46話 世界と精霊王達、シリアスな話しはどこへ?
「リョウ、お前はなるべくここに居ろ。ここなら俺とタイラーの目もとどくからな。本当だったらお前達も避難させたいところだが、今のお前は行かない方が良い。避難所の中で、お前の記憶にないことで、何かをしなないといけない状況になったとき、対処できないといけないからな」
『特に今は、頭上に気をつけておけ。ワイバーンが来なくとも、奴らの攻撃によって、何か落ちてくる可能性もあるからな』
「分かった」
俺達は今、街で1番広い広場へ来ている。そして父さんとタイラーに居ろと言われた場所は、見晴らしの良い、大きなお店の前だった。布の屋根が少しだけ出ていて、それでも一応頭上を守れそうな場所だぞ。
「それからシルフ、お前達だが、どこまで手を貸してくれる?」
『ん~、僕達はリョウや、リョウの家族を守るくらいかな』
『だな』
『う、うん』
『あまり関わりません。世界のバランスが崩れるのはダメです。それにいくら私達がいろいろできるといっても、それは自分いるできる範囲ですし。ワイバーンの場合は飛ばされる可能性の方が高いです』
「父さん、みんな、何の話し?」
「分かった、それは当然のことだからな。だが、リョウ達に何かあったら、その時は力を貸してやってくれ。それと俺達は、もう位置に着かないといけないからな。どういうことかリョウに話してやってくれ」
「分かったぁ」
「リョウ、シルフから話しを聞いてくれ。それとお前の前を通った住民が、助けを求めていたら、できる範囲で助けてやってくれ。だが、さっきも言った通り、あまりここから動くなよ」
「うん、父さんとタイラーも気をつけて!!」
父さんとタイラーが、広場の中央へ走って行く。父さん達以外も冒険者と騎士達が集まってきていて、これからここでの守りについて、簡単に話し合いをすると言っていた。
「よし、みんなも俺から離れるなよ。それとシルフ、さっきの話しは何だったんだ?」
「あれはね~」
俺達の前を通る人達の邪魔にならないように、なるべく下がった俺は、すぐにシルフ達に話しを聞いた。
すると話しは簡単で、シルフ達は精霊王。自分達の属性魔法だったら、その辺の魔獣がシルフ達に敵うわけもなく。ついでに言えば、属性魔法以外だって、ただの人間なんかより、ぜんぜん強いだろう?
そんなシルフ達がその力を、この街だけに、この国だけにバンバン使ってしまえば。今まで保って来ていた世界の力関係が、変わってしまう可能性があると。
もちろん少しの手伝いだったら、俺と一緒に魔法を使うとかな。それくらいなら問題はないけれど。大きな力となると……。
力を使った後は、絶対に他の国がシルフ達の存在に気づき。この国は精霊と関わりを持っている、自分達もその力を使おうと。もしかしたら、戦争、なんてことになる可能性が。
現にかなり昔だけど、戦争になったことがあり。先先代の時だったけれど、大変なことになって、世界がなくなりかけたらしい。
だからそうならないためにも、シルフ達は人に、なるべく力を貸さないということだった。
『ま、バレない範囲でだったら大丈夫だよ。それに家族は絶対に守るしね』
『ただ、俺達には俺達の役目があるからな」
『う、うん。僕達が強い力を使う時は、この世界の自然にある、風と火と水と土の力を借りないとダメ。お、王だけど1匹じゃダメ。そ、それと、それぞれの力を守存在だけど、守る時はそれまでに溜めていた力を使うの』
『その溜めている力も、元々の自分の力ではなく、世界が私達に少しずつ力を分けてくれている物で。世界規模で何かあった時は、その力を使い、私達は世界を守るんです』
『見守り、自然界のバランスを保つ。それが本来の僕達の役目だからね。だからそのためには力を使うよ。だけど、1つの国に加担するわけにはいかないんだ』
「そうだよな。お前達は王だもんな」
『魔獣が襲ってくるなんて。どこかで必ず起こることだからね。いちいちそれに僕達は関与していられないよ。自然の出来事で、それでそこに住んでいる人達が、どんな運命を迎えるか。それはその人の運命だからね』
なんかここに来て、運命っていうのを考えさせられるとは。異世界に来て、いろいろと理解してきたつもりだけど。地球で毎日ドタバタと、どうしようもない同じ生活を繰り返していた俺と比べて、毎日が命との向き合いなんだな。
『たださ、リョウ達を守る時は頑張るけど。ただの僕達はそんなに強くないからね』
『そうそう、ワイバーンくらい強い魔獣なら。お前達がいなかったら、ワイバーンの気配を感じた瞬間逃げてるよ』
『う、うん、ワイバーンに吹っ飛ばされる。ま、前に1度吹っ飛ばされた。と、とっても遠くに飛んじゃって、怪我もして大変だった』
『危険ですからね。近づくなんてもってのほかです』
『だから何かあったら、リョウ達の事は守るけど。僕達も守ってね』
「あ、ああ」
『みんなで、リョウの洋服の中に隠れてれば安全じゃない? リョウの攻撃の時も、僕達は服の中から魔法をかければ良いし』
『お、それ良いな』
『は、早く入る』
『確かに1番良さそうですね』
そう言って、俺の洋服の中に入ってきたシルフ達。だけどきつかったらしく、シルフとプルルは胸のところにとどまり。フルールとコロンは左右のポケットに分かれて入ることになった。
そして頭の上は危ないということで、今日は肩に乗ってきたミルフィーとトール。
『これで完璧だね』
『ああ、安心だ』
『リョウが転がったら危ない』
『転がらないように気をつけてください』
『ボクは、今日は肩で応援』
『リョウパパ、おとなり、なんかいいにおいするよぉ?』
……なんか違くないか? さっきまでのシリアスな話しと、家族を守る!! は何だったんだよ。




