消費税に関わる諸問題(1)
たまには時事ネタもやってみようかと思い立ち……
是非はともかく、食料品にかかる消費税を一時的にゼロにするとか何とかいう話がチラホラあって、こんな意見が出ています。
「システムの改修に一年近くかかるという話」
それに対してこんな反論が。
「税率をゼロにするなんて一分あれば済む話」
さて、どちらが正解なのか。今回は作者の本業であるシステム屋の経験上、こんな感じになりますというお話です。もちろん、世の中のすべてがこれから書く内容通りではありませんが、こういうシステムが実際に世の中にはあるという一例ということで。
まずは消費税についておさらい。
消費税の制度が始まったのは1989年(平成元年)4月1日。3%でスタートしました。
その後、1997年(平成9年)4月1日から5%に。2014年(平成26年)4月1日から8%に。そして2019年(令和元年)10月1日から10%になりました。なお、現在の制度では食料品に関しては軽減税率として8%となっています。
一番最初、3%で始まった当時、コンピュータというのは企業では一応普及していて、請求処理やら会計業務で広く使われ始めていて、この消費税の導入のために色々と手を入れていたのは間違いないようです。さすがに作者もその当時の業界のことはよくわかりませんが、会社の古い資料――すべて手書きだった――を見る限り、システム全体に色々と手を入れなければならなかったような事が書かれていました。
当然ですね。
あらゆる売上業務に税金がかかるようになったのですから、全面的に手を入れなければならないのは当然の流れです。
その後、税率が上がっていくわけですが、ここで色々と勘違いが。
よく見かける記事やコメントとしてあるのがこれ。
税率を簡単に変更できないってことはプログラムに固定値で書かれているのか。馬鹿じゃねえの?
とりあえずここからキチンと反論しておかねばなるまい。
まず押さえておきたい情報として、現行の軽減税率8%と以前の一律8%は、その性質が違うということ。物を買ったときに支払う消費税は、払う分には違いがありませんが、それを納めるときには違いがあります。
過去分まで遡ってみると……
1989年3%時代……すべて国税
1997年5%時代……国税4%、地方税1%
2014年8%時代……国税6.3%、地方税1.7%
2019年10%時代……10%は国税7.8%、地方税2.2%。8%は国税6.24%、地方税1.76%
消費税は国税と地方税(都道府県単位だそうです)に別れていて、現在の軽減税率8%と以前の8%ではその内訳が違う、別物です。そして、納付するときにそれぞれいくら、と申告書に記載しなければなりません。
つまり、少なくとも3%から5%に変更されたときには、この内訳の計算を追加しなければならなかったわけで、何らかのシステム改修は必要だったわけです。また、10%に引き上げられたときにも軽減税率の扱いやインボイスの対応がありましたので、システム改修は必要でした。税率の設定を変えるだけ、なんて単純だったのは5%から8%の時くらいだったのだということをまずは押さえておきましょう。
え?なんでいまさら過去の話をしているのかって?実は、制度上は……現在でも3%の消費税での売上があり得るから、です。まあ、実際にはもう発生していないと思いますが、それでも過去の8%消費税はまだ発生している可能性がわずかに残っています。具体的には2019年9月30日までに締結されたリースは8%の税率が適用されています。
「いや、リースなんて、個人ではほとんど関係ないだろ」
と思った方へ。ほとんどの場合、ガス漏れ警報器はリースです。まあ、だいたいの場合が5年リースなので、ほぼ関係ないのですが、10%に上がった直後も8%のままで継続していたはずです。そのため、交換後はリース料が上がるのですが……ガス会社が「税込みいくら」で統一しているケースもあるため、ほぼ影響なし、ということが多いかも知れませんね。あとは車のリースも最近はちょいちょい見かけますが、リース期間が10年程度の長期契約プランもあるそうなので、こちらも8%のまま残っていそうです。
さて、何が言いたいのかというと、とてもシンプルです。
同じ商品、取引形態の売り上げであっても、消費税率が違うケースはたくさんあるため、税率をDBに登録しておけば万事解決ではない
ということ。
つまり、レジの設定を変えれば解決、というほど単純では済まされないのです。
「いや、単純だろ。今話題になってるのは軽減税率が適用される食料品。さすがに食料品はリースにならないんだからさ」
確かにその通り。
しかし、物事はそんなに単純ではないのです。




