48話 初めての人のための魔法、続く戦闘
「ちょっと見せてみろ。……うむ、大丈夫だ、どこも怪我はしていない。俺は病気や怪我の鑑定ができるからな、体内部の状態も見ることができるんだ。お母さん、子供は大丈夫だぞ。この子のおかげだ。良かったな」
「はい、はい!! ありがとうございます!! ありがとうございます!!」
何回も俺の手を握り、頭を上げる母親。それから子供を抱っこして、子供にお礼を言うように言った。
でも2、3歳の小さな子だからな。普通の時でも、知らない人に挨拶するのは、子供によってはもじもじするんじゃないか? しかもかなり怖い思いをしたんだ。挨拶なんて無理だろう。
俺はマジックバックから、自分のお菓子の入っている袋を出すと。小さな子でも食べられそうな、麩菓子のようなお菓子を出して、男の子に渡した。
「避難所に行ったら食べな」
「う、うえ?」
「お母さんと一緒に食べな」
「う、うん」
お菓子のことだけはしっかりだったようだ。俺からお菓子を受け取ると、誰にもあげないとばかりに、思い切りお菓子を抱きしめた。そに仕草に思わず笑みが溢れる。
「すみません、お菓子まで。本当にありがとうございます。あの、お名前は」
「リョウって言います」
「さぁ、あまり話していて。また何かあるかもしれない。あそこにいる冒険者に、避難所まで誘導させよう」
冒険者さんが、誘導にあたっていた冒険者さんに声をかけ、母親はまた数回、俺に頭を下げ。男の子はバイバイと手を振ってくれて、俺が手を振りかえすと。冒険者さんと一緒に避難所に向かって行った。
「お前、カーライルの所の息子だろう」
「父さんの知り合いですか?」
「ああ、あいつとは前にパーティーで一緒にだったんだ。グレイソンだ、よろしくな」
「リョウです。よろしくお願いします」
「おう! お前、よく親子を守ったな。お前くらいの歳の奴だと、咄嗟に判断できなかったり、動けなかったりする奴が多いいんだ。本当によくやった」
「あ、ありがとうございます」
「どうせカーライルに、ここにいるように言われてるんだろう? なら、悪いが、ああいう住民がいたら、また守ってやってくれ。ただ、自分の身を守ることを優先するんだぞ。お前自身が怪我をしたらダメだからな。じゃあ俺は、お前の父さんの所へ行くよ」
そう言うとグレイソンさんは、父さん達の方へ走って行った。
『リョウ、やったな!!』
『り、リョウ、判断早かった』
『自分達のために実践はしていましたが、人のための魔法は初めてです。やりましたね』
『本当一瞬の反応、完璧だったね。僕も完璧!!』
『リョウパパ、カッコいい!!』
『うむ、後でカーライルに報告』
グレイソンさんに褒められて、みんなに褒めてもらって、気分が上がる。だが、ワイバーンの問題は終了したわけじゃない。というか、まだ始まって少し。これからも気をつけないと。
そうして親子を助けてからは、広場には5体にワイバーンが来た。小型1匹、中型3匹、大型が1匹だ。前に聞いていたんだけど、大型になるとさすがの父さんも、1人で討伐するのに時間がかかると言っていた。
それもあってか。その時は中型2匹、大型の1匹が同時に広場にいたんだけど。父さんとタイラー、それから数人がかりで、大型のワイバーンを倒していた。20分くらいか?
もしも周りに何も問題がなく、しっかりと相手ができるなら。父さんとタイラーだけで倒せるって言うんだから、本当父さん達は凄いよな。
それと、ワイバーンの状況も少しだけど分かった。ワイバーンの数はおよそ150強。そのほとんどが中型で、次に小型が多く、大型が数頭らしい。
また、群れは縦長に伸びており、まだ全部のワイバーンは到着しておらず。挙句群れの最後尾には超大型のワイバーンがいるらしく。そいつが街まで近づいたら、そいつを倒すための、討伐チームが組まれ、父さんはその討伐チームに入ることになったようだ。
リカードさんから連絡が来たって。さっき父さんが、俺達の様子を確認しにきながら教えてくれた。その時はさすがに俺達は近くには居られないから、冒険者ギルドに避難することになった。
『リョウ!! きた!!』
「フルール行くぞ!!」
『良いぞ!! やっちゃえ!!』
「ブレイズカッター!!」
そしてその後の俺といえば。親子を助けてから、その後数組の親子と、おばあさん、おじいさんを『エリアバリア』で守り。誘導の冒険者さんに任せ。そんな避難している人達が、ほとんど見られなくなると、今度は別問題が。
ワイバーンの襲撃に合わせるように、面倒な害獣と呼ばれる魔獣達まで、数は多くないけれど、街に入ってきてしまったんだ。
中型や大型は冒険者さんや騎士が、対処してくれているが、小さな害獣までは手が回るわけもなく。
そんな小型害獣達の相手を、俺達はすることに。今もカピパラのような魔獣が突っ込んできて、その魔獣に対して『ブレイズカッター』を放った。『ブレイズカッター』はしっかりとカピパラ魔獣に当たり、カピパラ魔獣はその場に倒れ込んだよ。
『まったく、次から次に、面倒な奴らだな』
『ゆっくりお菓子も食べられないよ』
『は、早く終われば良いのに』
『まったくですね』
俺は倒したカピパラ魔獣を、邪魔にならないように脇へ寄せようと死体に近づく。そしてかがんだ時だった。
“……かな? どうにか抜けられないかな?”
そんな声が、どこからともなく聞こえてきたんだ。




