第101話 再びの冬期休暇なのである
ようやく冬期休暇が始まった。
レイヴンは、当たり前のように我が家にやってきました。
別にいいんだけどね。冒険者パーティを組んでるし、どうせ一緒に行くし。そもそもこの家、私のじゃないし。
「いよいよ蛇料理か……」
レイヴンがつぶやいたのを聞いて理解した。
「あ、そういうことね」
蛇を狩って、私に料理してもらいたいから泊まり込んでるみたいよ?
「冬場はどうだろうね……。魔物の生態に詳しいわけじゃないけど、冬眠するんじゃないの?」
何せ、蛇だもの。
「ギルドに尋ねたら、目撃情報があった。今年は少し暖かいからか、例年よりも活動している魔物が多いらしい。そのため、王都に居座る冒険者も多くて競争率も高いらしいが……」
確かに、クランにも居残り組が例年より多いね。
というか、たぶん私の護衛的な感じで残ってくれてる雰囲気もある。
依頼者が捕まったことは伝えたんだけど、依頼者と一緒に闇ギルドメンバーがいた、ってのを問題視しているみたい。
壊滅させたのは当主様とロムルスさんだけど、そしてそもそもが向こうから仕掛けてきたんだけど、そんなことはおかまいなく私を恨んでいる可能性があるからだってさ。
とはいえ、冬期休暇まで。いつまでもお守りをしているわけにはいかないので、ここで仕掛けてこなかったら警戒解除するって。そうしてください。
「連中も、恨みとメンツはあるだろうが、これ以上勝てない喧嘩を挑み続け、精鋭を減らしたくはないだろう。他の依頼も受けられなくなるし、そうしたら金を稼げなくなる」
うわあ、世知辛い理由だった。心は少年でも、お金は大事というね……。
依頼者が捕まり金を払う奴はいないので、(無料で)襲ってくる心配はないはずだけど、私情で襲ってくる輩もいる可能性があるので念のためギークリーさんといつものメンバーは待機中。
冬期休暇が過ぎれば学園が始まり、さらに警戒が強まる。毒殺未遂事件で外部からの侵入者を許してしまったため学園もそうとう警戒するだろうから、襲うなら依頼人が捕まって油断しているはずの今しかない。
そういう理由で冬期休暇中は警戒しているとのことだった。
*
「うーん、いないねー」
思わずぼやいてしまう。
冬期休暇中までは近場で狩るようにとギークリーさんに言われ、近場の依頼をこなしつつ蛇をさがしているんだけど、見つからない。
今年は猪が多い。あと猿。
猿も猪もおいしく食べられるらしいけど、レイヴンが蛇を食べたがっているからなー。
「いっそ、闇ギルドにケルベロスを召喚してもらいたいねー」
「それはいい案だな」
と、レイヴンと言い合ってギークリーさんに呆れられている。
だってさあ!
ぶっちゃけ、ギークリーさんたちが足手まといなんだよ!
狩りは私とレイヴンとセラフでするけど、移動は全員。
でも、私とレイヴンだけならセラフで移動できるのよ!
絶対日帰りにしろと言われていて、さらに徒歩での移動だと、ものすごく近場しかないのよ。
逆に、あまりにも近場すぎるがゆえに私たちに依頼が回ってくるわけですけどね……。
それに、私の身を案じてくれていると思うと文句を言いづらい。
実際、あのGを思い出すほどに湧きまくったアレとかはね……一人だったらキツかったかもしれない。【聖火~超強火】で全部燃やしつつ、近寄ってきたのをフルスイングすれば終わる気がするけど。よし、今度やってみよう。
「しかたない、今回は諦めよう」
とかレイヴンが言いだしたよ!
「ど、どしたの?」
動揺しちゃったよ。
「リリスの言うとおり、夏のほうが蛇は狩れるだろう。ますます寒くなっていくし、目撃された場所へ行く時間もない。クラスの皆に蛇の目撃情報を集い、バケーションでその家に遊びに行くのがベストだ」
「あ、そだね」
諦めたんじゃない、本腰を入れたんだよそれは。
……って思ったんだけど、『一人で狩りに行く』と言わなかったレイヴンに、クスリと笑った。
レイヴンも私を見て笑う。
「リリスの料理する猪料理は、冬に食べると絶品だからな。冬期期間中はそちらにしよう」
……なるほど。牡丹鍋が気に入ったと。そして一人で蛇を狩りに行かないのは、私に料理を作ってもらいたいからと。そうですか。
「じゃあ、冬は今の料理でいこう。蛇は夏向きの料理だもんね。表面をカリッと焼いて、レモン汁を絞って食べるのがおいしい料理だもん。……来年、一緒に狩って一緒に食べよ」
「あぁ」
――そう約束したのに。
その数日後、レイヴンは消えた。
2巻の発売で毎日投稿しておりましたが、以後は不定期となります。
【お知らせ】
2巻発売記念として、メクリメクル様にてSS公開中です!
紹介っぽい内容なので、若干本編と食い違いがありますことご了承くださいませ。
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