表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/20

7.3回表

 左手が使い物にならなくなったりきてっくすの代わりに日下部がマスクをかぶることになった。それは律子のご指名によるものだった。

「じゃあ、ボクはファーストへ」

「りっきさん、ボールを受けられないのにファーストは無理でしょう」

 日下部に代わって、しれっと一塁の守備につこうとするりきてっくすを齋藤が呼び止めた。

「じゃあ、誰がファーストに入るんだ?」

「はい、北野君にお願いします」

 突如、降って湧いたように現れた北野君。そう! 優子の彼氏の北野君だ。

「おい! なんでお前がここに居るんだ! こんなの反則だろう」

 リアルのなろうファミリーに、いきなり小説世界の北野君が現われる、めちゃくちゃな展開に抗議するりきてっくす。

「いいんですよ。あちらにも同じように助っ人を出させてあげればいいんですから」

 最早、監督の仕事などすっかり諦め、チアガールを両脇にはべらせた斉藤が鼻の下を伸ばしながら言った。


 3回表の酔いどれ軍団はラストバッターの須藤今日子から。バッターが女性なのに手加減なしに剛球を投げ込む律子の前に今日子は敢え無く三振。ベンチに戻った今日子を井川が労う。

「OK、OK。怪我がなくて何よりだ」

 本当は今日子にもチアガールの姿をしてほしいと思っているのは内緒です。

「思ってなーい!」

 間違いでした。本当は水着になって欲しいと思っていたエロじじぃの井川です。

「誰がエロだ! それに俺は貧乳の水着姿になど興味はない!」

「誰が貧乳じゃー」

 井川のセクハラ発言に切れる今日子です。


 打順はトップに戻って小暮。小暮は律子が守備をしないのを見越してピッチャー前に再びバント。律子は自分の前に転がって来た打球を掴むと、一塁には投げずにそのままマウンドに戻ってしまった。一死一塁。


 その様子を見ていた2番青田もピッチャー前へバントする。今度はサードの呂彪とファーストの北野がもうダッシュ。呂彪が素早く対応して、一塁ベースカバーに入ったセカンドまゆへ送球。ショート大橋が二塁のベースカバーに入っていたため三塁ががら空きになった。それを見た小暮が一気に三塁へ向かう。しかし、いつの間にか三塁ベースカバーに入っていたレフトの寛忠へまゆからの送球が渡って、小暮は間一髪タッチアウト。その間に打者走者の青田は二塁へ。二死二塁。


 続くバッターは3番名取。先ほどはレフトオーバーのホームランを打っている。一塁が空いているので日下部は名取を敬遠した。二死一塁・二塁。敢えて4番の日下部との勝負を選んだ。

 ところが、酔いどれ軍団のキャッチャー日下部は打席に入ったなろうファミリーの日下部も歩かせた。二死満塁。

 どうして5番に居るのか解らない井川との勝負で正解だと思う地の文です。

「なめんじゃねえ!」

 監督の権限で無理やり5番サードで先発した井川の浅はかな考えを見透かした地の文に食って掛かる井川です。

「これが俺様の実力だ!」

 雄叫びをあげながら井川は律子の剛球に向かって行く。

『ボコッ』

 鈍い音と共に井川がうずくまる。

「部長さん、ゴメンなさ~い」

 デットボール。ランナーがそれぞれ進塁。酔いどれ軍団、勝ち越し。3-2。

 何とか一塁まで這って行った井川は代走をコール。

「代走、左京!」

「えっ?」

 これまた、いつの間に湧いて出たのか私立探偵の杉下左京が酔いどれ軍団ベンチに座っていた。


 勝ち越した酔いどれ軍団は二死満塁のまま6番浦田が打席に立った。浦田は当たり損ねのセカンドへのゴロ。それを取りに行こうとしたなろうファミリーまゆの前を一塁ランナーの左京が通過。打球が左京の足に当たった。

「アウト!」

 なんと左京の守備妨害により、スリーアウトチェンジ。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