24話 今どうしているか(リカード視点)
「はぁ、あいつらどうしてっかなぁ。仲良くなってんのかね」
「あいつらって?」
「カーライルだよ。急にどこの誰だか分からん子供を連れてきたと思ったら、そのまま自分の息子として登録まですませちまって」
「え? 何それ。私何も聞いていないんだけど」
「手紙は?」
「手紙もないわよ。というか、ここ1つの年連絡も手紙もないわよ」
「お前も6の月ほど外に出てこなかったもんな。何だって俺の仲間は森に閉じ籠ったり、街にいても家に閉じ籠ったりする奴ばかりなんだ」
「私は薬を作っていたんだから仕方ないでしょう? 大体その薬を頼んだのは誰なのかしら? 値上げしても良いのよ?」
「リリース姫、すみませんでした」
「ふん。それよりもカーライルのことよ。まさか家族を作るなんて。最初から説明しなさい!!」
俺の冒険者仲間だったリリースが俺が頼んでいた薬を納品しにきて、仕事もひと段落付いていたから俺の部屋でお茶を飲んでいたんだが、俺がカーライルの話しをすると初耳だったらしく、身を乗り出して内容を聞いてきた。
まぁ別に隠してるわけでもないし、何ならこの前奴らが来た時、カーライルはかなり気をよくしていて、というかリョウが自分の息子になると承諾した事がよほど嬉しかったらしく冒険者ギルドに来ていた見ず知らずの冒険者に、俺の息子だと自慢していたからな。知ってる奴らは大勢いる。
それにどうせあと少しすれば収穫の日だ。その日になれば俺達の仲間が集まって来て酒を飲むんだ。何もなければその時に話すだろうし。だったら今俺が話したって良いだろう。そう思い、俺は分かっている事は全てリリースに話した。
「そうなの、そんな事が。……そのリョウって子、本当に安全なんでしょうね? カーライルを狙った可能性は?」
「俺もそれを警戒したんだが。奴からは悪い部分を感じる事はできなかったし、ステータスもこれと言って問題なかったからな。それにフェアリーラビットが奴に懐いててな。だからとりあえずは信用することにしたんだ」
「フェアリーラビットが? 人間に懐くなんて珍しいこともあるわね。彼らはいくら人間が愛情を注ごうが、優しくしようが、ちょっとの負の感情を嗅ぎ分けて絶対に近づかないのに。まだ周りの事を知らない、真っ白な心の持ち主の子供には懐く事はあるけれど。でもそれも3歳くらいまでだし。その子は14歳なのよね?」
「ああ。まぁ、だからそれもあってカーライルも奴の相棒のタイラーも奴を信用したんだろう。俺もな」
「そうなのね。まぁでも、もしもカーライルを狙った人物だったとしても、ステータスは自分ではどうやっても変えられないものね。ほぼ1って。それじゃあカーライルはおろか、そうその辺の弱い魔獣にだって勝てないかもしれないわ。うん、大丈夫そうね。……重ねたのかしらね」
「たぶんな。奴の息子が病気で死んでから、かなり時は経ったが。それでもカーライルの中ではそんなに経っていない感じがしているだろうよ。奴が森から出てこないのも1つの要因がそれだしな。そんな奴の元に現れたのがリョウだ。運命を感じたのかもしれん」
「そうね。少しでも彼の心が救われると良いけど。あ~あ、でもせっかくなら会いたかったわね」
カーライルがリョウを初めてここに連れてきてから少し経ったが、あいつらは上手くやっているだろうか? カーライルは戦闘以外にも料理はできるし、しっかりとした生活ができる奴だから大丈夫だとは思うが。
「そうだわ! あなたへの納品も済んだし、久しぶりに私の方から会いに行こうかしら」
「どうせ収穫の日に会うだろう。リョウも連れてくるはずだ。俺達に自慢しにな」
「だって、やっぱり気になるじゃない。それに男所帯なら私が料理をしに……」
「おい、それは!」
言いかけた時だった。ドンドンッと、誰かが部屋のドアをノックした。リリース……、客が来ているのは分かっているだろうに。乱暴にドアを叩くのは誰だ?
「ギルマス、大変です!!」
ドアを激しく叩いたのは、いつも静かにノックをする受付のミーリアだった。このギルドの受付の中で1番できるやつで、実は冒険者としてもかなりの実力を持っている。そんなミーリアがこんなに慌てて俺を呼びにくるとは。
「入れ!!」
「失礼します!!」
「どうした、何がかあったのか?」
「今アレンビーギルドマスターのリリが彼からの手紙を運んできたのですが、リリが言うにはワイバーンの群れの目撃情報が寄せられたと!!」
「何だと!?」
この街から2つ中規模の街を超え、3つ目にトランシーナと言う大きな街があるんだがそこの冒険者ギルドのギルドマスターがアレンビーと言い。
彼の相棒のキャリアバードがリリという名なのだが、手紙を届けるのがとても早く、いつも奴からの手紙を他のキャリアバードよりも素早く届けてくれる。
そんなリリがとてもまずい情報を持ってやってきた。まさかワイバーンの群の目撃情報だと?
「手紙を!」
「リカード、私はここにいて良いわね」
「ああ、もちろんだ。……どうせ今帰らせたところで後で結局呼ぶことになるだろうからな」
「でしょうね」
「他の連中はこの事を?」
「私だけが話しを聞きました。誰にも聞かれていません」
「そうか。リリは?」
「はい、いつもよりもかなり無理をしたようで、グリスタンに回復してもらっています」
「分かった。少しの間俺の所には誰も通すな。それとリリには悪いが、回復が終わったらここへ連れてきてくれ。話しを聞きたい」
「分かりました!」
すぐにミーリアが部屋を出ていく。まったく、情報が間違いだったら良いんだが……。




