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「はぁ〜、いいなぁ健斗兄貴……」
海が健斗兄さんが帰った後遠い目をしながらそう言った。 それは遠回しに俺に向けて言っている事はわかったので下手な事言うと空もつられるので俺は聞こえないフリをする。
「健斗君ラブラブだったもんね、あたしも羨ましかったよ」
そう、俺が聞こえないフリをしていても空がつられないはずない。 俺は窓の方を向き携帯を弄る事にした。 そして2人からの視線を背中に感じる。
「ねぇ、りっくんはどうだった?」
「え?」
聞こえていたけど白々しく聞こえないフリをして聞き返す。 まぁこんな事したって時間の無駄だけどさ……
「だからぁ、健斗君見てていいなとか思わなかった?」
いいなというかいい感じで2人とも好きなんだなって思ったけど。
「まぁそりゃあ健斗兄さんが幸せそうで何よりだったよ」
「うーん、そりゃあそうなんだけど……」
「陸は私達ともあんな風になりたくない? 」
海のその質問に2人は俺を見る。 え、海と空両方でいいの? なら今は現状維持できるから大賛成なんだけどそれでいいのかな?
海と空と健斗兄さんとえりなさんみたいに…… 想像すると悪くはない。 だってこのまま仲良く3人居られるのだから。 ゲスな考えだけど。
それが側から見たらどんな関係? とか思われても1人だけ取り残される事ないからいいじゃないか。
いいじゃないかと思う反面2人は本当に両方とそんな関係になってもいいと思ってるんだろうか? どっちを取っても後悔しないなんて所詮は結果が出てないから言える事であって楽観的に捉えてるんじゃないか? 1番楽観的なのは俺の方だからそんな事言えないけど。
「俺だってああいうのは海と空ならいいなって思うけど……」
「そっか。 陸は少なくても私達とならいいって思ってくれてるんだ」
海は少しニッコリしてそう言った。
「やったね! じゃあそんな風にしてあげようか?」
「そんな風ってどんな風?」
そう言うと空がえりなさんがしたように俺の腕に抱きつきくっつく。
「ふへへ。 りっくん」
「わ、私もしてみる!」
空の反対に海が回り俺の腕に抱きついた。 なんなだろう? なんか変な感じだ……
「腕はこの為に2本あるんだね、りっくん!」
「いや、俺そんなの初めて知ったわ」
「ん、悪くないかも。 陸、どんな感じ?」
「なんか不思議な感じ……」
小学生並みなよくわかんない感想しか出てこなかった。 幼馴染とはいえ告白されてここまでされると変に意識するというか恥ずかしいというか。
「あたしも不思議な感じ! 大好きな海ちゃんとりっくんともっと深くなったような…… よくわかんないや」
「私もよくわかんないけど今は満足」
そうして休みの日は過ぎて学校に登校する。
「おはよう神城君」
俺が隣に座ると佐々木は可愛らしい笑みで俺に挨拶をしてきた。 俺の事が好きかもしれないと聞くと少し顔を合わせ辛い。
「うん? どうかした?」
「あ、いや。 おはよう佐々木」
「ふふッ、変な神城君」
佐々木と少し小話をしてHRが終わり1時間目の授業が始まろうとした時……
「あ、あれ?」
佐々木が机と鞄を漁りちょっと焦っていた。
「どうかしたか?」
「うーん、教科書がないの。 忘れてきちゃったみたい。 どうしよう? 今から借りに行く時間もないし……」
「なんだ、そんな事か。 だったら俺の教科書見ればいいんじゃね?」
「え、いいの?」
佐々木は俺の言葉に嬉しそうにこちらを向いたがすぐに少し考えているような顔になる。
「なんか問題あったか?」
「問題っていうか…… 海ちゃん空ちゃんに睨まれそうで。 ほら、だって2人とも神城君の事になると目の色変わるから」
佐々木は困ったように笑い2人の悪口とかじゃないからねと付け足した。 まぁなんか佐々木の言いたい事はわかったけどそれとこれとは別問題だろと思った。
「忘れたら教科書くらい見せるなんて隣同士なら普通だろ? そこまで気にすんなよ? 海と空だってそんなに気にされるとやりにくいと思うし」
「…… うん! そうだね、じゃあ神城君のお言葉に甘えちゃおッ!」
別に教科書を見せるなら俺じゃない隣の人に見せてもらってもいいのだけど俺が話しかけちゃったから仕方ないよな。
「でも神城君でよかったよ。 私神城君とはよく話してたけどもう片方の隣の人とあんまり話した事なかったし」
佐々木は俺に向き静かにそう言った。 確かに俺と話していた割合多かったし佐々木の気持ちもわかる。 俺は佐々木と席をくっつける。 海と空の視線も感じだけどすぐになんでかわかるたろう。




