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第五十話:サンドラ王国

「気に入った!アシュリー・ゴルテア嬢。今すぐ私の妃になれ!」


「「え!?」」


アルクエイドの婚約者であるアシュリーにプロポーズをしたのは砂漠の国であるサンドラ王国の第3王子のジオルド・サンドラ【年齢18歳、身長176cm、褐色肌、肩まで伸びた漆黒の長髪、碧眼、彫りの深い端整な顔立ち、高慢で高飛車、非常に世間知らず】である。何故、このような経緯になったのかというとガルグマク王国にサンドラ王国の使節団が同盟締結のために訪れたのである。国王グレゴリーは事前にサンドラ王国と手紙の遣り取りをしていたので迎える準備を済ませ、彼の国の使節団を迎え入れた


「遠路、はるばるよう参られた。」


「ガルグマク王にはご機嫌麗しゅうございます。」


使節団の大使として訪れたのはサンドラ王国の第3王子であるジオルド・サンドラであり、副使はサルドバ・ソルトレイク公爵【年齢35歳、身長178cm、褐色肌、碧眼、彫りの深い精悍な顔立ち】とその一行である


「それで同盟締結に参られたとか?」


「相違ございません。(何度同じ事を聞くんじゃねぇよ。)」


「我が国と貴国は長年に渡って交流がなく、かといって戦争もございませんでした。我等が国王陛下はガルグマク王との同盟締結を切に願っております。(役目をチャチャと終えて、さっさと帰りてえよ。くそ、だりぃぃぃ。)」


「そうか。」


国王グレゴリーは内心、どうでも良かった。サンドラ王国は不毛な平地と広大な砂漠地帯と限られたオアシスと海と複数の塩湖しかない国であるが交通の要衝として陸路及び海路での交易が活発に行われている。同盟を結ぶのはやぶさかではないが、かといってサンドラ王国が重要かというとそうでもない


「まあ、その話は後日するとして宿舎にてゆるりと休まれよ。ささやかながらパーティーの準備も進めておる故、楽しまれよ。」


「感謝致します。(めんどくせえが出席してやるか、有り難く思え。)」


国王グレゴリーは退出し執務室に戻った後、宰相レスター・アルグレンと外務大臣のホルス・フォードを呼び、サンドラ王国との同盟について話し合った


「さて向こうは同盟締結のためにわざわざ来たのだが、余としてはどちらでも構わんと思っている。」


「それは結ばなくても良いと言うことにございましょうか?」


「そう言っているのだ。同盟を結んでも良いが砂漠と海だけの国には挨拶に向かうのが億劫だがな。」


「ではそのように致しましょう。」


「うむ。(アルクエイドに聞いておいて良かったわ。)


サンドラ王国についてはアルクエイドから聞かされていた。アルクエイド曰く、サンドラ王国は不毛な平地と広大な砂漠地帯、限られたオアシスに人口が集中している。サンドラ王国の食糧については砂漠にある複数の塩湖と山脈から取れる湖塩と岩塩、海から取れる新鮮な魚介類と海水塩、ラクダと馬と山羊と羊から取れる乳製品と羊毛と肉である。資源については塩の他に複数の海岸層から取れる砂金&砂鉄しかないなく、農作物や畜産物等の食糧は砂金や塩で買い取っているとの事である


「(我が国でも河川流域と海岸から砂金は取れるし塩にも困っていないから、それほど重要ではないしな)」


グレゴリーは明日、行われるパーティーの準備を進めるのであった





「やれやれ、パーティーに出席するのは楽じゃないな。」


「こればかりは仕方がありませぬ、サンドラ王国の使節団がお越しになられた以上、パーティーには出席せねばなりませぬ。」


「分かっておるわ、それにしても御苦労な事だな。」


アルクエイドの下へパーティーの招待状が届きパーティー用の正装に身を包んだ後、馬車に乗り王宮へ向かった。その道中でサンドラ王国との同盟についてふと考えていた。サンドラ王国は交通の要衝として交易で成り立っている国なので商売を展開する上では便乗するのも悪くはないが何やら胸騒ぎもしており、二の足を踏んでいた


