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にげるものとおうものきゅうかそく

そろそろ最終回です! あまり納得行く様な感じはしないかもですが、見てくださった事に感謝をします。 ありがとうございます。

【佐藤】

 「うぅ・・うぅ・・」と奇妙な音が耳を蝕んでいた。その音の正体が自分の声だと気付いたのは最初からで、普通に晒している拳銃に目をやる。

 鉄の柵に囲まれ、伸び放題の雑草の中に身を潜めて恐怖に濡れていた。僅かに残った確認出来る地面は柔らかく軽い白い砂が風に吹いて雑草を白く染めていた。

 零れた大粒の涙は砂を固め、色を染めて行く。

 俺は何故ここにいる?大体何故俺は追われているんだ。おかしいだろ・・・?

 殺し屋『斉藤』の復讐?『伊藤』は? 脳で淡々と浮かぶ疑問に圧縮されて、煩悶する事に淡い戦慄を覚える。

 前髪が目に掛かって視界が闇に浸食される。無造作に掻き揚げて額を冷えた空気と伴う砂嵐に当てる。じゃりじゃり、ひやひや。

 携帯を取り出し、ネットを繋げる。検索ワードに『殺り捕り』と打ち込み、サイトを繋げる。ゲージが青色で埋り、すぐに更新されているトピックを確認する。

 視界に飛び込んだ文字。更新されていたトピック一件。それは『伊藤』が発していた。


『そこでまってろ』


【伊藤】


「てめぇは佐藤に何の用があんだよ?」


  ガラスのグラスを覆う水滴を手の平で感じながら、一つ溶けかけの氷を口の中に頬張り、一番気になっていた疑問を述べてみた。すると斉藤は「復讐さ」と窓から外を眺めたまま一言吐く。

 「復讐?」その目的は俺と同じで、それと同時に敵対心も足元から湧き上がって来る様な気がした。


「妻をね、殺されたんだよ」


 寂しさを交えた低く小さな声で、斉藤は外を見つめる。グラスを覆う水滴が垂れてテーブルを一部濡らして後を作る。「へぇーそりゃ残念だな」本音を言うと、そんな事は毛頭も思っていなかった。

 殺し屋という人生を選んだ以上、人の死を悲しむ感情など殺さないといけない。たとえ両親だろうと、恋人だろうと。殺し屋は人の命を奪う仕事だ。その殺し屋が何故死を惜しむ必要がある?

 人は殺し屋という逸脱した生き方を選んだその瞬間に、自分自身を殺さなければいけない。俺はそう肝に銘じてナイフを振る。

 

「俺も復讐なんだけどよ。お前みたいな重い復讐じゃないんだよ」


 「だから命はお前にやる」と俺は言ったが、実際そんな積もりは微塵も考えちゃいない。殺し屋が?妻を殺されたから復讐?そんなの、戯言だ。

 舐めてるのかこのジジイ。と殺意を伴う視線を斉藤に向ける。今すぐナイフを振り回して殺したくなった。俺は畏縮するつもりはない。俺は自由だ。殺し屋なんていう奴が恋人を作るからそうなんだよ。プライドを持てよクソジジイ。

 一人の殺し屋として、俺はこのクソジジイを許せなかった。


【斉藤】

 「居場所はどうにもなる。俺は佐藤を瀕死状態にまで追い込む。そこで上手く逃がせるから、そこでお前が撃て」と伊藤は淡々と作戦を考えて行く。だが、私はそんな作戦に乗るわけがなかった。伊藤も私と同じ目標なのに、そんなに下がる奴とは思えなかった。

 だから私は「あぁ解った」そう吐きながら拳銃の居場所を確認する為にスーツの上着を漁っていた。


「居場所はどうにもなる。と、君は言ったが何故わかるんだ?」

「なんだよ。お前のところには何も着てねぇのかよ」

「もう返事が着たのか?」


 伊藤は「追跡屋が味方になってくれたぜー」と緩慢な態度で言い、アイスコーヒーを一口飲む。金が上でも有名人には勝てないという事か。

 「んじゃ、今日の夜八時位に集合な」と伊藤はアイスコーヒーを飲み干し、会計の紙を持ってレジに向かっていった。

 今日で私が捧げた復讐の人生が終わる。佐藤を殺したら私も死のう。

 「待っていてくれ」と亡き妻に向けて呟き、席を立って喫茶店から出て行った。



【佐藤】

 空は既に闇に包まれ、「いやだ・・・いやだ・・・」と孤独に身を竦めて戦慄する佐藤は、ひたすら夜空に向けて神頼みをするのみだった。


【斉藤】

 斉藤は建築中の工事現場に身を潜め、復讐の時を静かに待つ。


【伊藤】

 そして伊藤は、小型ナイフを握り締め、伸び放題の雑草を踏みつけて笑みを浮かべる。


【佐藤】

 恐怖に隷属となった佐藤は怠惰。歪で戦慄する感情に身が沈んで携帯を開くと一件のトピックがさらに佐藤に恐怖を与える。



『そ こ で ま っ て ろ』

次回最終回です。コロシチェッカーはテーマ復讐でしたが、そこまで復讐復讐してたかな?と思います。

コロシルームでは、伊藤と同レベルの有名な殺し屋『黒部』が登場します。特殊な殺害方法なんで、そういう所も見てくださればありがたいです。

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