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後編

霞ヶ関の至る所から煙が上がっていた。


「そこのあなた! なにをしているの!?」

「日本が負けるから自分の名前が書かれている資料を燃やしているんだ。少しでも罪を軽くして処刑を免れるためにね。軍も神風特攻の命令を出して口封じをしてるだろ?」

「神風特攻が口封じ?」

「兵士たちは誰になにを命令されたかを知ってるからね。捕まると余計なことをしゃべられて上官たちが累積で処刑になるから証拠隠滅のための命令さ」

「……責任者たちが終戦交渉をせず余計なことに時間を使っていたから日本は核を撃たれたということ? ……戦後の子供たちがどういう扱いを受けるか気になるわ。セバスチャン。学校に転送してくださる?」

「かしこまりました。お嬢さま」


KTSが光って戦後の学校へ京香を転送した。


「……あなたもなにをしているの?」

「見てわからんか? 学級日誌を燃やしてるんだ。教師が戦争を肯定していた記録が残っていると罪に問われたり親を亡くした子供の面倒を見なくちゃいけなくなるからな」


授業が始まる。


「いいか君たち。戦争はだめだ。これからは民主主義だぞ?」

「……でも先生。これまでと言ってることが違います」

「そんなことないだろ? 先生は最初から戦争否定派だ」

「教師の手のひら返しに子供たちが困惑していますわ……。それに彼らは戦争責任から逃げているだけだから戦争はだめと言いつつ戦争を回避する努力はしないでしょうね」


ここで京香は終戦後に起きる日本の危機に気づく。


「セバスチャン! 日本にやってくる進駐軍の司令官に会わせてちょうだい!」

「かしこまりました」


KTSが日本を占領するために来たアメリカの司令官の前に京香を転送した。


「ワオ! 美シイオ嬢サンネ! 僕ニナニカゴ用デスカ?」

「私は京香と申します。司令官殿に日本人を助けていただきたくお願いに参りました」

「オーウ。ソレハダメダメネ。責任者タチガ証拠隠滅シテ逃ゲタカラ連帯責任デ沢山ノ日本人ニ餓死シテモライマース」

「その方法だとあなたの殺したい人はしぶとく生き延びて親の命を利用されたのに見捨てられる罪のない子供から死んでいきますわ」

「フーム。言ワレテミレバ確カニソウデスネ……」

「お嬢さま。お父上が報告に戻るようにとの連絡がございました」

「そうね。調査はもういいでしょう」


KTSが京香を研究室に転送した。


「お父さま! ご無事でしたか!?」

「KTSを1つ奪われてしまったがな……。それで日本を戦争から守るヒントは見つかったのか?」

「それが大変なことがわかりましたわ。日本は次の戦争も負けます」

「なぜそう言い切れる?」

「かつて戦争責任から逃げた人たちと同じ立場の人たちが今も戦争責任から逃げ続けているからですわ。つまり日本の敗戦の分析が進んでいないのは自分たちの戦争責任が明るみになってはまずい人たちが妨害しているということ。前回からなにも学んでいない日本は同じ負け方をするでしょう」

「……ということは日本の核武装の可能性はないな。戦争責任から逃げている敗戦国の日本が民間人に核を撃てばむしろ敵が増える。撃てないことが相手にバレていたら意味がない。……実はお前が調査に行っている間に沖縄で独立運動が起きたのだ」

「沖縄の独立!?」

「KTSで沖縄に行って様子を見てきてくれ」


KTSが数時間前の沖縄へ京香を転送した。


「沖縄にとって日本は敵だ!」

「沖縄に日本がやっていることは侵略軍と同じだ!」


活動家のリーダーに話しかける京香。


「あなたたちの目的はなんですの?」

「それは沖縄から軍隊を追い出すためだよ」

「そんなことをしたら沖縄を守れませんわよ?」

「中国が沖縄を攻撃する可能性は低いんだよ。こんな本土から離れた場所を攻撃したらこれから戦争をするので準備してねってわざわざ教えてくれるようなものだろう? 僕だったら東京を奇襲攻撃するよ」

「沖縄に基地を置く意味はないということ?」

「日本は戦争に勝つ気がないんだよ。基地の負担を自分以外に押しつけたいだけなんだ。他国の悪口を言えるのは沖縄の人たちを盾にすることが前提だからさ。だから沖縄の基地を他県に移したら全国の人が戦争になったら自分が死ぬかもしれないと気づいて真面目に外交を考え始めるはずなんだ」

