第十五話
「というわけで、ここまでが中間の範囲ねーじゃ終わります」
ああ、またノート取ってない…。
ずっと契約印をさわっては、リストに対する責任を思ってため息をついていた。
こんなことになるなんて、死神さんに顔向けできないよ……
「リストがなくなった?」
「うん…」
うなだれて返事をする。
ああ、頼りないやつだと思ってるよね。ぜったい。
「リストは手元を離れても戻ってくるんだよ?たとえ捨てようとして遠くの場所で燃やしても、またもとの状態で真千子ちゃんに戻ってくる」
「ええ?じゃあなんで?」
そんなものだったとは。
なんかホラーちっくだ…。
「…前にも、あったんだ。同じようなことが。そのときは他の死神が盗んでた」
「盗むって…何のために!?」
「リストの書き換え…」
死亡予定表を、書き換える?
そんなことがーーー
「できるもんなの…?」
あたしが聞くと、死神さんは遠い目をした。え…なにその表情。
これまで一回も見たことない。
昔の事を思ってるような…誰かの事を考えてるような…
「したらいけない事だ。でも実際はできる」
「うっそ……」
じゃあ待ってよ。もし、リストをめくって両親やミサキとか、拓馬とかが載ってたら…。そのときあたしはどうするんだろう?
書き換えられるんだから、死なないように書き換えちゃう?
「書き換えることができるんなら、、。しょっちゅう書き換えられたりするんじゃ?」
「自分が持ってるリストでは出来ない。他人のリストでは出来てしまうんだ」
「だから盗んだの…あたしどうすれば」
ごめんなさい、と何回も言った。
それしかできない。
でも死神さんは落ち着いてて、謝らないでいいと言ってくれた。
どうしてそんな優しいの?
余計苦しくなる…




