Tea and sandwiches or something else?
ほのぼの(?)後日談です。
望まれる方々がおられたので投下します。
「ふう」
俺は薬草畑から調合に必要なものを収穫し、果物園から生りたてのリンゴやオレンジを採って、一息ついた。
今日もいい天気だ。
ここは、セレニティの町から、少し離れた場所にある、小さな集落。
酪農家、園芸家、芸術家、作家、音楽家、人嫌いな研究者、スローライフ目的、等々、そんな人たちが自然と集まって、ちょっとした村みたいになっているところだ。
あれから。
俺たちは、ルーストの町でマツリ姉たちと別れた後、大陸の南部へと向かった。
年に一度、条件が揃った時にしかみられないという、幻の花咲き乱れる場所へ行く為に。
まあそれは、どうにかこうにか間に合って、そして一月半かけて、セレニティまで戻ってきた。
セレニティの町は大きくはないけど、なかなか便利な町だ。
春の花祭りと秋の収穫祭がそこそこ有名で、冒険者協会の支部もあり、一通りは困らない程度に揃っている。
そろそろどこか落ち着ける家が欲しいなと思って、冒険者協会を覗いてみた。
冒険者協会には、共有掲示板がある。
冒険者へ、または、冒険者から冒険者へ向けて、各種勧誘や、広告、御案内、お譲りします、お譲り下さい、探しています、至急連絡されたし、等々、様々な情報が寄せられているごった煮のような掲示板だ。
その中にはもちろん、物件情報も含まれている。
張り紙が上に重なるぐらい貼りまくられた掲示板を覗いてみたところ。
一枚の張り紙を見つけた。
[ここから少し離れた集落に、空家が1軒あります。新鮮な空気と緑溢れる郊外での快適なスローライフ、いかがですか?]
という内容の。
2階建て。
しかもなんと、広い庭と、広い畑、果樹園付き。
俺たちはそこに行ってみる事にした。
空家は、即買いだった。
俺がリアルマネーで最大まで拡張したゲーム内の俺の家によく似ていたし、少し古いけどきちんと丁寧に補修されていて、良い感じがした。俺のこういう瞬間的な勘はよく当たる。
しかも30万シェル。破格だ。
全額払うと言ってきかないシグさんを、どうにかこうにか、なだめすかして説得して説き伏せて、折半にさせた。
あれはなかなか大変だった。
なんでそんなに意固地になってんだ。二人で住むんだから、半分負担するのは当然だろう。これだけは絶対に譲れない。
俺たちを案内してくれた、目が開いてるのか閉じてるのか判別不可能な糸目の爺さん──違った、集落長の話では。
近年住人の過疎化と高齢化が進んでいるので、若者集めに定期的に、空き家を綺麗にして安く売り出している、とのこと。
なんだかどこかで聞いたような内容である。あれだ。ニュース番組でよく流れてるやつだ。
セレニティもそうだけど、住んでる人達も温暖な気候と年中花に囲まれている所為か、のほほんと──いや、のんびりとしていた。
だからなのかは分からないが、人から人以外まで様々な種族が混在してても、普通に、当り前みたいに暮らしている。
気ままで、ゆったりした集落の雰囲気。
それも決めた理由の1つ。
俺は丸太でつくられたベンチに腰掛けて、作業用の手袋を脱いで、置いておいた水筒の水を飲んだ。
正午を過ぎた、ちょっだけ強い日差しが降り注いでいる。
少し眩しかったが、俺は楽しくて、空を見上げ続けた。
この身体になってから。
俺のアイデンティティであったアレは無くなるし、ひ弱だし、力はないし、良い事がひとつもないと嘆くばかりだったが、よかったことも、まあ、あるにはあった。
もう、紫外線を気にしなくてもいい、という事。
日焼け止めを塗って、上から下まで完全防備で農園にでなくても、帽子とエプロンと作業手袋ぐらいで長時間外にでていられるのだ。