「とんでもないカリスマが現れましたわね。セバスチャン。研究所に戻りますわよ」

「かしこまりました。お嬢さま」


研究室に戻った京香。


「お父さま。沖縄の件ですが……」

「京香! 大変なことが起きたぞ! ニュースを見てみろ!」


『速報です。韓国と台湾が中国と和解しました。これにより日本は単独で中国と戦わなければならなくなりました』


「……つまり中国の第1攻撃目標が日本に移るということだ」


『別の速報が入ってきました。中国軍が東京を攻撃しているとのことです。自衛隊が対処していますが米軍は中国との全面戦争を避けるために本国へ撤退しました。そして中国は侵略の正当性を主張していてこれに台湾と韓国も同調しています。アメリカにも同様の説明がされていたようで……』


「外に出て確認してきますわ!」


研究所を出ると東京が空爆されていた。


「そんな……。自衛隊はなにをしていますの!?」


すると逃走する自衛隊員を発見した。


「ちょっとそこのあなた! なぜ逃げているの!?」

「安月給の俺たちが死ぬまで戦うわけないだろ? 給料分は働いたつもりさ。それに自分が死んだら誰が子供の面倒を見るんだ?」

「それは……」

「税金を兵器開発に使うと関連する人や企業が儲かるけど自衛隊員の給料を上げてもそういううまみがないから誰もやりたがらないんだ。みんな自分のお金儲けのことしか考えていないんだよ」


去っていく自衛隊員。


「くっ!」


研究室に戻った京香。


「お父さま。この戦争は日本の負けのようですわ……」

「そのようだな」


『新たな速報が入ってきました。ロシアの参戦です。ロシア軍が北海道に上陸しました。おそらく事前に中国と打ち合わせていたようです』


「お邪魔するわよ」


京香の前にスーツを着た女が現れた。


「あなたが日本の過去を調査していたおバカさんね」

「あ、あなたは政治家で元女子プロレスラーの麻美!」

「代議士先生と言ってほしいわね。日本から脱出する前にKTSを破壊させてもらうわよ」


麻美がスーツを脱ぎ捨てて現役時代のコスチューム姿になった。


「くっ! セバスチャン!」

「かしこまりました。お嬢さま」


執事がリングをセッティングしてゴングを鳴らした。


カーン!


ゴングと同時に京香と麻美が組み合ってお互いの力をぶつけ合う。


「あなたたちのせいで日本が……!」

「フフッ! 私の世代で責任を取らされてたまるもんですか!」


麻美が京香をパワーボムでマットに叩きつける。


「うぐっ! ……戦争で迷惑をかけた国に謝罪を」

「謝罪ですって!? そんなことをしたら……」


立ち上がった京香に麻美がドロップキックを決める。


「落選するでしょうが!」

「……保身のために国民の命を危険にさらして」


京香が麻美をフロントスープレックスで投げ飛ばす。


「そんな考え方の人のために命がけで戦ってくれる人が……」


そしてパイルドライバーで頭部を強打する。


「くうっ!」

「いるわけないでしょう!?」


最後はコーナーポストからムーンサルトプレスで押し潰した。


「ぐはっ!」

「今よ! サテライト京香レーザー発射!」


人工衛星から発射されたレーザーが研究室の天井を突き破って麻美を貫いた。


「キャーッ!」


カン! カン! カン!


「勝負あり。でございます」

「……フフッ! も、もう遅いわ。日本は2回分の戦争責任を支払わされることになる……。日本という国名が残るといいわね……。がはっ!」


日本の敗戦の知らせが入る。


『ご覧ください。市民が中国軍をバンザイで迎え入れています』

『中国軍バンザーイ! 最初から私はあなたたちの味方だったから殺さないで!』

『バンザーイ! 僕は最初から戦争反対だったから戦争責任はないですよ!』


「……今日から彼らをバンザイドリラーと名付けましょう」


日本はまた戦争に負けた。しかしその様子を笑いながら見ている日本人がいた。


「はっはっはっ。いい気味ですね」

「戦争孤児から出世して政治の中枢に入り込んだ甲斐がありますな」

「これで終わりではないぞ。わしたち以外にもこの国に強い怨みを持った者は沢山おる」

「ええ。私たちの復讐はまだ始まったばかりなのですから」

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