表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/46

第三十三話

「アイツさーーー」

どんっ。

「ストップ…」

勝手に体が動いていた。

あたしはグリムの話を止めるために彼を突き飛ばした。

「っとー、びっくりしたー!」

危なかった。

死神さんを疑ってしまうところだった。

グリムは髪をかきあげながら、やれやれと首を振る。

「なつかチャンはさあ、結局アイツ一筋なんだねぇー」

「はあ?そんなこと言ってない…」

グリムと話してると疲れる。

チャラチャラ話しているように見えて、本音をついてくるからだ。

だからあたしは気が抜けない。

本当のことなんて話さない。

「でもさあー、死神に恋なんかしたって無駄なんだぜ?えらーくぞっこんみたいだけど」

「誰がいつ恋とか言った!?そういう話やめてよっっ!!」

口調が荒くなる。

でもグリムは面白がってるみたいだ。こっちが向きになればなるほど口角が上がる。

「違うの?えー、それはないと思うけどな〜」

「………」

「あーあー、気にしないでいいんだぜ?そーゆーコいっぱいいるから!報われてるコは見たことないけど」

少し意地悪だったかな、とグリムは言ってから思った。

(まあいいか…このコとはあと4日だし。人間なんて、所詮使い捨て。かわいいコにあたればラッキー、それだけ…)

ああでも、泣かれたら面倒だな…と思いながら真千子を見る。

「あれ…」

真千子の表情は、グリムが想像した弱々しいものではなかった。

「報われなくていい」

「な、何だよ…」

「あたしは…助手がやれてれば、それでいいの」

「え?って、おいおい…どこ行くのさ?」

「二件目…」

「あ、ああ…うん」

変わってる。

助手の仕事が好きなのか?


今まで契約してきた人間は、もって三年だった。

どいつもこいつも、時間があわないとか、子供ができたとか、人間らしい理由で辞めていく。

少なくとも今までの人間は、死神の仕事なんて死に関わる嫌なものだと思っていた。

それなのにーーー、、。



「グリムさん、なんで喋らないんですか?」

真千子はグリムの名前を呼ぶときは、距離をとるためにさん付けにしている。馴れ馴れしく呼び捨てにして、心を許してるなんて思われるのはごめんだ。

「んー…、なつかチャンの気持ちに答えるため?とか?」

「いや…意味わからないんですけど」

グリムが聞いたこともない真面目な口調で答えたので、調子が狂う。

結局、その言葉の意味はわからなかったけれど、それからグリムは真面目に接してくれるようになった。

いきなりの変化で戸惑ったが、害はないので良しとする。

淡々と仕事をこなす日々が続いて、いつの間にやら一週間は終わった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