「同盟を結ぼうが私に危険が降りかからなきゃいいけど・・・・」


そうこうしているうちに王宮に到着するとそこへ別の馬車から降りたアシュリーと鉢合わせとなったのである


「閣下!」


「アシュリー嬢。」


馬車を降りたアシュリーは優雅にアルクエイドの下へ駆け付けた


「奇遇ですわね、閣下。」


「アシュリー嬢も招待されたのですね。」


「はい♪」


「ロザリオ侯爵殿。」


アシュリーの跡を追うようにゴルテア侯爵一家【クリフとエリナとレオン】が駆け付けた


「ごきげんよう、ゴルテア侯爵閣下、御夫人 令息殿。」


「「「ごきげんよう。」」」


互いに挨拶を済ませた後、共に王宮に入り近衛兵等に案内されパーティー会場に入るとそこにはお歴々の方々が殊の外、賑わっておりアルクエイドとクリフはパーティーの異様さに感づいたのである


「随分と賑やかになりましたな。」


「サンドラ王国の使節団が我が国に来訪されたのでしょうな。」


「まあ、同盟を結ぶかどうかは陛下御自らお決めになられる事ですからね。」


「我等、臣下はそれに従うのみ。」


アルクエイドはサンドラ王国との同盟については国王に任せる事にしつつ始まるまで婚約者のアシュリーとお歴々と談笑をしていると侍従が「陛下の御成りにございます」が響いた。アルクエイド等は会場の中央部に目線を変えると、そこへ国王グレゴリー、王妃レティーシア、王太子グラン、その婚約者であるレレミリア、そしてサンドラ王国の大使のジオルド第3王子と副使のサルドバ公爵が入室した途端にアルクエイド等は臣下の礼を取った


「楽にせよ。」


「「「「「ありがとうございます。」」」」」


「うむ、皆の者。本日はサンドラ王国より大使のジオルド第3王子と副使のサルドバ公爵が遠路はるばる御来訪された。今宵は彼の国の方々を盛大に迎えようではないか。」


「「「「「ははっ!」」」」」


「ではジオルド殿。」


「はい。」


グレゴリーが促すとジオルドは前に出て挨拶のスピーチをした


「お歴々の皆々様、私はサンドラ王国第3王子のジオルド・サンドラ、今宵はパーティーに招待していただいた事を心から感謝する。お歴々の皆様とも親交を深めていきたいと私は思っている。今日はパーティーを楽しもう・・・・では乾杯!(来てやったんだから有り難く思え、愚民ども。)」


ジオルドが乾杯の音頭を取ると、国王及びお歴々も「乾杯」と返した。そこからパーティーが始まった。多くのお歴々はジオルドの下へ挨拶に伺うがアルクエイドはすぐに挨拶には伺わなかった。挨拶に行かないアルクエイドにアシュリーは話しかけた


「閣下は挨拶なされないのですか?」


「勿論しますよ、ただ今すぐではありません。」


アルクエイドは大使として派遣されたジオルドを値踏みするように眺めていた。大使を務めるとなればサンドラ王国の代表といえるポジション、同盟締結という大事な任務を18歳の若者が務められるかどうかを眺めていた


「アシュリー嬢は挨拶に伺わないのですか?」


「私は父と共に挨拶に伺います。今はお歴々の方々がいるんで・・・・」


アシュリーの言う通り、ジオルドの周囲には我が国のお歴々の群れがおり、入れる隙間がなかった。クリフもアルクエイド同様、慌てずに終わるまで待つことにした


「ゴルテア侯爵閣下は大変聡明な御方、時期を伺っておられる。」


「えぇ、父はここぞという時には動きますからね。」


一方、ジオルドの方はというと少々、うんざりしていた。何で自分がこんなところで愛想笑いをしなければならないのかと内心、不貞腐れていた。父である国王の命で第3王子としての実績作りのために縁もゆかりもないガルグマク王国との同盟締結のためにやって来たが如何せん自由がない。現に副使という名の目付役であるサルドバから「くれぐれも粗相はなされぬよう」と口を酸っぱく忠告されるのである。目の前にいるガルグマク王国のお歴々に対して愛想笑いを浮かべていた


「(はぁ~、早く終わってほしい・・・・ん?)」


ふとジオルドは1人の令嬢に目がつき、いつの間にかお歴々から抜け出した。副使のサルドバは驚き、跡を追った。ジオルドは令嬢の前に止まり、名を尋ねた


「そなたの名は何という?」


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