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妖狐の異世界転生旅  作者: ポポ
第3章 エフィロス王国
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エフィロス王国 5

魔法戦とは言っても、それは総称で、実際の戦い方は多岐にわたる。

一番主流の射撃型魔法戦、たまに見かける格闘型魔法戦、超マイナーな放射型魔法戦の三つに大きく分けることができる。レミルの専門分野は魔法剣士なので格闘型魔法戦が三つの中では得意なのだが、魔法剣士とは言っても剣士に偏りすぎている魔法剣士なために、あまり魔法戦は得意ではない。

なので、今相手しているあれとは物凄く相性が悪いと言っていい。さらに、第六位階魔法以下のものが効かないと言うのがタチが悪すぎる。


レミルは第六位階以上の魔法は使えない。

というか、第六位階以上の魔法を使うやつなんて人間と言っていいのかわからない存在だし、公式・・に発表されている第六位階以上の魔法を使う人間は存在しない。


さて、どうしたものかと考える。

自分は使えないし、使える人間はここにいるにはいるが、戦闘中。

効かないとは言っても極小でダメージを与えてられると聞いたことがあるため、自分が使える魔法で細々とダメージを蓄積させてもいいのだが、そうなると、保有魔力が足りない。


自分に向けて撃たれた魔法を回避しながら、頭をフル回転させる。レミルは、自他共に認める馬鹿なので、考えたところであまり良い案は思い浮かばないが、時間稼ぎをしていれば何とかなるだろうという結論に至った。


自分の攻撃が当たらないことに嫌気がさしたのか、今度は今までのような大きな一撃ではなく、細々とした小さな一撃を隙間なく放ち、弾幕を張る。

最初は回避しようと、回避ルートを頭の中に構築しようとするレミルだったのだが、人一人通れるほど大きな隙間がなく、回避することは不可能と結論づけ、次の行動に移る。

半身を引き、防御面を少量に抑えて、剣を自分を守る盾のように立てた。

普通、魔法は剣で受け流したり、受け止めることは不可能なはずなのだが……



金属と金属が擦れ合うような音と、火花を撒き散らしながら、剣が魔法を受け流した・・・・・


既に先程まで剣が纏っていた雷は消えており、綺麗さっぱり無くなっていたのだが、今は剣が……剣自体が淡く光っている。

剣が光るなど、現実離れした光景に、特に驚くこともなく、レミルは次々と迫り来る闇魔法“精神魔弾”を受け流し、時には受け止めて、ただの魔力に戻してから散らす。

剣が淡く光る現象は、この世界ではそう珍しいものではない。聖剣や魔剣などは魔力を流せば光るし、ただの剣でも魔力を流して身体強化の様に剣を強化すれば光る。だが、聖剣や魔剣は選ばれた一部の人間にしか使えないし、剣を強化する“物体強化”というものは高等技術に属するため、珍しいものではないが、よく見る様なものでもない。


レミルが使っている剣は、倶利伽羅くりから剣と呼ばれるものだ。

レミル自身、この剣がどれほど凄いものなのかよくわからないが、切れ味もいいし、魔物などを斬れば、どんなに浅い傷でもすぐに死ぬため、魔剣や妖刀などの呪われている武器なのだろうと予測はつけているが、やはり、見た目は特に何もないので、凄さがわからない。


閑話休題それはおいて


そんな剣なために、魔力が通りやすく、とても物体強化がしやすいのだ。イコール、高等技術の物体強化も簡単に行えるのだ。

まあ、そういうわけで、現在剣は淡い光を放っている。


飛んでくる“精神魔弾”と呼ばれる闇魔法を打ち払ってはいるのだが、相手も攻めあぐねている様だし、こちらも相手に有効打となりうるものを持っていない。これでは拉致があかない……。


そんなことを考えていたせいなのか、戦闘から意識が少しだけずれた。

普通の戦闘ならば、この程度のずれなど全く気にならないほどなのだが、これだけの高度なやり取りをしていると、そのずれは大きくなる。


やがて、隙が隙を産むかのように、どんどん押され始めるレミル。それを好機と見たキメラが、溜め込んでいたカードを切った。


超高等技術に分類され、人類で使いこなしたものはいないとされる闇魔法・“精神破壊”。

この魔法は第七位階魔法に属され、発動後、触れたもの(術者以外)全ての精神を破壊するというものだ。効果時間は術者の技量にも大きな差ができるのだが、平均的に3分と言われている。

勿論、存在すら怪しいこの魔法にレミルが気付くはずもなく、攻撃の手が止まったのをいいことに、キメラに一気に肉薄する。


ったぁぁああ!」


レミルの持てる最大火力の第五位階魔法“炎獄”。一見すると、だだの白い炎の塊なのだが、その温度は優に一万度を超えており、何もかもを溶かすことが出来るという凶悪な代物だ。

しかし、それほど凶悪なものでも、第五位階魔法……第六位階以上の魔法を使わなければ倒せない相手では意味がないと思われるのだが、それは、普通・・の場合だ。

一か八かの大勝負になりそうだが、このキメラを倒すためには今出せる最大限の魔力を注ぎ込み、普通・・じゃなくするしか方法がない。


死ぬかもしれないが、ここで勝負に出なかったらどのみち打つ手がなくなって死ぬという同じ結論が待っているだけだ。もしかしたら、シャイトが助けてくれるかもしれないが、そんな高望みはしない方が良いとレミルは考えている。


