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「ん? 佐々木教科書忘れたのか?」
「はい、なので神城君に教科書見せてもらいます。 すみません」
「そうか、次からは気をつけろよ〜?」
そう言って先生は授業を始める。
「あ〜、入学早々注意されちゃった」
佐々木は少しションボリしたように俺にコソッとそう言った。
「佐々木あんまり忘れ物とかしそうに見えないけどな」
「うふふ、そんな事ないって。 私結構間が抜けてるのかも。 だから教科書忘れてるし」
そして佐々木は授業に集中する。 佐々木が少し動くとなんだか海と空とは違ういい匂いがした。
そんな佐々木の横顔をチラッと見るとやっぱり海と空も佐々木の事を可愛いと言っているように整った顔をしているなぁと思った。
キリッとした大きな目なんだけどキツさとかそういうのはなく綺麗な鼻のラインに艶やかな唇、海と同じく長めの髪。
その髪の毛をちょっと鬱陶しそうに耳に掛けた時佐々木は俺の視線に気付いた。
「うん? 」
「あ…… ここわかんなくて」
「あー、ここはねぇ……」
適当に誤魔化した。 横顔見てたなんて言えないしな。 佐々木は俺の方に少し寄り俺がわからないと言った所を教える。
「こんな感じかな…… 私の説明でわかったかなぁ?」
佐々木が俺に大きな目を向けてそう聞いた。 本当に可愛いんだな。…… て、俺何考えてんだ? 別にそんなのわかってるだろうが。
「あれ? やっぱわかんなかった? ごめん、私教科書忘れて教え方も下手で。 えーと……」
佐々木は勘違いしてどうしたら俺がわかるのか顎に人差し指を置いて少し難しい顔をして考え始めた。
「あ、大丈夫。 もうわかったよ、ありがとうな佐々木」
「え、本当? ならよかった」
佐々木はニッコリと俺に笑い掛ける。 ああ、海と空が気にし過ぎるせいで俺も気にしてしまうじゃないか…… てかこんな風にしていると海と空が更に心配してしまう。 あいつら余計な事言いやがって。
「またわからない所あったら聞いてね! 教科書忘れたくせに何言ってんだ? って感じだけどお礼」
俺がそんな佐々木に笑ってわかったと言うとちょっと得意そうな顔をして佐々木は前を向いた。
そして授業が終わりトイレに行こうと席を立つと後ろから背中をバシッと叩かれる。 振り向くと空が居た。
「りっくん!」
「え、なんだ?」
空が少しムッとした顔で俺に近付くといきなり俺に抱きついた。 周りに人も居たので何々? となる。 注目集めるからやめてくれよと思ったけどやっぱりさっきの佐々木と俺の事見てたからか?
「別に姫花の事があったからじゃないよ? あたしがこうしたかったからしてるだけ」
「みんな見てるんだけど?」
「いいもん、あたしとりっくんとっても仲良しだって思えばいいし」
そう言って空はもっと強く俺に抱きつく。 仲良しどころかこれじゃあカップルがイチャついてるみたいだ。
「空、俺トイレ行きたい……」
「あたしもトイレ」
空は俺から離れトイレに入っていった。そして俺もトイレに行き済ませ教室に戻ろうとすると空が追いかけて来た。
「もう! 待っててよりっくん!…… あれ? 井上君?」
空の言う方に向き直ると井上が居た。
「どうしたんだ? 井上」
「神城、この前夕凪と遊んだ事知ってるだろ?」
「ん? ああ、その事か」
「帰り際に言われたよ。 夕凪がお前の事好きだって」
え? 海の奴井上と遊んだ時そんな事言ったのか?
「お前夕凪とはただの幼馴染とか言って夕凪はしっかりお前の事好きじゃないか。 それに星野だってその様子だと……」
「うん、あたしりっくんの事好きだよ。 海ちゃんだってそう」
え!? 言っちゃったよ…… 空、やんわりと伝えていくんじゃなかったのか?
「神城、お前2人の事弄んでるのか? それに佐々木だってお前の事好きなんじゃねぇのかよ?」
「それは……」
俺は何も言えない、 だってそう思われたって仕方ないから。
「井上君やめて。 海ちゃんやあたしはそれをわかっていてりっくんの事好きなの。 それにりっくんはあたし達の事弄んでるわけじゃないよ?」
いいや、俺がハッキリしないから井上が言っている事だって……
「星野、新井の奴だって星野の事好きなんだぜ?」
「でも…… でもあたしはりっくんの事が前から好きだったの。 だから他の人にそう思われたって…… 正直困る」
「おい神城、お前どういうつもりだよ?」
「そんなにりっくんに食ってかからないでよ井上君!」
そう言うと井上はチッと舌打ちをして教室の方へ戻って行った。
「ごめんりっくん。 好きって言っちゃった。 海ちゃんがそう言ってたならもうやんわりとしてなくていいかなって思って」
「はぁ〜、まぁそうなるよな。てか俺も海と空にばっかりで情けないよな」
「りっくん、あんまり気にしないでよ。 あたし達2人がりっくんの事好きだって言っちゃったからこんな事になってるってのもあるし」
井上に嫌われちゃったかなと思い教室に戻ると井上は海に話し掛けていた。 なんだよ、それでも海にアタックしてるんじゃないか……
海は普通に接していたが若干迷惑そうな顔をしていた。




