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賠償スキルで無双します~魔王との戦いで逃げる時に勇者達に生贄として置いて行かれたので、賠償スキルでみんな奪ってやった~  作者: 喰寝丸太


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第77話 ダブルデート

「リリム、息抜きに劇場に行こう」

「急にどうしたの?」

「友達のショウがさ。遊びに行きたいんだって。それで誘われた」

「まさかピエロ姿では行かないわよね」

「嫌なのか?」

「私には関係ないけど。けど、一緒に行くならちょっとね」

「じゃあ、今日はピエロの恰好は辞めるよ」


 待ち合わせの噴水に行くと、ショウが一人待っていた。

 右へ行ったり左にいったりしてる。

 少し落ち着けよ。


「待ったか」

「ぜんっぜんっ。何だお前か」

「リリーがまだ来てないんだな」

「すっぽかされたりはしないはず。ほら彼女、夜の仕事だろう。きっと寝坊しているんだ」

「あと10分待って来なければ3人で行こう」

「それは俺に一人寂しくカップルのいちゃいちゃを見てろって言うのか」


「じゃあ、来なかったら。シャランラを呼ぶ。これで別に良いだろう」

「それなら良いけど」


 おいおい、それでいいのか。

 女さえいればという態度は嫌われるぞ。


「お待たせ」


 リリーがやってきた。


「あら、お友達?」

「リリー、ピエロのプリュネオムだよ」

「ふーん」


 頭の天辺から靴の先までジロジロと見られた。

 値踏みされたのか。


「さあ行こうぜ。時間がない」


 俺はショウ達を急かした。

 劇場は庶民が行くランクなのだろう。

 客に貴族の姿は見えない。

 ショウよ、見栄を張るならこういうところからだ。

 最高ランクの劇場の席を取ってこそだ。

 別に俺は構わないが、金の切れ目系の女は常に財力を見せつけないと離れて行くぞ。


 席は一等ではなく二等だった。

 まあ三等でなかったことで良しとすべきか。

 劇の内容は悲恋物だった。

 ひと夏の燃え上がる恋。

 結ばれない男女の冬の別れ。

 まあありがちな内容だ。


 俳優の質は悪くなかった。

 演出も酷くなくて、眠らずに最後まで見れた。

 だが、涙を流すほどの感動はない。


「ええと、次は宝石店だ。リリー行くよ」

「ええ」


「リリムにも何か買ってやろうか」

「そうね。つまらないことに時間を浪費させられた償いに買ってもらおうかな」


 宝石店のグレードは最低だった。

 偽物とか出て来ないよな。

 まあ賠償スキルで俺はどうとでもなるけど。


「どう、これなんかリリーに合うと思うけど」


 ショウが甲斐甲斐しくアクセサリーをリリーに勧める。

 ええと俺はどうするかな。


「店主、一番高いのを持って来てくれるか」

「はい、ただいま」


 店主が凄い勢いで、店の奥に引っ込んで、小箱を持って来た。

 蓋を開けるとダイヤの指輪があった。


「リリム、どうだ」

「安っぽいわね」

「貴族だったお前の目から見るとそうなんだろうが。遊びに行った記念なら、これぐらいがちょうど良い」

「それもそうね」


 リリーが血走った目でリリムを睨んでる。


「私には2番目に高いのを頂戴」

「リリー、無茶言うなよ」

「賭けで儲けたお金があるでしょ」

「それもそうか。宵越しの銭は持たない。店主、二番目に高いのだ」


 店主は上客だと思ったのか、凄い勢いで、細長い箱を持って来た。

 ネックレスだな。

 だが、金にしては輝きが鈍いような。

 きっと偽者だな。

 となると俺のも偽者か。


 ガラスの指輪ぐらいが、学生の遊びにはちょうど良いのかもな。

 店主に金貨10枚を払う。

 店の外に出て。


「【賠償】」


 ふん金貨20枚か。

 精神的苦痛というか神を謀った金額は金貨10枚か。


 リリーはたぶん金メッキであろうネックレスを嬉々として身に着けている。

 まあ相応しいといえばそうだろな。


「【幻影魔法、虚飾】」


 俺はリリーのネックレスに虚飾の魔法を掛けた。

 これで本物に近づいた。

 賠償スキルで俺は儲かったから、おすそ分けだ。


 レストランでの食事はまあ美味かった。

 ただ、店のランクは庶民が行く店だったけども。

 俺としては美味ければ問題ない。

 リリムも満足そうだ。


 リリーも機嫌がいい。

 ネックレスを本物だと信じているのだからな。


 そして、最後の塔から見る夕日。

 学園の塔は立ち入り禁止だ。

 だが、警備など立ってない。


 なんなく入れた。

 リリーとリリムのカードはないので、俺達が手引きしたのは言うまでもない。

 セキュリティがガバカバだな。

 もっとも俺達がいるのは重要区域ではないからな。


 塔を上り、夕日に染まった街を見下ろす。

 うん、綺麗な光景だ。

 むっ、殺し屋の接近を知らせるために、常に俺を警護している猛毒ネズミが死んだ。


 敵襲か。

 身構えていたが一向に刺客は現れない。

 偵察に来ただけか。


 ダブルデートは何事もなく終わった。

 リリムが指に嵌った指輪を眺めてうっとりしてる。


「それガラスだから」

「べつにガラスだっていいのよ。思い出が本物にしてくれる」

「良いのなら好きにするさ」


 変なリリム。


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