「魔を・払いし・炎よ・今我に・力を」


この長さであれば、二節詠唱でも可能だったのだろうが、術式の綻びからどうしても漏れてしまう魔力を、五節詠唱にする事で最小限に抑えたレミルは、それを具現化。具現化された白い炎の塊は、レミルの思いを受け取ったかの様に、ドクンドクンと数回脈打つと、小さくなったり大きくなったりを繰り返し始め、やがて、拳大の大きさになる。


「えんご………くっ!?」


レミルがその白い炎の塊をキメラの体に打ち込もうとした時だった。

闇魔法・精神破壊が発動したのだ。キメラの体から紫と言うより、黒に近い様な色の霧が辺り一面に、一瞬にして広がる。

“精神破壊”の効率の良い対処法は、その霧を体内に取り込まないことだが、奇襲のように出された為に、レミルはまともに吸ってしまう。後になって口と鼻を塞いだが、かなり手遅れとしか言いようがない。


「ぐぅっ……!がはっ」


脳内を百足が走るような激痛と気持ち悪さが支配し、体内に取り込んでしまった霧が、身体中を駆け巡り、支配する。

その過程で、内臓が傷ついてしまったのか、口から血が出てくるが、レミルはそんなこと御構い無しに身体強化を続ける。こうすれば、幾分か痛みが楽になったように感じるのだ。


“精神破壊”を一度行われてしまうと、止める手立ては無い。少なくとも、レミルの知識では見つけることが出来なかった。

今は精神を支配、又は破壊されるのを少しでも遅らすことしかできない。


何もできない自分をもどかしく思いながらも、レミルは自分が自分でいられる意識をその手から手放した。

師匠がなんとかしてくれるだろうと、信じながら。





「人任せもいいとこだよ……全くっ!」


野生の勘というやつなのか、何か任されたような気がして、独り言を大きな声でいう。


大きく振りかぶった状態からの遠心力を上乗せした黒剣を、ケンタウロス型キメラ改に叩き込むが、キメラ改の腕半ばまで斬ると、そこで止まってしまった。

隆起した筋肉と、その分厚い皮膚に阻まれて、上手く斬れないのだ。“羽張”を使えば一瞬でかたが付くのだが、そうしてしまうと、なんだか呆気なく終わってつまんなくなりそう、という理由で使っていない。せっかく全力で戦えそうなのに、終わらしては勿体無いと心のどこかが思ってしまっているのだろう。MOTTAINAI精神というやつだろうか……。


そんなことを考えながら、即座に黒剣を引き抜いて二、三歩飛び退く。

数秒ほど相手の出方を見るのだが、先程から全く反撃しようとしてこないし、しようとする素振りも見せない。

普通の戦闘狂バトルジャンキーならばつまんないと言ってすぐに殺してしまいそうなのだが、シャイトはそれをしない。

何故なら、


「このスリルが堪んないよね」


いつ反撃してくるかわからない。相手の火力がわからない。どれくらいの運動能力なのかわからない。必殺技のためなのかもわからない。

このように、わからない事だらけで、逆にハラハラドキドキするのだ。

もしかしたら、自分の知覚能力を超える運動速度を持っているかもしれない。

もしかしたら、自分の防御能力よりも敵の火力の方が上かもしれない。


このハラハラドキドキが、


「堪んねぇ」


しかし、こんな決め手に欠ける攻撃をちまちましていても、決着なんてつかない。

もうそろそろ動いてくれないものだろうか、と思っていると、突然……ケンタウロス型キメラ改が内側から爆発した。


「…………へ?」


流石のシャイトでも、この結果は想像していなかったのか、間の抜けた声が出てしまう。


このキメラ改の能力が、自身の体に災いを引き起こしたのだ。

元々の肉体に対して、SSS級の力というのは過剰な力だったのだ。それにプラス、相手の真の・・力をコピーするというものを持っていたのが悪かった。

シャイトが持っている力を全てコピーし、SSS級の力に上乗せしてしまったのだという

それが元々SSS級に耐えうる体であればよかったのだが、SSS級の力だけでパンパンの体にさらに力を加えたらどうなるか…………もうお分かりだろう。


結論、目の前の光景のようになる。


顔や服に飛び散った血や肉片を払い落とし、ハンカチで要所要所を拭う。あとで、フィルに頼んで魔法で綺麗にしてもらおうと決めてから、周りを見渡す。

あんな終わり方をしたので、先程の戦闘の熱がまだ冷めておらず、どこかウズウズしているのだ。



とってもやばそうな、レミルの姿が目に写った。

――あ、なんか任された気がしたのはこれっぽいな。





2対1という不利な構図が見えるが、そのどちらもが動こうとしない。


皆が皆、生まれたての子鹿のように、足が震えており、とても滑稽だ。しかし、それには神刀と呼ばれる刀を持つ少女と、S級キメラ2体というのが付くが……まあ、それは置いとこう。


完全なる膠着状態。

どちらか一方が一歩でも動けば、状況も動くだろうが、その一歩が本人達にとっては重い一歩なのだろう。

それはわかるのだが、ここは戦場というのを意識しなければならないし、対峙している相手だけに気をとられないというのも忘れてはならない。

それが、出来てなかったばかりに……それ・・は起きてしまった。



キメラ達に・・・・・害を成す方向で・・・・・・・



キュェェエエッッ!


およそ生物とは思えないような鳴き声が、カンガルー型キメラから上がった。

背中からは血飛沫を撒き散らしている。


そしてその後ろには、綺麗な白い毛並みをキメラの血液で赤く汚した白いサーベルウルフ――シロが、その自慢の爪を振り抜いた形で残心していた。


書く時間がない……

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