表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
256/266

4.7.12


 翌朝。

 陽が昇り始めたばかりの早朝。


 ストームカレンダーの表記は37日目。


 補充部隊は、大部分が前哨基地に留まるようだ。

 本部に帰還するのは10人。

 その中にエレーナの姿もある。


 夕べは、暗くて分からなかったが、昼間のエレーナの外見は、可愛らしい魔女っ子コスプレのお嬢さんだった。

 にもかかわらず、エレーナは、運搬部隊の護衛役という立場だった。

 戦闘時の立ち回りが期待される攻撃魔法職なのだ。


 分からない。理解できない。

 ニフィル・ロードという世界は、本当に不可解だ。


 エレーナがオレの方を向いて、手を振っている。

 たぶんオレじゃないだろう。

 エレーナが手を振っているのは、オレの近くにいる別の誰かだ。

 だから、オレは無視した。

 エレーナは帰還する者達とともに、前哨基地を離れていった。



 そんなことより、ウィリアムから集合命令が出ていた。


 司令部のテントへ行くと、任務中以外の守備隊メンバー全員が集まっていた。

 人数が多い。昨日までの2倍くらいの規模だった。


 ウィリアムが注目を集めてから、訓示を始めた。


 守備隊は40人に増員された。

 軍属は30人。

 詳しくは分からないが、アメリカ、イギリス、フランス。

 そのあたりの国に所属する軍人らしい。

 彼らは給料を貰い、職務としてニフィル・ロードに派遣されている。


 そして、オレやリュウジらの一般プレイヤーは、見張りの任務から解放されることとなった。

 オレ達は今後、襲撃時の迎撃人員として待機しながら、前哨基地の増築を手伝うことになる。


 見張りの重要性。

 オレはそれを知っている。ヤクザのリュウジも理解している。

 軍属も叩き込まれている。


 見張りは、前哨基地全員の安全を担っている。

 しかし、そうではない一般人のほとんどは理解していない。

 見張りの見落としで、地獄を見たことがない連中には、その重要性がわからない。

 見張りはただ退屈で、居眠りと戦うだけの時間。

 そう思っているヤツに見張りを任せるべきではない。

 たとえ酒を呑みながらだとしても、そこを理解しているプロかどうかで大きな隔たりがある。


 オレ達は見張りの任務から解放された。

 そして前哨基地も、一般人の見張りという不安定な警備体制から解放されたのだ。



 ウィリアムの訓示がさらに続く。


 専門に組織された建設チームが20人。

 農業チームが20人。

 狩猟チームが10人。

 前哨基地に駐留するプレイヤーは、今日から総勢90人になるらしい。


 そして、ウィリアムは、前哨基地の責任者から格上げされ、司令官になったらしい。

 どうやら、ウィリアムは、それが言いたかったようだ。


 パラパラとまばらな拍手。

 おめでとう、コマンダー・ウィリアム。


 そのあと、守備隊長だという男が紹介されたが、名前も顔も、すぐに忘れた。

 必要になったときでいい。


 最後に、この基地の名前を募集するから、考えておけと言われて解散となった。

 

 そんなの、なんでもいいよ。

 ウィリアムが司令官。

 この世界での上司か。

 直属の上司はだれだろう。

 さっきの隊長だろうか。まさかティナ?


 どうでもいいよ。


 帰ろうとすると、リュウジが声をかけてきた。


「おいソウジ、いよいよだ。賭場を開くから、おめぇも手伝え」


 そういえばそんな話もあったな。


「すまん、少し用事がある。それが終わったら手伝うよ」

「おう、そうか。まぁいいや、待ってるぜ」



 リュウジと別れ、テントに戻る。

 周囲を見渡すと、少し離れたところのあちこちで土が盛られ、木材が運び込まれている。

 塀の拡張工事でも始まるのだろうか。

 まだ朝だが、基地はすでに、大規模な拡張に向けて動き始めていた。


 そういや、移住者はどうなったんだろう。

 いまだに、この付近には家もテントもなく、原っぱのままだ。

 井戸も穴を掘っただけで放置されている。


 まぁいいか。

 見張りの仕事で、前哨基地に戻るのが不要になった。


 今日はこれから、のんびり馬車の旅だ。

 オレは、メモリアへと飛んだ。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