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第六十一話:襲撃

「閣下も思い切った事をされましたね。」


「はて、何の事やら?」


「オルビア伯爵家に絶縁状を送った事ですよ。」


「お兄様、オルビア子爵の自業自得ですわ。」


ロザリオ侯爵邸にレオンとアシュリーが訪れた。訪れた理由は勿論、アルクエイドがオルビア伯爵家に大して絶縁状を叩きつけた事である。アルクエイドが絶縁をした理由をありのまま話した事でオルビア伯爵家は総スカンをくらい、オルビア伯爵家と親戚筋であったお歴々からも絶縁をくらい今では孤立無援の状態が続いているのだとか・・・・


「それにしてもオルビア伯爵がそのような事をするとは思いませんでした。」


「レオン令息殿、人は表向きの評判に惑わされるものですよ。見た目の良さ、人当たりの良さでコロッと騙される事はよくありますから。」


「そうですわ、お兄様。人の噂なんて当てになりませんわ。閣下が絶縁状を送るという事はそれだけの事を仕出かしたのですから。」


「それもそうだな。」


「そういえば今夜、夜会がありましたね。」


アルクエイドが今夜、夜会がある事を告げるとレオンとアシュリーは苦笑いを浮かべた。実は絶縁状がオルビア伯爵家に届いた後に周囲から総スカンをくらい、此度の夜会は病で欠席する事になったのである。絶縁の理由も相まって出席できずにいるオルビア伯爵家に対してレオンは思い出し笑いをしてしまった


「閣下、流石に今夜の夜会には出席できませんよ(笑)」


「お兄様、そんなに笑ったら失礼ですわよ。」


「アシュリー、ロザリオ侯爵閣下を怒らせたオルビア伯爵がどんな顔をして会えると思う?私がオルビア伯爵の立場だったら恥ずかしくて顔を出せないよ(笑)」


「あはは(やはり心配だわ)」


アルクエイドが苦笑いを浮かべつつも何やら胸騒ぎがを感じた。アルクエイドは天性の勘の鋭さを持っていたため危機を回避する事が今日まで生きてこれたのである。アルクエイドは念のために屋敷の警備を厳重にするだけではなくオルビア伯爵家に隠密を放ち、監視をしていた


「(報告によればオルビア伯爵は連日のように夫人と喧嘩を繰り返し、娘たちは自分の部屋に引きこもる有り様だとか、でも油断はできないわね・・・・)」


「・・・・か、閣下!」


「ん?」


「どうかされましたか?」


アルクエイドが考え事をしているとアシュリーが何度も声をかけてきた事でようやく気付いた。レオンも心配そうに尋ねて来た


「ああ、これは失礼。少し考え事をしていました。」


「考え事とは何ですか?」


「いや別に他意はありませんよ、アシュリー嬢。」


「アシュリー、それ以上は深入りしない方がいい。」


「・・・・はい。」


心配するアシュリーに対して何かを察したのか、これ以上尋ねるのは無粋だとレオンが諫めた。アシュリーもレオンの忠告に耳を貸し、それ以上尋ねるような事はしなかった。アルクエイドは2人の気遣いに感謝しつつ今夜の夜会と屋敷の警備に念を入れるのであった。一方、オルビア伯爵邸ではマリとモニカは使用人たちに命じて暗殺専門の隠密を雇ったのである。隠密たちは別室にてマリとモニカの計画を聞いていた


