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家に帰って夕飯を済ませた後、空がいきなり俺の部屋に来た。 まぁさっき一瞬呼び止められた時からこうなるであろうと予想はついていた。
そして今空がスンスンと俺の匂いを嗅いでいた。 臭いんだろうか?
「臭い?」
「ううん、りっくんの匂いは甘くていい匂いだよ、りっくんから姫花の匂いがするなぁって思って嗅いでいただけ」
「それに何の意味が?」
「りっくんがあたしのいない間に変な事してないか確認してるだけ」
匂いを嗅いでそんな事がわかるんだろうか? 犬じゃあるまいし。
「空、夕飯食べたのか?」
「うん! 食べて来たよ!」
「風呂は?」
「ん? 今日はりっくんの家で入ってくるって言ったから大丈夫!」
まぁたまにこんな事があるので海や空は俺の部屋に下着やパジャマを置いていっているんだけど。
空が俺から離れ、海と空が私物化していた化粧品類を置いているテーブルを見渡した。
「あれぇ? 化粧水なくなってる。 なくなったら言ってよりっくん!」
「お前らが小まめに塗ってねって言ったからな、昨日使い切ったんだった」
「もう〜、確か買い置きあったけどどこにしまったっけ?」
空が俺の部屋をあちこち探し回る。 うん、確かにプライバシーの欠けらすらないな。 そして空の動きが止まった。 探してるうちに漫画を手に取り座り込んで読み始めていた。
「化粧水探すんじゃなかったのか?」
「う〜ん、これ読んだらにする」
空はこう言い出すと次の巻に手を伸ばし始め化粧水探す事など今は頭から抜けている。
そして30分くらい経ちようやくまた化粧水を探すのを始める。 そして押入れを開いた。 そんな所にあるわけないだろと思ったけど眠くなってきたのでそのままスルーすると……
「わッ! 汚い、うえ〜ん、ホコリだらけ…… 」
そこは俺が春休みに空と作ったプラモを見つけた場所だ。 空の頭と肩にホコリが付く。
「りっくん、ここ汚すぎ…… ちゃんとお掃除しようよ」
空はそう言って押入れの中の物を次々と出し始めた。
「え? 今からやるのか? お前疲れてないの?」
「へへん! あたし体力はあるんだから! あたしがここ綺麗にしてあげる」
空は下へ降りて行き掃除用具を持ってきた。 そしてどんどん荷物を出していく。 あ、このゲームこんな所にあったんだ? と俺は空が出す物を確認していた。
邪魔になった時無造作に押入れに突っ込んでいたので意外な掘り出し物が次々出てきた。
「ちょっとりっくん! ホコリまみれなんだから拭かないと汚いよ」
「俺もまだ風呂に入ってないし大丈夫」
そう言って空が出した目ぼしいゲーム類をホコリを取ってテレビの下に重ねていく。 これでまた遊べる。
「うわぁ、またプラモデル出てきたよ…… 箱でかなりスペース取ってるじゃん」
「あ、本当だ、懐かしいな。 こんなの買ってたんだ」
どうやらまた黒歴史を発見したらしい。ホコリがナノマシンの代わりになっていて…… なんてわけがないので普通に汚いだけだ。 学校終わりに作る気も起きないし本当に邪魔なだけだなぁ。
とりあえずこれは戻しておこう。 そう思ったら部屋のドアが開いた。 入って来たのはパジャマ姿の海だった。
「何してるの空?」
「りっくんのお部屋のお掃除! 凄いでしょ?」
「凄いっていうか…… 珍しいね?」
「海ちゃんは何しに来たの?」
そう言うと海は化粧水を空に手渡した。
「あれ? なんで海ちゃんが?」
「どうせ買い置きなんて陸はなくしてどこに行ったかわからなくなってると思って。 空もしかしてこれ探してて掃除しようなんて思った?」
「ギクッ! 流石海ちゃん気が利く」
「はあ、やっぱり…… まぁここ確かに汚いしやっておいて損はないんじゃない? 私も手伝おうか?」
「海ちゃんお風呂上がりでしょ? いいよ、あたしこの後りっくんの家でお風呂入るから」
「そう? なら空にお任せね」
そして海はプラモデルの箱のホコリを取っている俺の所へ来た。
「へぇ、まだこんなのあったんだね」
「ああ、買ったのすら忘れてたわ」
「陸は作らないくせに買いすぎなのよ」
そう言って海はベッドの方へ行こうとしたら服が俺と空が作って飾っておいたプラモに当たり落としてしまった。 そしてプラモのツノがポキッと折れた。
「あ……」
「あー! あたしとりっくんの共同作業の結晶が!」
「ご、ごめん空、ど、どどど、どうしよう陸?」
何か大変な事をしてしまったと思った海は海は慌てて壊れた欠けらとプラモを俺の前に持っていく。 空は掃除を中断して様子を見る。
「そこに接着剤あるからくっつければいいんじゃないか?」
「あ、良かったぁ、それで直るんだ。 じゃあ海ちゃんに直してもらおっか?」
「え? 私が? 私で大丈夫なの?」
「ほら、だってそうすればあたしとりっくんと海ちゃんが手を加えたって事になるじゃん?」
空はニッコリ笑ってそう言った。
「だな、それでいいじゃん? ほら」
空に怒られると思っていた海はホッとしたけど接着剤を渡すと上手くくっつけられるか不安そうな顔をしている。
「見ててやるからやってみろよ?」
「う、うん」
そうしてなんとか海は折れたツノをくっつけてまたプラモを元の場所に戻した。
「はあ、心臓に悪い…… 」
「でも直ってよかった! 海ちゃんありがとう」
「はいはい、ごめんね? でももうちょっと安全な場所に飾っとこうねって思ったけど気が利いた棚とかないもんねこの部屋。 私の部屋のいらない棚あげようか?」
そう言って海は一旦俺の家から出て行き邪魔にならない程度の少し小さい棚を部屋の一角に起きそこにプラモを置いた。
「あ! 余ったとこに化粧品も置けるし良いね!」
そうして結局海も化粧品の移動やら何やらを手伝わされる羽目になった。 海はなんだかんだ言って自分が手を加えたって言うのが良かったのか棚に置いてあるプラモをジッと見てた。 まぁもしかするとただ単に配置が気に入らないだけかもしれないけど。




