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6/20

6.2回裏

 2回裏のなろうファミリーの攻撃。バッターボックスには4番の律子。

「おいで。タネウマちゃん」

 律子の言葉に三人の子持ちの名取がうろたえる。力なくど真ん中に甘く入って来た球を律子は思いっきりひっ叩いた。打球は前進守備を敷いていた酔いどれ軍団のレフト志田の頭上を越えていった。

「やった!」

 なろうファミリーのベンチは大はしゃぎ。ところが律子は一塁ベース上で止まっている。

「ちょっと、かみむらさん! どうして止まっちゃうんですか?」

 齋藤監督がベンチを飛び出す。

「だって、こんなんで体力を遣ったらピッチングに影響するでしょう」

 笑顔全開で答える律子だった。


 続くなろうファミリーのバッターは5番の水無月。

「水無月さん、頼みましたよ」

 半べそをかいて頼み込む齋藤監督。

「かみむらさんを走らせずに点を取るなんて無理ですよ」

 しかし、水無月は粘って四球で出塁。結果的に律子を走らせずに進塁させた。これで無死一・二塁。


 そして、6番日下部。左打席に入る。

「鉄人、頼んだわよ!」

 そう言って律子が投げキッス。

「律子さん、お願いだからボクが打ったら三塁までは走って下さいよ」

 日下部のたっての頼みに笑顔全開で頷く律子。そしてその初球、いきなり律子が走り出した。

「マジか!」

 日下部はバットを振る。アウトコースの難しい球だ。何とかバットに当てて一・二塁間へ引っ張る。その打球にセカンド青田が追いつき二塁へ送球。フォースアウト。一死一・三塁。


 続くバッターは7番寛忠。

「ランナーがかみむらさんじゃやりにくいな…」

 打席に入るなり日下部の方を窺う。

「律子さん、今度はちゃんと打ってから走って下さいよ」

「解かった」

 そう言って律子は笑顔全開で日下部に手を振った。

「寛さん、なるべくフライは上げないでくださいね」

「了解!」

 しかし、寛忠は四球で歩いた。一死満塁。酔いどれ軍団の日下部はタイムを取ってマウンドへ駆け寄った。


 まゆが打席に入る。

「よろしくね」

 そう言ってまゆは名取にウインク。名取の目がハート型になってビヨ~ンと飛び出す。

「は~い」

 デレデレになった名取が放ったボールはゆるゆるの山なりボールだった。しかも、すべてホームベースにも届かない。ストレートの四球。押し出し。なろうファミリーが1点を返した。更に一死満塁とチャンスが続く。


 次の9番も女性の葵。名取の目は未だにハート型だ。

「タイム!」

 井川がピッチャーの交代を告げた。名取に代わって秋元がマウンドに上がる。その変わりっぱな。葵はバントした。打球はサード井川の前へ。井川が打球を処理した時には三塁ランナーの日下部はホームインしていた。日下部と葵の間で密かにスクイズのサインが成立していたのだ。これで2-2の同点。さらに二死二塁・三塁とチャンスが続く。

 打順がトップに戻ったところで井川が再びタイムを要求。

「ピッチャー、リエントリーで名取」

 再び名取をマウンドに戻した。

 ソフトボールは一度交代しても先発メンバーに限り、リエントリーで再出場できる。


 マウンドに戻った名取は続く呂彪をセンターフライに仕留めてなろうファミリーの逆転は許さなかった。

「よし! 突き放すぞ」

 ベンチに戻った酔いどれ軍団は気勢を上げた。







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