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【書籍化】脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。(web版)  作者: サエトミユウ
8章 聖属性の魔法使い、イベントをこなす!

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第89話 オーレンの悔恨 下

 ひさしぶりの自室で泥のように眠った。

 目が覚めたのは丸一日経ってから。


 きっと自分たちのことはすでに知れ渡っているはずで、針のむしろになりそうな学園に行くのは気乗りしなかった。

 そのまま自室に閉じこもっていたが、『寮に戻れ』とは言われなかった。

 ――査問会の後からずっと学園に行けてなかったが、いつの間にかバケーションに入っていたらしい。

 なのでバケーション中、ずっと考えた。


 将来は平民だ。

 告げられて衝撃を受けたが、考えてみると悪くない。

 寮に住んだことである程度は自分で行えるようになった。

 平民ならばもう少し自分でやれるようにならないといけないだろうが、個人資産を取り上げて慰謝料に充てるという話はなかったので、そのままもらえるはずだ。

 ならば贅沢をしなければ暮らせるだろうし、今の成績ならば事務官くらいは受かるはずだ。

 魔法も得意なので、宮廷魔法士団や研究職にも就けるだろう。

 次期宰相の重圧が消えたため、隙間風に当たるような寂しさや空虚さは感じるが、同時に解放感も感じる。

 将来、何にでもなれるという喜びもある。


 さらに、メデリアは主犯。

 ドラマティカ公爵は娘をかわいがっているが、甘くはない。

 主犯だと判断されれば、メデリアも無事では済まない。

 そうなったら自分にもメデリアを娶るチャンスが来るかもしれない……!

 と一瞬浮かれたが、それならアドリアンを選ぶだろうと思い、再び気落ちする。


 ……もし、メデリアが「そそのかしたのは自分だから、二人の罪を軽減してほしい」と頼んできたら……そのときは「メデリア様は何も言ってない、勝手に自分が行った」と嘘をつこう、そして二人の幸せを陰ながら祈ろうと決心していたのだったが、告げられたのは真逆だった。


 寮に戻る前日、再び父から呼び出されてこう言われたのだった。

「ドラマティカ公爵が中傷のビラについてメデリア嬢から聞きだしたところ『そんなことは言っていない、ケイラ・ヴァリアント男爵令嬢から相談され、どうにかしてあげたほうがいいかしらと呟いてそれで終わった話だった、そそのかすなんてことは絶対にしていない』と否定したそうだ。……つまり、お前とアドリアン様が勝手に踊っただけだという結論に達した」


 オーレンは、頭が真っ白になった。

 何か返事をしたかもしれないが、覚えていない。


          *


 学園が始まり、再びいつもの日常が戻ったかのようだった。

 だが、違う。

 級友たちは、こちらを見て何かを話している。

 自分はアドリアンに侍っていない。

 メデリアはいたが、露骨に視線を避けられた。

 近寄ると怯えるしぐさをする。


 ――それを見てようやく、メデリアが語るリリスの話は全て嘘だったのだとわかった。

 それらしく話を作ったのだ。

 彼女は『かわいそうな自分』に酔いしれるのが好きなだけ。今も、脳内ではオーレンに危害を加えられそうな私に酔っているのかもしれない……そう考えたら、あれほど胸を焦がしていた初恋が砕け散って消えた。


 自分を救ってくれた彼女が本当に好きだった。

 オーレンの望む答えを用意できる人だった。

 でも彼女は、調子のいいことを言うのが上手いだけの人間だった。

 その言葉に、責任なんてなかったのだ。


 アドリアンなど初日にショックを受けて、学園を休んでしまっている。

 オーレンも静かにショックを受け、そして、リリスに謝ろうと思った。

『そそのかされてやったことだ』とは言わない。

 父の言うとおり、それは言い逃れだ。

 だけど、メデリアと自分を一緒にされたくないと強く思った。


 ……決意したものの、リリスはなかなか一人にならない。

 常に誰かがそばにいる。

 そんなところもメデリアと違うなと考え、そこで気がついた。

「なるほど……。メデリア様は、彼女に嫉妬していたのか」


 恐らく自分たちが別の令嬢と恋に落ちると話したのは牽制だ。

 そんなことはないと否定してほしかったんだろう。

 だが、アドリアンがリリスに目をつけたので彼女を目の敵にした。

 だって彼女はそうとうかわいい。

 メデリアも美少女だが、リリスは全くタイプの違う美少女だ。

 メデリアは放っておけないタイプだが、リリスは溌剌としていて男女共に人気がありそうな雰囲気をしている。

 色眼鏡なしで見ると、オーレンの好みのタイプはリリスのほうだ。

 恐らく、アドリアンも。


 そんなことを考えつつ、一人になる隙を窺っていたとき。

「……なぜアイツが、あそこに?」

 メデリアの弟ヴィクターが魔法科にいたのだった。


【お知らせ】

 いよいよ『脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。2』の発売が迫ってまいりました。

 店舗特典情報があがってきましたのでお知らせしておきます。


書泉さん:SSペーパー

ゲーマーズさん:SSペーパー

メロンブックスさん:SSペーパー


 書泉さんは1巻にも復刻でSSペーパーがつくそうです!

 さらに、書泉ブックタワー8階にてとよた先生の色紙が展示されます。


 こちらにもう少しだけ詳しく書きましたので、参考にしてください。

https://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/3686159/


 今回、紙書籍の部数が少ないので確実に手に入れたい方は予約がおすすめです!

 何卒よろしくお願いします。

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2026年8月17日 電撃の新文芸より発売
脳筋聖女は、すべてを物理で解決する。2


著者:サエトミユウ / イラスト: とよた瑣織



― 新着の感想 ―
今日グランデに行ける機会があったので覗いてみたらSS付き売ってましたね、12日から入荷したと書いてありました、帰ったら読みますね。
発売日が盆明けなら早ければ週末かな?でも盆だしな なんかタイプとか言い出したのは謝罪は誤魔化しだったのかな、唯一謝れて反省出来てると思ってたのに。
悪役令嬢が「やっぱり主人公に篭絡されたギャアア!」と また悲劇のヒロイン面しそうですね。黒幕はやはり義弟?
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