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第四十二話

あたし、天国来ちゃったー!?


こ、こここれって大丈夫なのかな。

想像するのも嫌だけど、戻れなくなったり…?

「そうだ!来たほうを戻れば!」

キョロキョロと見回してみる。

どこにも道はない。あたり一面真っ白だ。

まるで、出口のないトンネルにいるみたい。

焦って思わず助けを求めた。誰かいないかと思ったのだろうか?

「おーい!」

大きな声は、おーいおーいおーいとこだましてやがて聞こえなくなった。

「どーしよ…」

ほんとに帰れないかもしれない。

次に、走ってみた。

どこまでも続くような白い世界。

一分ほど走ってみたがどこかにつく気配もない。

途方にくれてあたしは荒い息のまま座り込んだ。

はっ、はっと息を吐く。だんだんとそれに嗚咽が混じってきた。

いやだ、子どもみたい。

生きてる人間が来てはいけないところに来てしまった状況なのに、心の中は不思議と子供の頃迷子になったときの単純な淋しさだけで満たされていた。

死神さんが伸ばしてくれた手を取れていたら……。

永遠の白い世界は淋しさを余計に引き立てる。

あたしは宙をにらんだ。果てしなくすました白が恨めしい。あたしを出すつもりなんてなさそうだ。


ボッ、ボッ、ボ…。

「…?!」

何これ?

何もなかった空間に、急に日がつきはじめた。

いや、何もなかったんじゃない。

まわりと同じように白い燭台とろうそくに、火が灯りはじめたんだ。

火は、奥へ奥へと順番に、規則正しくついていく。

なんとなく、火がついていくほうをたどってみた。

何かが起きるのを期待した。



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