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「陸、今日は健斗君うちに来るらしいわよ」


「え? そうなの?」



日曜の朝母さんに唐突にそう言われた。 この前響紀が来た時に海と空に連れて来てって言ったのを思い出した。まさか本当に来るとは……



「あ、それとねぇ、健斗君の彼女さんも来るらしいわよ」


「ああ、そう言えば見たいって海と空も言ってたな。 よく健斗兄さんの彼女も来る事OKしたな」


「響紀ちゃんが健斗君に頼んだんでしょ? とても美人だそうじゃない? 陸もうかうかしてられないわねぇ」


「いや、俺は関係ないだろ?」



まぁ健斗兄さんの彼女には少しは興味あるけど久し振りに来られても何話していいかよくわかんないしな。



そうだ。 見たいって言ってた海と空呼べば絶対来るだろうし2人とも呼ぶか。 そう思って2人に連絡するとすぐに俺の部屋に来た。



「いやぁ、健斗君が彼女さん連れてくるなんてびっくりだね!」


「お前自分で連れて来いって頼んだくせに」


「私も本当に健斗兄貴来るなんて思ってなかったわ。 これは相当自分の彼女に自信があるんじゃないかな?」


「え? そんな自慢したいからわざわざ来るのかよ?」


「まぁ健斗君久々に来るんだから良かったじゃん! 何年振りだろうねぇ」



空が久し振りに健斗兄さんに会えるんだなという感じでウキウキしていた。 本当にお兄ちゃんみたいな感じで接していたからな、海と空も。



海は少しトゲがあるような感じに言っているが健斗兄さんによく懐いていたので内心海も楽しみなんだろう。



海と空が俺の部屋に来て1時間くらい経っただろうか? 俺達は3人でお喋りしているといきなりドアがノックされた。



ガチャリとドアが開くとそこには懐かしい健斗兄さんが居た。 久し振りに会う健斗兄さんは当たり前だが大人っぽくなっており思わず俺と海と空は本人確認してしまう。




「健斗兄さん?」


「え? 健斗君? そっちは……」


「健斗兄貴? てことは」


「久し振りだな、陸、海、空。 こっちは俺の彼女のえりなだ」


「美咲えりなよ。よろしくね」



健斗兄さんの彼女のえりなさん。 響紀が言っていた通りとても美人だった。 少し気難しそうな感じだったけど。




「す、凄い! 本当に美人! あ! あたし星野空です」


「本当、健斗兄貴凄い…… どうやってこんな綺麗な人と? 私夕凪海です」


「あ、俺は神城 陸です、健斗兄さん久し振り。 てか健斗兄さんの彼女って凄い綺麗だ」


「あはは、ありがとね。 海ちゃんと空ちゃんもとても可愛いじゃない。 陸君もモテるのねぇ」



2人の前でそう言われると耳が痛い……



「健斗兄貴はモテてたんですか?」



海がえりなさんにそう言うとえりなさんは少しうんざりしたような感じで答えた。




「ええ、物凄くね。だから大変だったわ、私死ぬかと思うくらい。まぁいろいろ不思議な事もあったしね」


「ええ!? 健斗君そんなにモテモテだったんですか? 死ぬかと思うくらいなんだ…… あ、あたし達もそうなるのかな? 海ちゃん」


「いや、例えでしょう…… 空ったら」


「あ、だよね! えりなさん、健斗君との事聞かせて下さい!」


「あー、おいおい…… 」


「健斗兄貴ずっと来なかったんだから仕方ないよ。 ほら、来てよ!」



海に手を引かれ健斗兄さんとえりなさんは俺の部屋のテーブルの前に座らさせられる。



「それにしても陸、結構大人っぽくなったな、見違えた」


「それはこっちのセリフだよ。 健斗兄さんこそだよ」


「海と空も小さかったのにな。 まぁもう高校生だから当たり前か」


「健斗君! あたし達結構可愛くなったでしょ!? ね?」


「空、やめなさいよ。 えりなさんの方が私達よりずっと美人なのに惨めになっちゃうじゃない」



海が健斗兄さんに詰め寄る空に溜め息を吐いてそう言った。



「そんな事ないわよ? 2人ともとても可愛いじゃない。 健斗って周りに可愛い子ばかり居たようね? だから目が肥えちゃって私になかなか靡かなかったのかしら?」


「そこはお前にいろいろ問題ありだったんだと気付かないか?」



今度は健斗兄さんが溜め息を吐いてえりなさんにそう言った。



「失礼ね、健斗は! でもまぁ私健斗の事が大好きよ」



えりなさんが健斗兄さんの腕に抱きついてツンとしたような顔していたのにとても柔らかい笑顔になった。 ああ、この人健斗兄さんの事本当に好きなんだなと思った。



てか俺ら3人の前で惚気るなよ…… そんな光景を見ていた海と空はなんだかほへぇとなんとも言えない顔になっている。



「海ちゃん、あたし達もあんな感じになれるかな?」


「ど、どうだろう?」


「あら? 海ちゃんも空ちゃんも好きな人いるの? もしかしてそこに居る陸君とか?」



えりなさんが俺と海と空を見てそう聞いた。 ややこしくなるからそこは触れないで欲しかった。



「そうなんです! あたし達昔から大の仲良しであたしと海ちゃんで協力してりっくんを振り向かせようって事になったんですけど」


「あたし達? 協力? なんかこっちもややこしそうね。 健斗、この子達前からそんな感じだったの?」


「うーん、昔から確かに仲良かったけど海も空も陸の事好きだったって事だろ? そうなると陸は……」



健斗兄さんはそこで言葉を濁した。 そうだろう、ややこしいだろ? それにどちらかなんてなったら特に。



「なんだか陸君の方も大変そうね。 好きな子被って私も苦労したから海ちゃんと空ちゃんも穏便にね?」



俺はもう苦笑いを浮かべているだけしか出来なかった。 そうしてしばらく俺達はお喋りしていたかそろそろ健斗兄さん達は帰る時間になったようだ。




「えー、もう帰っちゃうの? 泊まっていけばいいのに。 りっくんはこの前あたしの家でお泊りしたもんねぇ」


「余計な事言うな!」


「陸照れてる。 ふふッ、健斗兄貴とえりなさんまた来てね?」


「ああ、また来るよ」



健斗兄さん達が帰って行き海と空は大人っぽくなった健斗兄さんかっこよかったねとかえりなさんの事で盛り上がっている。



「りっくん、あたしと海ちゃんだったらどっちが好み?」


「そうね、どっちが陸のタイプかしら?」



なんて答え難い事を聞いてくるんだ。 これはどちらを選んだってダメなタイプの質問じゃないか。



「………… 2人とも俺にはもったいないくらいだしなぁ」



なので俺は曖昧に返答する。 質問の返答にもなっていないけど……



「はぁ〜、陸ならそう答えると思った」


「あはは、りっくん優しいもんね」



優しい? どうなんだろう? 俺はただ適当に雰囲気を悪くしないように答えただけだ。 それは自分の立場が悪くならないように。 2人に対してこんな俺は優しいと言えるのだろうか?





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