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第四十九話:予防接種

グドンの謀反から北の牢獄が歴史博物館になってから一週間が経ち、今日はガルグマク王国にて定期的に行われる予防接種の日である。王族、貴族、準貴族、平民は必ず接種しなければならないという義務があり、大人も子供の関係なく予防接種するのである。今日も王宮にて王族の他に王都在住の貴族、準貴族の予防接種が行われた


「「「「「ウワワワワン!」」」」」


今日も貴族の令息と令嬢、特に子供の鳴き声が響き渡っている。アルクエイドはレオンとアシュリー兄妹とマリアンヌと共に予防接種を受ける事となった


「あれは初めて受けた令息と令嬢でしょうね。」


「左様でございますね、旦那様。」


「そういえばお前もビイビイ泣いてたな。」


「な、何を申されるのですか、お兄様!そういうお兄様だってビイビイ泣いていたとお父様が仰っていましたわ!」


「御二方とも、お静かに。」


「「は、はい、申し訳ありません。」」


「旦那様は初めての予防接種は如何にございましたか?」


「初めての予防接種は・・・・痛かったな。」


アルクエイドは子供の頃を思い出していた。あの時は両親と共に受けに行った。前世は子供の頃から予防接種を受けたから平気だと思っていた。そして自分の番になり、早速予防接種を受けたが・・・・


「いっつ!」


やはり子供の頃に戻ったせいで予防接種の時の痛覚が敏感に感じ取ったのか、それとも医者が下手くそなのかは分からないが思わず「いっつ!」と声に出してしまった。予防接種を行った医者からは・・・・


「初めて受けた令息と令嬢は大泣きするのにロザリオ伯爵閣下の御令息(アルクエイド・ロザリオ)様は一切泣かないなんてすごいですね、まるで受けた事があるみたいですね。」


医者からは他の令息や令嬢と違って一切泣かない事を褒められ、父である前ロザリオ伯爵が鼻高々だったのは言うまでもなかった


「閣下が泣かなかったなんて驚きですわ。」


「お前と違って閣下は他の貴族よりも忍耐強い御方なんだよ。」


「お兄様だって人の事が言えないではありませんか。」


「何だと!」


「何を!」


「ごほん。」


「「も、申し訳ありません。」」


「あ、旦那様、私たちの番になりました。」


アルクエイドたちの番になり、王宮に仕える主治医たちがワクチン入りの予防接種を持って待ち構えており、アルクエイドたちは利き腕でない腕を出した


「ではロザリオ侯爵閣下、まずは消毒致します。」


主治医は消毒綿を刺すところに拭いた後、注射を刺しワクチンを体内に注いだ後、スッと注射針を離し粘着用のガーゼを張られた。アルクエイドはいつものように無表情で主治医の説明を聞いていた


「はい、これで終わりです。接種後は過度な運動や飲酒はお控えください。後、刺したところは擦らないように。」


「ええ。」


主治医から接種後の説明を受けた後、次に受けるのはレオンの番となった。レオンはというと注射を目にした途端、ごくんと生唾を飲んだ


「ではゴルテア侯爵令息、まずは消毒致します。」


アルクエイド同様、主治医は消毒綿を刺すところに拭いた後、注射を刺しワクチンを体内に注いだ


「う!」


ワクチンを注がれた時に痛みが出始め顔を歪めたが、スッと注射針を離し粘着用のガーゼを張られた途端、安心したのかホッとした表情を浮かべた。主治医からの説明を受けた後、レオンは何事もなかったように済ませようと思ったがアシュリーには既にばれており、ふふっと微笑んだ。レオンは罰が悪そうに席を後にしてアシュリーの番が来た。利き腕でない方に消毒綿で拭き取った後、注射を刺されワクチンを注がれた後、スッと注射針を離し粘着用のガーゼを張られた。アシュリーは表情に出さず笑顔で対応した後、レオンに先程の笑みを浮かべた


「(何ともありませんでしたわよ、お兄様(笑))」


「(何か馬鹿にされた気分だ。)」


最後にマリアンヌの番となり3人同様、消毒綿で拭き取った後、注射を刺されワクチンを注ぎ、スッと注射針を離し粘着用のガーゼを張られた。マリアンヌもアルクエイド同様、無表情で主治医の説明を聞いた後、4人は王宮を出た


「お兄様、大丈夫でしたか(笑)」


「い、医者の腕が下手だったんだ!」


「ぷぷっ、負け惜しみですわね(笑)」


「何をこの!」


「はいはい御二方、喧嘩は御止しなさい。」


レオンとアシュリーの兄妹喧嘩を止めるアルクエイド、その様子を微笑ましく眺めるマリアンヌ、予防接種を終わらせた後、レオンとアシュリーと別れ、屋敷へ戻った。マリアンヌはアルクエイドから予防接種を受けた後は仕事をせずに休むよう通達していたのでマリアンヌは休む事にしたのである


「ふぅ~。」


アルクエイドも食事を終え、入浴も医者の言う通り注射を刺したところは擦らずにそっと触るだけで体を洗い湯船に浸かった


「(こっちの世界は意外としっかりしているのね、貴族だけじゃなく平民にも予防接種をさせるなんて・・・・やっぱり流行病が原因かしらね。)」


ガルグマク王国が身分を問わず予防接種を義務付けたのは、アルクエイドが誕生する百数年前にガルグマク王国だけではなく他国で起こった流行性感染症【現代でいうインフルエンザ】が流行っており、身分・制別・老若男女を問わず100万人以上の命が失ったという。今のワクチンが製造されてからは死者は減少し今では風邪扱いされるくらいに落ち着いた


「そういえば新しいワクチンと新薬の製造はどこまで進んでるのだか。」


ガルグマク王国国営の研究所で感染症に対する新しいワクチンと新薬が製造されている。アルクエイドもワクチンと新薬の開発費用を捻出しており、少なからず期待は寄せている。ガルグマク王国では治験はやるが長期間に渡ってはやらず重罪人を人体実験として行い、問題がなければ世間に公表する事になっている


「(効果さえ証明できればすぐに製造販売できるところがいいのよね。まぁ、それまで待つとしましょうか。)」


アルクエイドはまだ見ぬ新薬とワクチン完成を夢見つつ、ゆっくりと体を休ませながら待つのであった


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