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第三十六話

同時刻、死神側の世界。


深い、深い、黒い森。

平坦な大地に、同じような種類の同じような高さの木々が鬱蒼と茂っている。果てしなく続く木々の海だ。

森の上では人間界のものより少し大きめのカラス達が忙しく飛び回っている。

森の中心には、巨大な建造物があった。

レンガ造りの、西洋の城を思わせる外観。

それは死神達の領域だ。

上に剣のような形がいくつも突き出ている厳重な門は人間界と死神界をつなぐ境目の門だ。

門番は居眠りをしている。

そこに、アルマは全速力で現れた。

アルマはたまたまグリムと真千子の前を通りかかって、グリムが無理やり契約しようとしてるのを見た。

急がなきゃ。あいつを止めないと。

そしてそのためには、謹慎中のあの死神も連れてこないと。

身軽な体を生かして、木でもバルコニーの手すりでも何でも足場にして謹慎部屋をめざす。

アルマは謹慎部屋の鍵の管理を任されていた。まさかこんなときに役立つなんて。

手すりに重厚な木の彫刻が施された大きな階段を駆け上がる。

その先には、謹慎部屋へと続く長い廊下が見えた。あと少し。

目的の部屋の前にきた。息が上がっていて集中しない手元を叱咤しながら懐から鍵束を取り出す。

ずっしりと重たい鍵束から慣れた手つきでここの部屋のを探し出し、勢いよく回して開けた。

中の死神は当然のことながら、一体何事かと目を丸くしてこちらを見た。

「大変よ、今すぐ来て!いいから早く。あたしが許すから!真千子が大変なの!!」

「彼女がどうしたって?」

死神は立ち上がって言った。

「理解が早くて助かるわ。とにかくあたしについてきてちょうだい」

2人は部屋を出た。









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