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裏側―空母アリステイル艦橋内―

「全任務受領航空団、発艦準備よし」

「本作戦の推定成功率算定中」

 あわただしくなる艦橋内のひときわ高いところに座る少女が声を上げる。

「全艦戦闘配置。巡航速から戦闘速度へ。艦を風上に向けよ」

「全艦戦闘配置。第一戦速、おもーかーじ」

「よーそろー」

 その隣に立つ、女性の復唱を受け、操舵手が舵をとる。

「こちら艦橋、航空団ウスバカゲロウ発艦用意。コールサインは提出通りでよろしいですね」

「機関室、調子はどうだ? ……了解。じゃじゃ馬の面倒は任せますよ」

「戦闘班、武器点検開始。対空見張り及び防御を厳に」

 それにともない、艦橋内で飛び交う言葉が増えていく。全ての要員があわただしく指示を飛ばし、いやおうにも作戦が始まったことを知らせている。

 緊張感が漂う、そんな場面だろう。


 そうこれが人であるならば。


「ポラリスより入電。我敵偵察機と接触す、です」

「全航空団発艦!」

 少女の声を合図に、作戦は開始される。

「……いつも思うけど、この景色ってAIがやっているようには思えないのよね」

 独り言はだれに聞かせるわけでもない言葉。

【アスカ、今回は参加しないので?】

「うん、今回はここから見ていたい。空だけでは見えないものがきっとあるから」

 彼女はそう言って、傍らに浮かぶ自らの相棒に答える。その視線は艦橋内に映し出されるスクリーンを見ていた。

【他の方々の勇戦に期待しましょう】


 そうこの場にいるのは彼女を除いてすべてAIのはずだ。とても人間臭いAIだと彼女は思う。


「艦長、観戦の許可いただけますか」

「許可します。ミク・アスカ一尉、もしよろしければ席を用意しますが」

「いえ、立ったままで結構です」

 彼女はそう言って、艦橋の主にこの場にいる許可をとった。

「第一次制空隊発艦完了。続いて無人攻撃機隊の発艦を開始します」

「発艦遅い! 急がせろ」

「空母ヘイヤ、空母ハッタより旗流信号。我発艦完了す」

「敵にこっちの情報が送られているはずだ、後は時間との戦いになる。全機発艦後、進路変更、北上する」

「本航空作戦の指揮は航空団αボーイがとります。なお、本作戦での勝利条件は各機体に転送済みの作戦概要より確認を」

「全航空団および無人攻撃機隊発艦」

「進路変更、おもーかーじ」

「よーそーろー」

「舵戻せ」

「進路、速度そのまま」

 艦橋内の要員は淡々と作業をこなしていく。人間ではこうはいくまい。

「……はじまるようね」

【はい、アスカ】



      ――エリア・艦内――


概要

 ゲームとは思えないほど精密に再現された艦内では、AIたちが現実と変わらないように艦の運営を行っている。プレイヤーの機体の整備をサポートする整備班はもちろん、艦橋要員や機関部要員など全部署でAIを確認することができる。基本プレイヤーが侵入できない区間(船員居住区を除く)はなく、違和感なく艦内生活をおくることができる。

 また、望むならば艦橋内で戦闘を観戦することができる。



マメ知識

○各艦には艦長職が置かれている。なお、プレイヤーとは指揮系統が違うということになっている模様。

○空母を要する国家軍は多数あるが、空母アリステイルを中心とする洋上国家アイルステイルは、国家元首兼戦闘司令長官を空母アリステイル艦長が兼務している。なお、少女である。


 《大電脳遊戯事典 サンタマリアの空/エリア一覧より》

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