26話 目的は扇風機かよ!
全員が中に入り終わると、タイラーが結界を閉じ、敷地内にある何も置いてない、全員がゆっくりできる場所へと連れていく。それから改めて挨拶をした。
「初めまして。俺はリョウって言うんだ。それからカーライル父さんと、タイラー、トールにミルフィーだ。ミルフィーは俺と契約しているんだぞ」
『きゅいきゅい!!』
『みにょー!!』
『ブブブー!!』
「何て?」
『みんな、初めまして、こんにちはだって。そういえばさ、リョウって魔獣とお話しできないの?』
「ああ、できたりできなかったりだな」
『ふ~ん。カーライルが、リョウはどんな言葉も分かる能力を持ってる、って言ってたから。どんな魔獣ともお話しできるのかと思ってた』
そういえばそうだな。言語理解は確かレベルが高かったはず。あれはこの世界の人間、獣人、エルフとか、人系限定だったのか?
『じゃあこれからは、言葉が分からない魔獣が来た時は、僕が分かるようにしてあげるよ。次の日くらいまでなら。ずっと分かるようになる魔法だよ』
「そんな魔法があるのか?」
『うん!! じゃあ魔法をかけるね!! そ~れ!!』
シルフが俺の周りをクルクル周り出すと、ラメみたいなものがキラキラと降り注ぎ、すぐに消えていった。
『これで大丈夫なはずだよ。みんな、もう1回挨拶してみて』
『こんにちは!!』
『初めまして!!』
『よんでくれて、ありがとう!!』
「おっ! 分かるようになった。シルフ、ありがとうな。みんな初めまして」
シルフのおかげで、魔獣の言葉分からない問題は解決した。
その後は、みんながそれぞれ、それはそれは沢山のお土産を持って来てくれていて。全てありがたく受け取ったよ。
それから、みんなとゆっくり話したかったけど。まずはみんなをおもてなししないとって。タイラーにみんなの事を任せて、俺は家に入った。
すぐにできる物と言ったら、簡単クッキーだなと思い。みんなのお土産の中に、木の実があったから、それを使わせてもらう事に。この世界のクッキーの材料でクッキーを作ると、生地を寝かす時間がいらないから、すぐにクッキーができるんだよ。
そうして30分もすればクッキーは完成。クッキーの準備が終わったら、これまたみんなのお土産にあった果物を使わせてもらって、ジュースを作りみんなの元へ。
父さんが小屋から、いろいろなサイズの入れ物と台を持ってきてくれたから。みんなの背の高さに合わせ、入れ物と台を選び、飲みやすいように調節してから、ジュースを入れてあげた。
『わぁ、何これ、とっても美味しい!!』
『はじめてのしょっかん!!』
『サクサク、おいしい!!』
『いくらでも食べられるぞ!!』
と、俺の作ったクッキーは大人気だった。何だろう。作り方がお店のクッキーと変わらないのに、ミルフィー達は俺の方が美味しいって言うし。俺ってもしかしてクッキー作りの才能でもあるのか? ま、みんなが喜んでくれて良かったよ。
そうしてひと段落ついたから、みんなで話でもしようかと思ったら。みんなが俺に詰め寄って来て、扇風機!! と言ってきた。
どうやらシルフが、扇風機の話しをみんなにしていたらしく。みんな扇風機を見るのを楽しみにしていたと。みんなのキラキラした目と言ったら。
この様子だと。俺達のことが気になっていた、話してみたかった、遊んでみたかった。といろいろい言っていたが。どう考えても1番の目的は扇風機だったな?
俺は溜め息を吐きながら、部屋から扇風機を持って来た。その途端、扇風機と俺に群がる魔獣達。俺の顔にまで張り付いてきたよ。
「ほら、みんな!! 今扇風機を動かしてやるから、もう少し離れろよ」
何とかみんなを離すと、扇風機を動かしてやる。
『ふおぉぉぉ!!』
『風が吹いて来たよ!?』
『風、他は吹いてないよな?』
『ここだけだよ!!』
『すごいすごい!! かぜがふいてる!!』
『こうすると、風の強さが変わるんだよ』
『それからここを押すと、動いていろんな方角に風が吹く』
何で俺じゃなくて、シルフとトールが説明するんだよ。と、いうことで扇風機さえ動かしてしまえば、もう俺は用済みだとばかりに、誰も俺の相手はしてくれなくなった。2匹の魔獣以外は。
ミニャルという猫そっくりの魔獣なんだけど、大きさが大人になっても片手に乗ってしまうくらい、とっても小さな魔獣で。通常1度の出産で、1匹しか生まれないのだが、この子達は双子で生まれたらしく。他の子よりもさらに小さいらしい。
お父さんとお母さんは、扇風機に夢中だったが、何故かこの双子だけは俺の所へきてくれて。ずっと膝に乗っていてくれたよ。うん、とてもとても癒された。
そうして少し経つと、始まったのが言葉遊びだ。ミルフィーがみんなに教えて、最初は1匹ずつ、『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛』とやっていたが。途中からはいろいろな言葉で試し出し。1匹ではなく複数でやってみたりと。まぁ、喜んで遊んでいた。
『エリアバリア』と言わなければ、魔法は発動しないからな。何んお問題もなく遊ぶことができる。
そうそう、『エリアバリア』だけど。いつの間にかステータスに、魔法の説明が載っていて。風に向かって声を出すことで、それにより発生した風の振動がバリアを作り、物理攻撃や魔法を跳ね返す、だった。
まさか『我々は~だ』みたいに遊んでいたあれが、防御魔法にとって大切なものになるとは。
こうして魔獣達は、そのあとずっと夜まで扇風機で遊び。俺は双子とずっと遊んでいた。契約はしなかったが、癒し友達ができたよ。




