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「ハァハァッ、待ってよ! 陸、空……」



2人は私をどんどん追い越していく。 それは歳を重ねる毎に更に明確な差となって表れてきた。



最初に2人との差を感じたのは小学生3年生頃の事だろうか?



「よーし! 鬼ごっこしようぜ!」


「じゃあジャンケンで鬼決めようね! せーのッ!」


「ありゃ…… 私が鬼か」


「海が鬼に決定だな! 10秒数えてからスタートな!」


「ふん! 楽勝よ」



私は10秒数える。 2人は私から一目散に離れる。 うわぁ、もうあんな所にいる。 まぁでも10秒あれば私だってあれくらい行けるもんね。



そう思い10数え終わり私は最初に誰を狙うか決める。 空ね! 陸は男の子だから速いかもしれないけど同じ女の子の空ならそんなに手間取る事なく捕まえられる!



そして空目掛けて私は駆け出した。 ほうら! 早くしないと私に捕まっちゃうよ!



「わあッ! 海ちゃん来た!」


「待ちなさい! 空!」


「なんであたしばっかり!? りっくんそっちにいるよ?」


「空を最初に捕まえてあげるわ」



だけど空との距離は一向に縮まらない、それどころかだんだん距離が開き始める。 あれ? なんで追い付けないの?



ていうか陸…… あんな所で余裕そうに。 私は空を諦め舐めた態度で私と空を見ていた陸にターゲットを切り替えた。



「うわッ、今度はこっちに来た!」



陸は私が追い掛けると逃げ出した。 だけどやっぱり私の予想通り陸は速かった。 もうダメ…… 追い付けない。



今日調子悪いのかな? 私は一旦立ち止まり乱れた呼吸を落ち着かせる。 そして陸と空がそんな私を見て近くに寄ってきた。



多分ほら、ここだよって挑発してる、私は隙を狙って2人を捕まえようとするけどことごとく失敗する。



「ハァハァッ……」


「海ちゃんこっちだよぉ」



空…… その調子に乗った顔ムカつく! だけど息が上がって走れない。 陸と空は全く平気そうだ。



「ダメだなぁ海は。 俺海がもっと速く走らせる方法知ってるぜ」


「どうやるの? りっくん」


「それは…… ププッ、ほら!」



陸は木の棒を私の顔に近付けた。 その木の棒の先端には芋虫が乗っていた。私はゾワゾワと寒気が走った。 陸は意地悪く笑い私ににじり寄る。



「ほら、走らないと髪の毛に付けるぞ?」


「サイテーッ!!」



私は全力で陸から逃げた。 陸は面白がって私を追い掛ける。



「わあ、本当に海ちゃん速くなった。 でもなんか可哀想」



そんな所でボケーッとしてないで助けなさいよ空! 私は腹が立ってきてクルッと陸の方に向き直った。



そして私目掛けて走ってくる陸に体当たりをした。 運良く芋虫が乗った木の棒は陸の手から離れ地面に落ちた。



「いってぇな、何すんだよ!?」


「陸のせいでしょ!!」


「この野郎!」



陸は私に掴みかかって押し倒した。 私は陸に両手で叩いたりして抵抗する。 この当時の私は結構勝気だった。 そんな私と陸を見て空がオロオロとしていた。



「りっくん、海ちゃんやめようよ!」


「「うるさい!!」」



私と陸に怒鳴られ更には陸の蹴りを食らい空は尻餅をついた。



「うわああああんッ! りっくんがあたしを蹴った! 海ちゃんが怒ったぁ!」



空は泣き出してしまった。 しかも大泣き…… 私と陸はピタッと喧嘩が止まり顔を見合わせて溜め息を吐いた。 そして泣いている空に駆け寄る。



「ご、ごめん空」


「私も怒鳴ったりしてごめんなさい」


「りっくんのバカ! 海ちゃんのバカァ〜! うわあーんッ!」



私と陸は空をなんとか宥めた。 それから私と陸と空の間に差が開き始めていった。



男の子の陸は体を使った遊びをよくしてそんな陸に空はついて行けているが私には無理。 勝気だった私はそれから鳴りを潜めていった。



中学に入る頃はそういう事で2人と競う気はもうなくて私は別な事で陸や空に対抗してやるって決めた。 それが勉強だったり料理だったりだ。 私は勉強とかは出来る方だったらしい。 なので2人によくわからない所など教えていた。



まぁ私ってこんなもんだよね。 そんな私でも中学2年を過ぎた辺りからモテ出した。 まぁ悪い気分じゃないけど空だってモテてるしね、それに比べて私なんか全然だ。 陸の遊び相手すら務まらないしね…… でも陸はどう思ってるのかな?



ある日陸の親が2人とも居ない時私は陸ママから陸の面倒見て欲しいと頼まれた。 私は快く引き受けた。



「美味い…… 凄いな海、お前こんなに料理上手だったのか!?」


「まぁそれなりにね。少しやれば誰でも出来るよこのくらい」


「そうか? 十分凄いさ。 それに海って俺達の中でもよく気が利くじゃん。 予習とか手伝ってもらったり助かってるよ」



あ…… ちゃんと陸って私の事見てくれてたんだ。 それなのに私って勝手に陸や空はもう私なんかとか思ってたりして……



「陸! 私! 私……」


「ん? なんだ? 」


「え……っと…… なんでもない」



ダメだ、勇気が出ないや。 勝気な私はどこへ行ったやら。 でも陸はしっかり私を見てくれてた。 嬉しい! そう思うだけで、あれ? 私陸に対してドキドキしてる?



これって俗に言う…… ダメダメ! 空だって居るじゃない、空の方が…… ううん、やめよう、そう思うのは。 私は陸の事が好きだ!



だけど陸にとっては私は幼馴染で私を好きかもしれないけどそれは別の意味かもしれない。 だからこれから、これから恋愛感情の好きに変わってもらおう。



少し私は前みたいに陸に大胆に接してみた方が良いかもしれない。 そんな時気付いた。 空も私と同じように陸を意識してるって事に。 空も陸の事が好きになるなんて…… いいえ、全然不思議じゃないか、私達ずっと一緒だったもん。



空、負けないよ! 私はそう思った。 だけど昔から一緒だっただけに陸はなかなか私に対しても空に対しても以前と変わらぬ態度のままだ。 幼馴染ってこういう時不利だな。そんな時……



「海ちゃん、あたしりっくんの事……」


「わかってるよ空、それは私も同じ。 だけど陸、私達の事そういう風に全然見てないような気がする」


「そうだよね…… あたし達結構モテちゃうのにね。あはは、りっくんには効果なしだね。 だったら2人でりっくんを意識させようよ!」


「ええ? 2人で?」



私は空の発言に少し驚いた。 同じ人を好きになったんだよ? 空、意味わかってる? ああ、でもこれが空だもんね。 私こういう空の事羨ましいって思ってた、私もこんな風に空のようになりたい。 気持ちだけでも。 だから空のこの提案は……



「やっぱり私達昔から3人一緒だったもんね、わかった」



2人で陸をその気にさせよう! とりあえず私はそう決めた。


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