「今夜の夜会でロザリオ侯爵はいない、その隙を狙うわ。」


「で、相手は?」


「女狐のアンよ、始末すれば報酬は渡すわ。」


「これがその肖像画よ。」


マリとモニカはアンがアルクエイドに讒言をした事でオルビア伯爵家が孤立無援の状態になったと思っており、アンを亡き者にする事で恨みを晴らそうと考えていたのである


「では頼んだわよ。」


「御意!」


隠密たちは別室を退出した。マリとモニカはアンの最期を思い浮かべ、醜悪な笑みを浮かべた


「ふふふ、精々最期の時間を楽しみなさい。」


「あんたみたいな出涸らしに相応しい最期が楽しみだわ。」








「では留守は任せたぞ。」


「ははっ。」


「奴らのアジトを見つけたら・・・・」


「それも然り。」


「それとオルビア伯爵家の隠密が我が屋敷に入ってくれば・・・・分かってるな?」


「心得ております。」


アルクエイドは夜会に向かう頃にジュードに留守を任せていた。オルビア伯爵家に不穏な動きがあると隠密からの報告があり、屋敷中を騎士と隠密で固めた


「念のためにアンの警備も怠りなくな。」


「畏まりました。」


アルクエイドはアンへの警備も念を入れていた。もしオルビア伯爵家の狙いがアンなら拉致か、あるいは・・・・


「(今更、考えても仕方がない。今は夜会の方に専念する他はない。)」


心配しつつも今は夜会の事だけを考え、ジュードたちに留守を任せ王宮へと向かうアルクエイドであった






「それでロザリオ侯爵は王宮へ向かったか?」


「はい、ロザリオ侯爵が王宮へ向かいました。」


「よし。」


マリとモニカから依頼を受けた隠密たちはアジトに潜み、アンを始末するべく画策していた


「主不在とはいえ警備の方は厳重やも知れん。相手が相手だからな。」


「ええ、ロザリオ侯爵は隠密の重要性を誰よりも理解している。もしかしたら我等の狙いにも気付いているはずだ。」


「頭、何もこんな任務引き受ける事はなかったでしょうに。」


「我等はアンという娘を始末するだけの事だ。もしロザリオ侯爵の首を取れと命じられていたら即断るわ。」


アン暗殺の依頼を受けた隠密たちはアルクエイド・ロザリオという男を恐れており、もしアルクエイドを暗殺しろと命じられたら即辞退するつもりだった。相手がアンという小娘であれば始末する事なぞ造作もなかった。頭である隠密は部下たちに指令を下した


「まずはお前たちは囮役となりロザリオ侯爵家に仕える騎士や隠密たちを引き付けろ。」


「「「「「御意!」」」」


「その間に他の者は屋敷に侵入しアン・フレイヤの首を取れ!」


「「「「「御意!」」」」


隠密たちは準備を始めると突然、窓ガラスが割られ中から球体が隠密たちの前に現れた。頭である隠密がその球体を見るや「散れ」と部下たちに命じたが時既に遅く、球体から白い煙が立ち込めた


「ゴホッ!ゴホッ!・・・・・くっさ!」


「何だ!この臭いは!」


「く、臭すぎる!」


「鼻が曲がる!」


「た、助けて!」


隠密たちは激烈な悪臭がによって身動きが取れずにいた。割られた窓はというと既に塞がれており、臭いはアジトに充満していた。出入り口から脱出しようと試みたが既にこちらも塞がれており、完全に逃げ道が絶たれていたのである


「か、かしら、く、くさああああああ!」


「め、目が痛い!」


「うえおおおおおお!」


「も、もう駄目・・・・」


部下たちは臭いに耐え切れず一人一人倒れていった。頭は割られた窓から脱出しようとしたら塞がれたのは厚い鉄板であり外は何者かの力で塞がれていた。それでも頭は諦めずに立ち向かったが鉄板はびくともしなかった


「く、く、くそおおおお。」


その頭も悪臭に耐え切れず、隠密たちは全員気絶したのである。外では改めて新兵器となった球体についての会話があった


「中にいた奴らは全員気絶したようだな。」


「ああ、それにしてもこの新兵器は強烈だな。」


「ああ、旦那様らしくえげつない兵器だ。」


「まあ、仕方があるまい。ロザリオ侯爵家を敵に回した時点でオシマイだからな。」


「この事をジュード様に報告だな。」


勿論の事だが正体はロザリオ侯爵家に仕える隠密たちであり、敵のアジトを突き止め新兵器のテストを行った結果、えげつないほどの良い結果に終わった事でアン・フレイヤ暗殺は未遂に終わるのであった


「以上が報告にございます。」


「うむ、奴らの口を割らせろ。勿論、手段は選ぶな。」


「御意。」


「旦那様、何とか任務は果たせましたぞ。」


ジュードは王宮を見ながらそう呟くのであった

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