18話 人間の元へ(***視点)
何だろうあれ? また違う動きになった!! あれってあんな動きもできるんだ!!
『あれ? どこ行ってきたの?』
『人間の所!』
『また行ってきたの?』
『だって、あの人間が持ってる物、とっても面白いんだもん』
『あそこは結界が張ってあるから中に入れないし。結界の前に、とっても強い人間がいるから危なくない?』
『大丈夫だよ!! 何もしない魔獣には攻撃してこないし。魔獣を狩る時も、なんか強い魔獣を狙って攻撃してるから、僕やみんなみたいな小さな魔獣には、攻撃してこないよ。この前も小さな子達が、新しく暮らし始めた人間と遊んでたし』
『そうなんだ』
『それに結界も、僕には関係ないもん。僕の方が強い結界を張れるしね。ねぇねぇ、今度みんなで遊びに行かない? 僕が結界の中に入れるようにしてあげるからさ』
『あの中に入るのかよ。お前は大丈夫だって言うけどさ、俺はやっぱ心配だぜ』
『もう、そんな事じゃ、楽しいこと味わえないじゃん』
『そうだ!! シルフが遊んでみて、本当に大丈夫だったら、ボク遊びに行きたいかも。それじゃあダメ?』
『おっ、それが良いな!! お前が遊んで平気なら、本当に問題がないって事だろう? お前だったらすぐに逃げられるから問題ないし』
『う~ん、まぁ、それでもいっか。じゃあ今度遊びに行ってくるから。大丈夫だったらみんなに伝えるね!』
『伝える? 迎えにくるんじゃなくて?』
『僕さ、あの人間と契約したいんだ』
『契約!?』
『うん!! なんかあの人間の魔力からは、とっても良い匂いがするし。それにあの人間と契約したフェアリーラビットが、とっても幸せそうに、楽しそうに暮らしてるんだよ。それを見て良いなぁって。僕は今まで契約した事ないけど、これだけ契約したいって思ったの初めてなんだ。だから契約してもらおうと思って』
『お前、変わってるよな。契約したいって思うみんなもさ。人間と契約ってそんなに良いかなぁ? 確かにみんな楽しそうにはしてるけど』
『まぁ、人間によるかもしれないけど。あの人間は絶対に楽しいはずだよ!!』
『なぁなぁ、俺らを誘うのは良いけど、お前の仲間は誘わないのか?』
『あっ、そっちはもう誘ってるよ。みんな楽しそうだから後でくるって。それぞれ今いる場所で、いろいろ終わらせたらくるからね。もう少しかかるかな』
『あいつもくるのか? 普段人前には出ないって、お前言ってたろう』
『興味はあるから、誰かと一緒にくるって言ってたよ』
『へぇ、怖がりなのに、良く来るって言ったねぇ。じゃあ、やっぱりあの人間は大丈夫なのかな?』
『ま、僕が契約したら、みんなに念話で知らせるし、人間の場所までささっと結界を張って、みんなが安全に来られるようにするからさ。遊びに来てよ』
『シルフがそんなに言うなら』
『じゃあ、俺も!!』
『他のみんなにも知らせる?』
『そうだね。う~ん、みんなで10匹だから、後10匹くらいかな。あんまり最初から大人数は困っちゃうかもしれないし。あっ、でも聞いてみて、たくさん来て良いって言われたら。それも伝えるから、30匹くらいでくれば良いよ』
『分かった!』
『じゃあみんな、最初は1匹に1匹だけ、誰か誘おうぜ』
『うん!!』
『そうそう、みんな行く時、何か持っていくと良いかも』
『何か?』
『うん。時々あの人間の所に来る人間が、必ず何か持ってきて、それをとっても喜んでるんだよ。だからみんなも何か持ってきたら、とっても喜ばれるかも』
『そうなんだ。じゃあみんな、違うものを持っていこうか?』
『木の実とかキノコとかが良いかな?』
『美味しい葉っぱも良いな』
『じゃあ僕も、何か探しに行って、そのまま人間の所にいくから。みんなもちゃんと、準備しておいてね』
『うん!!』
『おう!!』
僕はすぐに飛び立った。何が良いかなぁ。特別な物が良いと思うんだよね。そういえば人間はキラキラしている物が好きみたいだから、綺麗な物でも持っていこうかな。それから僕に喧嘩を売ってきたアイツ。
すぐに倒した後、食べようかなって保存しておいたけど。あれも持って行こう。あのお肉美味しいから、きっと気にいるはずだよ。
ふふふ、楽しみだなぁ。契約も遊ぶのも。いっぱい遊ぶんだぁ。それに……。人間と契約するのは初めてだけど、それもとっても楽しみ!!
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「そうか!! 新しい力を使えるようになったか!!」
「はい!! 話しに聞いていたみたいに、本当突然、頭の中にいろいろ浮かんできて。その通りに動いたら、あれができたんです」
『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛って、まわることばあそび、おもしろかった!!』
「そうか、面白かったか。リョウ、良かったな。これも俺のトイレのおかげか」
『そんなわけないだろう!! まったく、俺達の食糧がやられるところだったんだぞ。当分の間、お前1人で畑仕事をするんだな。リョウが来てからサボり気味だったろう。以前のように1人でやるんだ。リョウ、手伝うなよ』
「おい、それはないだろう。一応は追い払ったんだから……」
俺は扇風機を使った、防御魔法について父さん達に説明した。そして喧嘩を始める父さんとタイラー達。まぁ、理由がトイレだなんて、怒るのは無理ないよな。
って、何だ!? 俺は窓の方を振り向いた。
「ん? どうした?」
「なんか後ろで、フワフワした感じが」
『フワフワ?』
タイラーが窓の外を見る。
『何もないが? それに俺は何も感じんぞ?』
「そっか、タイラーが何もかんじないなら、俺の気のせいか」
『それより、約束のクッキーを焼いてくれ』
「分かったよ」
本当に気のせいだったのか? 俺はちょっとだけ窓の方を見た後、台所に向かった。




