100.伝説の存在とか言われちゃいましたが
100話です。
こんなテンションの低いところで記念回というのは残念ですが、
無計画だから仕方ない。
長くなっているので、3行あらすじです。
↓
美咲(30歳・無職)は異世界で、美形な聖騎士レイと出会い、恋に落ちる。
レイからの求婚を「もし元の世界に戻れなければ」と受け入れる美咲。
しかしその直後、元の世界に戻れる方法があるとわかり…。
100話も書いているのに、3行であっさりまとめられました。
あれぇ…?
あぁ、だけど。元の世界に帰れるめどがたってよかった。
へなへなと椅子に座り直し、オレンジジュースをお代りして一気飲み。
すっぱい。
だがそこがいい。
ちょっと目が覚めた気がするよ。
レイはこの一瞬で立ち直ったみたいで、私の頭をぽんぽんと優しくたたく。
う。元の世界に戻りたい気持ちに嘘はないけど、この男を置いて帰るのは、残念だよ。
こういう仕草、ほんと好みなのにさ。
あー、ほんと、なんでここが異世界なんだろう…。
せめて外国とかなら、なんとしてもレイとの関係も続けたいところなのですが!
異世界じゃねぇ。
帰ったら、もう二度と会えなくなっちゃうんだろうな……。
「ところで、美咲さんは、異世界から来たことを公言されるつもりですか?」
寂しさに俯きそうになった時、フィリップ様がおっとりと声をかけてきた。
「え…。あの特に公言しようとは思っていませんが、隠そうともしていません。どうすべきかわからなかったので、レイに任せきりというか……」
「俺が勝手に仕切りました。外部の人間には現状伏せています。美咲はこのブロッケンシュタイン家の客分扱いで、俺の……大切な客人ということで、通しています。この屋敷の人間には隠すつもりはなかったのですが。なにか不都合でしょうか?」
「そうですね。……異世界から人間が訪れることがあるというのは、今では伝説のようなものなので、あまり公にはしたくないんです。美咲さんはすぐに元の世界に戻られるようですし、できれば表ざたにしたくないのですが」
淡々とおっしゃるフィリップ様に、レイは痛いような表情でうなずいた。
「わかりました。美咲が異世界から来たことを知っているのは、フィリップ様とダイアモンド以外では執事のバドー、家政婦のハキさん、それに美咲付きのメイドのメアリーだけです。他の使用人にもおいおい伝えるつもりでしたが……」
「それはやめてください。バドーさんたちの手配で、他の使用人に話は広まっていませんか?」
「バドー。どうだろう?」
「昨日ハキさんと相談し、とりあえず美咲様のお身元に関しましては、とても遠方から来られたとだけ明らかにすることにいたしました。レイモンド様のご意向は、異世界からいらした美咲様を館のもの全員でフォローすることかと存じましたが、なにぶん異世界からのお客様というのは初めてで、ひとりひとりの反応を確かめてからと思いまして」
「……ありがとう。助かったよ」
レイは苦笑いでフィリップ様を見た。
「お聞きのとおりです。……よくできた使用人のおかげで、助かりましたね」
読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマも嬉しいです。
前書きでも触れましたが、長々続いているわりに進展の遅いこのお話ですが
読んでくださる方がいらしたおかげで、続けられています。
本当にありがとうございます。
できるだけさくさく進めたいと思いますが、
まだもうちょっとお話は続きます。
お付き合いいだけると嬉しいです。




