101.感情論ばっかりでお恥ずかしいですが
レイには、そんな表情をしないでほしい。
そんな自嘲するような笑い方は、レイには似合わない。
そりゃ私だって、昨日レイがバドーさんたちに、私が異世界から来たって話始めた時はびっくりしたけどね。
でもそれはレイがバドーさんたちを信用しているからだって、わかっている。
そして、異世界からきた私をぜんぶそのまま受け止めてくれる気だからこそ、自分の身内である彼らには包み隠さず私の身元をつまびらかにしたんだって、信じている。
「フィリップ様、私の身元を表にだすことがこの国にとってよくないことだと判断されたのなら、それに従います。私にはこの世界のことはなにもわからないので。ですが、レイが私のことを本気で慮ってくれたのも、知っているんです。どうかお咎めなどなさらないでください」
こんなこと、私が言ったからって、どうなるってわけじゃない。
わかっているけど、言いたかった。
だって、レイは。いつだって私のことを考えて、行動してくれている。
そのおかげで、どんなに心強く、助かったことか。
その行動のひとつでも、否定なんてしてほしくなかった。
つとめて静かに言ったつもりだけど、感情のあらぶりはごまかせない。
つい声が上ずってしまい、顔が赤くなる。
国の利益を算盤上に挙げている時に、感情論なんて相手にされないだろう。
わかっているのに、私にできるのは、フィリップ様にはまったく関係のない私の感情だけを主張することだけだ。
だけどこれは本当は、フィリップ様を相手にした説得なんかじゃない。
ただレイに、聞いてほしいだけだ。
私がレイに、本当に感謝しているってことを。
まるで利用するような形になってしまったフィリップ様に心の中で謝りながら、彼の顔を見つめた。
すると今までずっと穏やかな笑みを仮面のように張り付けていたフィリップ様が、わずかに表情を変えた。
「あなたたちは、もう……」
フィリップ様の表情は、笑っているような、呆れているような微妙な表情だった。
ちょっと頬が引きつっているような、かすかな変化。
だけどおそらく計算外だろう感情があらわになったフィリップ様は、これまでの近寄りがたさが嘘のように、なんだかかわいらしい印象になる。
そもそもこの人、童顔なんだよね。
雰囲気や話しているのを見ていると、彼は私よりも年上かもしれないと思うのに、見た目は高校生くらいにしか見えない。
まぁ話していると、そんなことが吹き飛ぶ大迫力なんだけどさ。
あ。もしかして、この人も癒し人なんだろうか。
読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマも嬉しいです。
お話時間帯では、まだ丸1日もたっていないのに101話かぁと思うと
すごく感慨深い……、反省しています。




