1-3 着陸
着陸への準備を始める。宇宙服もなんとか簡単な修理でつかえそうだった為、修理した上で船外活動を実施する。やはりモニター越しではわからなかった損傷も多く、着陸準備完了するには丸一日かかった。
最終チェックも終わり、宇宙服を着た状態で操縦席につく。
ゆっくりと、残された僅かな燃料とソーラーパネルのエネルギーで軌道を星に向ける。1番の不安材料は着地地点だ。海上が望ましいが、あまりにも海の真ん中では大陸まで辿り着くことができない。大陸近傍の海上がベストだ。
次第に機体が揺れる。大気圏に入ったのだろう。想定より少し早い。地球に比べて大気圏が分厚いのかもしれない。その分降下地点に誤差が出そうだ。海への着水は難しそう。無理に起動を変えると姿勢制御が難しそうだ。このままでは大陸の中央辺りになる。その辺で一番良い降下場所は・・・。
「やはりあの大きな湖か。」
地中海・・・程は大きくないが、大気圏上からもはっきり視認できるレベルの大きさ。そして湖の周辺には夜間に都市も見えた。
誤差を修正し、最終降下シークエンスに入る。振動が激しくなり、機体が軋むような不気味な音もなり始める。思っていたよりも恐怖心を感じる。赤い景色を見ながら、計器に目を配る。数値は正常。これは想定内のはずだ。
『ズザザザザッ』という激しい音と衝撃。そして久々に感じる重力。体が自分のものではないというくらいに重い。だがどうやら無事のようだ。顔を上げる。水しぶきを浴びたガラスから水が流れ落ち、視界が少し晴れる。
「いい天気だ。」
安藤は重い体を揺り起こす。そして周囲を確認する。どうやら湖への着水には成功。その後機体が勢いで進み、陸地まで辿りついたようだ。外のセンサーで大気と水質の調査を行う。どうやらなんとか生活できるようだ。だがまだ外に出るには情報が少ない。
「それに大人しくしていても情報は向こうからやってくる・・・か。」
モニターには遠くから何かが接近してくるのが見える。思ったよりも接触が早い。この星の住民はどんなものか。恐怖と期待と興味の入り交じった感覚。そして漸くその姿が見えてきた。
「ダ、ダークエルフ!?」