これは嬉しい。マジで嬉しい。マジで大変だったからな。赤くなって湿疹でてくるし。しかも薬飲まないとずっと痛いし、痒いままだった。
この事も、ここへきて良かった事の1つに、まあ、加えてやらんでもない。
「キュー!」
「キュ!」
「ミュ!」
少し休憩していると、丸い花だらけのコケボールと、緑色の小さなコケ玉が3つ、ピョコピョコとこちらに向かって跳ねてきた。
コケ太郎と、その友達だ。
この周辺は、自然がとても豊かで、水も綺麗で豊富だからか、綺麗な自然がいっぱいの場所にしか生息していないコケ玉、いや、コケ太郎の種族──幻草玉族が、草むらや小川の側でコロコロしてるのを見つける事が出来る。
コケ太郎は俺がしっかり育てたからボール並の大きさになっているが、一般的には掌サイズの、とても小さな種族だ。
小さな3つのコケ玉は、俺の脇に来るなり、ぴょんぴょん跳びはねた。
どことなく、誇らしげに。
俺は笑って、用意していた、花の蜜で少し甘みをつけた水筒の水を掌にとって、順番にかけてやった。嬉しそうにまた飛び跳ねる。
ここへきて仲よくなったコケ玉3兄弟は、毎日コケ太郎と一緒に、遊ん──いや、畑の見回りをしてくれている。
鳥や獣が来たら知らせてくれたり追い払ってくれたりするから、とても頼りになる小さな警備員たちだ。
「ご苦労様! 畑の見回り、ありがとな!」
「キュキュー!」
「サクヤちゃーん! コケちゃーん! こんにちわ〜!」
「ぜえ、ぜえ、ち、ちわーす……!」
間延びした女性の声と、瀕死寸前の若い青年の声がした。
見ると、畑の脇を通っている道から、ピンクのつなぎを着て日に焼けた婆さんが、元気よく両手を高く上げて振っていた。頭の上の猫の耳がぴこぴこ動いている。
その後ろでは、野菜をいっぱい積みこんだリアカーを、顔を真っ赤にして引っぱっている青年。
青年は猫耳を後ろに倒して、息も絶え絶えな表情で、ぺこっとこちらに頭を下げた。
集落長の爺さんの奥さんだ。そして、その孫。
猫みたいな耳と尻尾がある、猫人族。
あいかわらずこき使われているなあ、孫。でも王都の都会から、爺さん婆さんの後を継ぎに田舎に帰って来たのは尊敬するし、応援するぞ。頑張れ、孫。
俺は立ち上がって、コケ太郎たちと駆け寄った。
「こんにちは! プラムさん! ヨーディ!」
「キュー!」
「畑でたくさん採れすぎちゃったからねえ〜。おすそ分けしてあげようと思って!」
プラムさんがリアカーから葉物や根菜を取って、大きな布袋に溢れるほど詰め込んでから俺にくれた。
「わわ、こんなにいっぱい。あ、ありがとう!」
「いえいえ」
「あ、そうだ、ちょっと待ってて!」
俺は急いで駆け戻って、さっき採ったばかりの果物を手提げ篭に詰めて戻って、プラムさんに渡した。
「御礼に! さっき採ったばかりのオレンジとリンゴです。食後にどうぞ!」
「わああ、嬉しいわ! ありがと〜! サクヤちゃんとこの果物やお野菜、甘くて美味しいのよね〜。市場でもすぐ売り切れちゃうから、本当嬉しいわ〜!」
「あ、ありがとうございます」
照れるじゃないか。
「あらあら? 珍しいわね。今日は、お一人なの? 旦那さんはおでかけ中?」
「だっ……」
誰の事かな。
ああそうだ。そうさ、分かってるさ。分かってる。
──俺の薬指には、紫色の石の指輪が嵌まっている。
これは、あれだ。そう。あれだ。
そうなんだけどな。プラムさんの認識で、間違いではないんだけどな。もう何度目かもわからない決死の覚悟を決めて、行きがけのセレニティで式も挙げた。俺は別に、時間はいっぱいあるしそんなに急がなくてもと言ったのだが、奴が珍しく強引すぎて、そして段取りも良すぎて逆らえなかった。
それはまあ、いいんだけど。
慣れ、ない……!
