩を入れて7時まで、
週に4日のみのシフトだった。
シフトも固定されていないので、日雇いバイトしか掛け持ちができず、
税を引いた、直樹の手取りは毎月約15万円。
そこから家賃光熱費、通信費、交通費、年金を除けば手元に残るのはたったの3万円程度。
ここから食費や、日用品などの出費がかかり、
これまで通りの生活とは行かなくなった。
直樹の趣味であり、これまでは麻衣から毎月1万円だけ許されていた、ギャンブルもすることはできなくなった。また、これまでは1人1缶ずつ、麻衣と夕食時に飲んでいた缶ビールさえも、週に1本も飲むことが厳しくなった。
そんな底辺人生を送るようになった直樹の毎週唯一の楽しみがたった1枚の宝くじであった。
一等七億円の宝くじを毎週月曜日にネットで番号を悩みに悩んで、1枚だけ購入する。
そして万が一当たったときのことを夢に見て過ごす。
この細い細い蜘蛛の糸が、人生を転がり落ちた直樹の唯一の光だった。
31歳から、そんな生活を初めて6年が経ち直樹も先日37歳になった。しかし、生活水準は何も変わっておらず、ただただ貧困に喘ぐ日々が続いていた。
直樹は、今日も死んだような瞳で淡々と夜勤をしていた。
深夜2時。10代後半から20代前半に見える明るい髪の男が来店した。男は30円引きされたおにぎりを2つとブラックコーヒーを引っ掴かんでレジに向かい、直樹にタバコの番号を伝えた。
「すみませんが、年齢を確認できるものをご提示下さい。」
直樹はマニュアル通りに男に伝える。
男から帰ってきた反応は直樹の予想通りのものだった。
「あぁ?どう見ても成人してるだろうが!
めんどくせぇこと言ってんじゃねぇよ。おっさん。」
「...ご提示できない場合は申し訳ありませんが、タバコやお酒を売ることはできかねます。ご了承ください。」
相手の目を見て、弱気に見えないように意識しながら、はっきりと伝える。
この6年で、直樹が見つけた《こういった客》への対処法だ。
「...ッチ!面倒臭いおっさんだぜ、
こんな歳になっても夜勤バイトしてるような底辺にはなりたくねぇな!」
「....っ!」
そういい捨てて、男はコンビニを出ていった。
あの男の言葉は、ただの嫌味でしかなかったのだろうが、直樹には深く刺さってしまう言葉だった。
一応言っておきますが、この話はフィクションです。
コンビニの夜勤をされている方をそのような目で見たことはこれまでもこれからも一切ありませんので。
いつも大変助かっております。いなくてはならない存在です。
(私の他の作品から見に来てくださった方が
もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、
このお話は前書きも後書きも(多分)ボケませんので、ご了承くださいませ。)




