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「違うよ陸、ここ間違えてる」
海が俺のすぐ近くまで顔を寄せ間違えた箇所を指摘する。 いつも勉強を教えて貰っている時はこんな感じで俺もなんとも思わなかったけど……
「前から思ってたんだけどさ…… ち、近いよね!? 」
俺の隣で姫花が少し挙動不審だ。 今頃つっこむとは前はなんとも思ってないようなフリをしていたんだな。
「え? 近い?」
「まぁいつもこんな感じだよな?」
「そうだね」
「いつも…… 陸君もどうって事なさそうだけど」
姫花は周りをチラチラ見ていた。 それにつられて俺も周りを見た。図書室のテーブルには読書しているか俺らと同じくわざわざこんな所で勉強してる奴もいる。
読書部に行ったら別に部の挨拶とかもなくただひたすらみんな本を読んでいるか勉強しているかでまるで俺達が部員とわかっていないような反応だった。
そもそも図書室には10人くらいしか人いないけどこれが多いのか少ないのかすらよくわからない。
そもそも部にする必要もない気もするけど。というか空の部活を見ているうちに挨拶とか終わってたんだろう。
海や姫花は入って来てから男子と女子が2人のルックスに目が行っていてたまに海が俺に急接近して勉強を教えているとチラ見されるがやっぱり俺がその2人に見合ってないのか?
「あ、姫ここ私もよくわかんないんだけど私と陸に教えてくれる?」
「え? あ、ここはね……」
姫花は海にも見えやすいように俺に近寄る。 海、またわざとやってるな?
「わかった?」
「へ?」
姫花の言葉に振り返ると俺は姫花と顔が当たりそうになった。
「〜〜ッ!?」
姫花が俺の目の前でなんとも言えない顔になる。 そして見る見るうちに顔が真っ赤になっていく……
俺も不意だったのでビックリして後ろに退くと海に当たった。 海は後ろから手を回して俺を押さえた。
「陸ったら。 私もビックリするじゃない?」
お前がこうなるように仕掛けたんだろ? そんな姫花の反応を見て海はクスクスと笑っている。
「姫、それじゃ身が持たないよ? 陸はね、私達がいっぱい今まで触れたり抱きついたりしてるから結構慣れっこなのよ?」
いや、お前が姫花をからかってるからだろ……
「触れたり抱きついたり…… 」
「あ、お風呂もこの前一緒に入ったね」
「ええッ!?」
ガタッと姫花は立ち上がりみんなの視線が姫花に注目する。 図書室だから静かに話をしていたんだけど姫花の今の声は大き過ぎた。
「あ…… すみません! すみません!」
姫花はペコペコと周りに謝り席に着いた。
「あー、恥ずかしい…… 」
「てか海、なんて事言ってんだよ、風呂に入ってきたのはお前らが無理矢理だっただろ!」
「うう…… 本当に入ったんだ」
「姫、悔しいなら陸の家に行ったら泊まってっ行ってもいいのよ?」
「てかなんで海が俺の家に来ていいか言ってんの? そこは俺が言うとこだろ? 来るなとは言わないけどいきなり泊まるとかってやり過ぎだろ」
それより海がこんな事言うなんて…… ちょっと前まで嫌いって言ってたくせに。 海は少し心を開くととても相手に優しいからな。 姫花の事ちゃんと好きになってきてるんだな海。
「え? 陸君の家に? 私が行ってもいい?」
「もちろんそれは私と空もついてくるからね!」
「うん。 一緒がいいな、てかいきなりだと恥ずかしいし……」
「フフフッ、姫顔真っ赤だよ」
「それ海のせいだろ?」
「陸、手が止まってるよ? ちゃんと勉強しなさい」
「お前が止めたんだろ……」
再びテーブルの教科書に目をやり勉強しようとするが姫花の視線を感じてちょっと気が散ってしまう。 嫌ではないんだけど。
俺が気になって目を合わせるとサッと逸らす。海が変な事言うから……
「でも姫って本当に勉強出来るのねぇ、空の教え方担当してもらおうかしら?」
「ああッ、海ちゃんそうやって私に意地悪しようとしてるでしょ?」
「だって姫の反応面白くて」
なんか大分姫花俺らと馴染んできたような気がする。 そうしてしばらく勉強して空もそろそろ部活が終わるはずだし迎えに行く事にした。