ていうか、その呼び方マジで止めて欲しい。毎回毎回隠れたくなる。
できれば名前で呼んでくれないだろうか。いたたまれない。
「し、シグさんは! セレニティに、冒険者協会に討伐報告と、ついでに買い物と、調合品の納品に……行ってもらってて……」
シグさんがどういう手を使ったのかはわからないが、いつのまにか、新しい冒険者証を手に入れていた。
持っていたら、対象を討伐した際には報酬を得る事が出来るし、ちょっとした身分証にもなるし、何かと便利だからだ。あれだ、自動車の免許証みたいなもんだ。
だからこうして、依頼の報告に行ったりする。
「あら、そうなのね。そういえば、こないだ町役場の人が、旦那さんに頼みに来てたものね。依頼を出してるのになかなか倒してもらえなくて、困ってたんでしょう? 河の上流に住みついた大きな蛇さん」
田舎の井戸端会議の情報網、こええええ!!?
まだ誰にも話してないのに、なんで知ってんの。
恐るべしだ。気をつけよう。
「は、はい」
「サクヤちゃんとこの旦那さん、強いものね! こないだも、うちの畑を荒らしに山から降りてきてた魔狼たち、ぱぱっと追い払ってくれちゃって。助かったわ。あれからすっかり、山から降りてこなくなったのよ。ありがとね〜。ふふ。もしかして、怖がっちゃってるのかしらね」
「はは……」
そりゃ、怖かろう。
あれはもう掃討する勢いだったからな。
また降りてきたら面倒だからって、結局、山の上のボスまで倒しに行っちゃって。
俺とコケ太郎は後ろをついていって、時々思い出しては補助スキルかけるぐらいだった。必要ないんじゃね、ぐらいの感じではあったけれども。応援要員としては十分役に立ったのではないだろうか。声援は大事だ。うむ。そういうことにしておこう。
「そうだ、今度またうちに、旦那さんといらっしゃいよ。ブルーベリーパイとミートパイを沢山焼き過ぎてね〜。ごちそうするわ! ついでにお昼御飯も一緒にいかが? 明日のお昼はおひまかしら?」
「わ、ありがとうございます! 明日は特になにもないし、御伺いできます」
「そう! 嬉しい、待ってるわね! さあ、腕によりをかけなくちゃ! 楽しみにしてて!」
「はい!」
プラムさんたちは、俺たちがこの集落にきてからいろいろ世話を焼いてくれる、気の良い人達だ。
孫が増えたみたいで嬉しい、と言っていた。
俺もじいちゃんばあちゃんができたみたいで、ちょっと嬉しい。
娘夫婦は王都勤めでここ何年も戻ってきてないようで、寂しいのもあるのかも知れない。
「おおお、サクヤさん、明日のお昼うちくるんだ? そうだ、サクヤさんに教えてもらった通りに世話したら、庭の植木すごい元気になって、花いっぱい咲いたよ! 見せるよ! 見て見て!」
「そうか。良かった! 元気になったんだな」
「うんうん! 助かったよー。じいちゃんのお気に入りの木だったからさ。またいろいろ教えてくれよな!」
「いいよ」
「やったあー! あ、今からでもいいよ! 今ちょうど帰るところだし、うちに見に来る?」
「何言ってるの。あんたは帰ったら屋根の修理の続きよ! まだ半分以上残ってるじゃないの」
「ええ〜!? 明日でいいじゃん! 今日は雨降らないよ!」
「へ理屈言うんじゃないの! 口ばっかり達者なんだから!」
プラムさんにゲンコツを入れられて涙目になるヨーディを見て、可哀想だが微笑ましくて、俺は笑った。
また明日、と手を振って、楽しそうなプラムさんと汗だくのヨーディを見送った。頑張れ孫。
腕時計代わりの、冒険者バングルを見た。
2時ちょっとすぎたぐらい。
