3.5.01 - 回廊探し
翌朝。
久々に、良く寝た気がする。
外は晴れているようだが、朝陽は雲に阻まれていた。
布団から起き上がり、冷蔵庫を開ける。
日が経ち過ぎたメロンパンと、2台のログインデバイスしか入っていない。
実は、電源コードも繋いでいない。
メロンパンはもうダメだろう。
冷蔵庫から、ログインデバイスを取り出す。
それから、畳に落ちてる、スマホを拾う。
腰を降ろして、画面に視線を落とす。
時間は、朝の8時だった。
未希のメッセージを着信していた。
『今日から学校行きます。
あっちでムリしないでね』
もう1件。ヨシヒロだった。
『タツさん、パクられました。
朝日田の警察署です。
昨日はありがとうございました。
なにかあれば連絡ください』
スマホをポケットに戻す。
ログインデバイスを見る。
『 World Count 24 / Waiting for Login 』
リチャージは終わっている。
また、長時間の禁煙だ。
立ち上がる前に、座ったままでもログインできるか試してみる。
『 Join Me 』
行けそうだ。
画面に触れると、座ったオレと同じ高さのホログラムが現れた。
どうやら、ログインする人物の身長に合わせてくれるようだ。
幼い未希の、虹の膜を眺める姿が目に浮かぶ。
オレは目を閉じた。
薄暗い部屋。
ベッドに仰向けの感触。
目を開けると、視界にあるのは、木板の天井。
横のカーテンから、ほんのりと陽の光が滲んでいる。
4度目のログイン。
カウント24では3度目だ。
ベッドから起き上がり、やることを整理する。
まずは、記憶の回廊を知る老人を探す。
そして、回廊に居るガーディアンを倒す。
その為にすべきことをしよう。
地図は置いていこう。
なくしたり、汚したりすると面倒だ。
ひとまず、ガスコスの様子でも見に行くか。
あいつは確か死にかけだ。
腹は減っていない。
前回のログアウトのとき、手首を脱臼していた気がするが、痛くない。
治っている。
立ち上がって、梯子へ向かう。
工房に降りると、外へのドアが開けっ放しだった。
その傍らに、酒場のマスターからもらった松明が転がっている。
ハンガーラックにかかっているマントに「閉めてけよ」と言われている気がする。
この無人の空間で50年も状態を維持していたマントだ。
なによりこれは、未希の父親の遺品でもある。
次からはちゃんとドアを閉めよう。
オレは工房から庭に出る。
外は朝陽が昇り始めた頃だった。
遠く曙の空。
絵に書いたような雲。
空気を吸う。
うまい。
オレはドアを閉めて、村へと歩き始めた。
あとがき#3
~ストーム(まゆ)~
……まゆ……です……
えっと……
(続く)