そろそろ、戻ってくる頃だろうか。
疎らな木立の間のゆるやかな道の先を眺める。
「あ!」
道の先に、見慣れた長身の人がゆったり歩いてくるのが見えた。
ラフなシャツと、ジーンズみたいなズボンと、ブーツ。のんびりした休日のお兄さんスタイルだ。その辺で寝転がって昼寝でもしそうな感じだ。似合いすぎて、ちょっと笑ってしまう。
俺に気付いたシグさんが、いつものように柔らかく笑って、軽く片手を上げた。
俺も片手を大きく振り返した。
「お帰りなさい! シグさん!」
「キュー!」
「ただいま、帰りました。サクヤさん。ちゃんと、家で大人しくしていましたか?」
「し、してたよ! ていうか、なんで子供扱いなんだよ!?」
失礼極まる。俺を何だと思ってるんだ。
抗議しようと顔を上げると、シグさんが笑いながら、片手で俺の腰を引き寄せてきた。
顔が近づいてくる。
あ、まずいと思ったが、いきなりすぎて避けきれなかった。
頬にあったかいものが軽く触れて、離れていった。
「……だ、だだ誰か見てたら!」
「今は誰もいませんよ」
「そっ! そういう問題じゃ! ふおわっ」
片腕に座らせるように抱き上げられた。
最近はスキンシップがやたら増えてきた。気がする。抱き上げたりキスしてきたりやりたい放題すぎやしないか。ちょっとこの辺りで一言申しておかないといけない。でないと、人前でも構わずするようになる気がして、恐ろしい。
そんなことになったら、俺のメンタルが保たない。
「サクヤさんがこないだ食べたいって言ってた、あの果物カフェの特盛フルーツサンド、買ってきましたよ。頼まれた茶葉も買ってきましたし、早めのお茶にしましょうか」
「と、特盛フルーツサンド!? ヤッター!? た、食べる! けど、」
食べるけど、すげえ嬉しいけど。
「ちょっと、下ろして……た、高いんだよ! 怖い!」
シグさんが笑った。笑ってる場合ではない。地面が遠くて怖いんですけど。揺れる。下見れない。
俺はしょうがなく、なるべく下を見ないように、シグさんの肩にしがみついた。
黒っぽい紫色の瞳が、じっと俺をみている。
至近距離で見つめられて、俺は非常に居心地が悪い。
「な、なに?」
問うと、ゆっくりと、笑みを浮べて笑った。
「いえ……サクヤさんのいってた通りだなあ、っと思って。諦めずに、ひたすら言い続けて願い続けていればいつかは必ず叶う、って。言ってたでしょう?」
「へ? ああ。そういえば……」
確かに、そんなことを言ったような気がする。
いつかは忘れたけど。
「シグさんの願い事って?」
「俺の願い事は……『サクヤさんの農園に行きたいなあ』ですね」
俺は呆れて脱力した。
いいのか。本当に。そんな微妙な願い事で。
ささやかとはいえ、ここで手に入れた畑と果樹園を、農園といえば、農園といえなくもないけど。
叶ったといえば、いえなくもないけど。
そんなんでいいの。
「……シグさん、そんなにうちの農園で働きたかったの? 俺がいうのも何だけど、給料安いぞ……」
「いいですよ」
「いいのかよ!」
マジでか。
「ええ。──サクヤさんさえ、側にいてくれれば」
「っ」
耳元で低く囁かれて、逃げたくなったが、抱き上げられてて逃げ場はなかった。
「ていうか、そろそろもう下ろして……」
ゆらゆらして身体は不安定だし、高いし、逃げ場は無いしで、非常に落ち着かない。
「んー。そうですねえ。じゃあ──キスしてくれたら、下ろしてあげてもいいですよ」
シグさんの瞳が、いたずらっぽく煌めいた。
「なっ!」
「たまには、サクヤさんからも、してほしいです」
いきなり何を言いだすんだ、お前は!
黒っぽい紫色の瞳が、 期待の込もった視線を俺に向けてきた。
「う……」
俺は堪えきれずに目をそらした。
見えなくても視線を感じる。
期待と希望と──ほんの少しの不安と──試しているような、ずるい気配。
ああ、くそう。
確かに、フェアじゃないのは分かっている。分かってるさ。
でもだって、これでも、いっぱいいっぱいなんだ。
こういう事に関しての経験値なんて、自慢じゃないがほとんどない。
悪かったな。引きこもりに近い生活だったからな。
悔しいから、言わないけどな。ああ言わないさ。なんでシグさんさらっとできんの。慣れすぎじゃね? ちょっと問い詰めたい気もする。余裕綽々なのが余計に腹が立つ。ちくしょう。
周りを見回す。誰もいない。期待を込めた視線が突き刺さる。やるまで下ろしてくれそうにない。
ううう。仕方、ない。
俺は息を飲み込んで、意を決して、シグさんの方に視線を戻した。
ダークグレーと黒の前髪を指で除けて、軽く、本当に軽く、額に唇を落とした。
これでどうだ。
納得してくれたか。頼むから納得してくれ。俺には、これでももう、せいいっぱいだ。心臓が暴走しかけている。死にそう。
恐る恐る、顔を覗き込んでみる。
──見てるこっちが恥ずかしくなるぐらいの満面の笑顔で、嬉しそうに目が細められていた。
「し、したぞ」
「うーん。一瞬すぎて、よくわかりませんでした」
嘘だ。この野郎。
「う、嘘つき! 分かってるくせ──」
口を塞がれて、しゃべれなくなった。
びっくりして一瞬閉じてた目を開けると、近すぎる笑顔の目の奥が。
嫌な感じにゆらりとしていて、とても不穏な感じがした。
まずい。気がとてもする。早く気をそらさなければ。
「そ、そうだ、さっきプラムさん達が来て、たくさんおすそ分けしてくれたよ。そ、それから、明日のお昼一緒にどうですかって。パイ、いっぱい作りすぎたんだって!」
「そうですか」
そのまま、玄関に向かってゆっくり歩き出す。
下ろしてくれる気配が、全くないんですけど。
「下ろ……」
「後でね」
後っていつだよ。
嫌な予感しかしないんですが。
昼間って、分かってるよね。
鼻歌でも歌い出しそうなぐらい機嫌が良すぎる男を見下ろして、もし足が居間に向かわなかった場合、どうやって逃げだそうかと、ぐるぐるする頭で必死に考えた。
「あ、そ、そうだ、貰ったジャガイモとか、外に置きっ放しだし、取りに行かないと。俺、行って取ってくるから、シグさんは先に家に入ってて」
「いえいえ。俺が後で取ってきますから」
「いやいや、先に俺が」
「いえいえ。後で俺が」
「し、シグさんも町まで行って帰って疲れただろ? すぐにお茶煎れるから」
「このくらい、なんでもないですよ。お気遣い恐れ入ります。後でゆっくり頂きますので」
「いやいや」
「いえいえ」
そんなある日の、攻防戦。
その後の結果はどうなったのかは、言いたくない。
* * *
それから。
いろんな人達に巻き込まれたり、巻き込んだりしながら。
時にはゆったり、時には慌ただしく、日々は過ぎていって。
数年後──
少しウェーブのかかった黒髪に若草色の瞳をした半魔の少年が、宵月たちと世界を巻き込んだ一騒動を起こすのは、遠い先の、また別の物語。
──独りぼっちの寂しい王様は、冷たくて真っ暗な城から連れ出してくれた小さな花と、小さな村で、幸せに暮らしました。
【少しだけ裏設定】
シグ氏が自宅と集落の周りに黒霧の僕(中ボスクラスの警備員)を配置しているので、ホームセキュリティはばっちりです(アル○ックもしくはセ○ム以上)。リアルタイムで報告を受けて指示。非常に防犯対策に優れた、安全な集落となっています。