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第二十六話 白金とミスリルの宝箱



 古代地下採掘遺構を出た頃には、空が夕焼け色に染まり始めていた。


「結構長くいたね」


「ウォン」


 ノルンの背中へ乗る。


 今日の収穫を思い返す。


 アダマンタイト。


 ヒヒイロカネ。


 虹霊晶。


 六属性霊晶核。


 古代六属性核。


 それに。


━━━━━━━━━━


《白金の宝箱》×1


《ミスリルの宝箱》×1


━━━━━━━━━━


「……早く開けたい」


 結局、帰り道でも何度も《インベントリ》を確認してしまった。


「ノルン、王都までお願い」


「ウォン!」


 白銀色の巨大狼が地面を蹴る。


 森の景色が一気に後ろへ流れていった。


◇◇◇


 王都へ戻った頃には、もう夕方だった。


 門を抜け。


 そのまま冒険者ギルドへ。


「ただいまです」


「お帰りなさい、リリスさん」


 受付にいたエレナさんが顔を上げる。


「今日はどうでした?」


「古代地下採掘遺構を探索してきました」


「ええ」


「アダマンタイトの大鉱脈がありました」


「……はい?」


「ヒヒイロカネもありました」


「ちょっと待ってください」


「あと、守護個体を二体倒しました」


「待ってくださいと言いましたよね?」


 エレナさんが両手で額を押さえた。


「順番にお願いします」


「はい」


 討伐記録を出す。


━━━━━━━━━━


《遺構守護個体》


金剛晶鎧巨兵アダマン・クリスタルガーディアン


Lv86


討伐済


━━━━━━━━━━


《古代守護個体》


緋金古代守護騎士ヒヒイロ・エンシェントガーディアン


Lv98


討伐済


━━━━━━━━━━


「…………」


「エレナさん?」


「リリスさん」


「はい」


「Dランクでしたよね?」


「そうです」


「どうしてDランク冒険者がLv98の古代守護個体を討伐して帰ってくるんでしょうね」


「ノルンも手伝ってくれました」


「そういう問題ではないです」


「ウォン」


 ノルンが何となく誇らしそうに鳴いた。


 エレナさんは少し黙った後、記録板を持ち上げる。


「これはギルド長へ回します。さすがに通常処理では済みません」


「昇格ですか?」


「少なくとも、昇格審査の対象にはなります。これまでの実績もありますから」


「分かりました」


 ランクは後でいい。


 今は。


「宝箱を開けたいので帰ります」


「……そっちが一番大事なんですね」


「はい」


◇◇◇


 銀の月亭。


 夕食。


 入浴。


 それを全部済ませてから裏庭へ向かった。


 ノルンも待っている。


「お待たせ」


「ウォン!」


 私は周囲を確認する。


 人はいない。


「まず白金から」


 《インベントリ》を開く。


━━━━━━━━━━


《白金の宝箱》


×1


━━━━━━━━━━


 取り出す。


 銀白色と金色を混ぜたような宝箱が、地面へ現れた。


「前の白金箱もすごかったからね」


 《エクリプス・ブレスレット》を見る。


 今も左手首で黒銀色に輝いている。


「今回は何かな」


 蓋へ手を掛ける。


「開ける」


 カチッ。


 白金色の光が一気に溢れた。


━━━━━━━━━━


《白金の宝箱》


開封


━━━━━━━━━━


金剛守護指輪アダマン・ガーディアンリング》×1


《技能書:絶対防御》×1


《魔導書:金剛障壁》×1


《アダマンタイト精錬塊》・高品質×100


《金剛晶》・高品質×50


《白金魔晶》×20


《高純度月銀塊》×40


《高純度アルケリウム》×50


《特級完全回復薬》×10


《白金貨》×3000


━━━━━━━━━━


「またいっぱい」


 一番上。


「指輪」


 取り出す。


 重厚な銀黒色の指輪。


 中央には金剛晶らしい青黒い宝石が嵌め込まれている。


「《上級鑑定》」


━━━━━━━━━━


金剛守護指輪アダマン・ガーディアンリング


S(ランク)


伝説級(レジェンド)


分類:


高位防御魔導指輪


━━━━━━━━━━


《物理防御超強化》


《魔法防御超強化》


《衝撃耐性大幅上昇》


《貫通耐性大幅上昇》


《魔力障壁強化》


《障壁耐久大幅上昇》


《障壁自動展開》


《被ダメージ軽減》


《状態異常耐性強化》


《緊急防御》


《攻撃時防御力一部無視》


《硬質敵特効》


《装甲破壊強化》


━━━━━━━━━━


「防御だけじゃない」


 硬い敵への攻撃補助まで付いている。


「アダマンタイトの守護巨兵らしい」


 指へ装着する。


━━━━━━━━━━


《金剛守護指輪》


装備完了


━━━━━━━━━━


 次。


━━━━━━━━━━


《技能書:絶対防御》


━━━━━━━━━━


「覚える」


 光へ変わる。


━━━━━━━━━━


《絶対防御》Lv1


習得


━━━━━━━━━━


 そのまま。


「Lv10」


━━━━━━━━━━


《絶対防御》


Lv1



Lv10 MAX


━━━━━━━━━━


「次」


━━━━━━━━━━


《魔導書:金剛障壁》


━━━━━━━━━━


 開く。


 魔法式が頭へ流れ込む。


━━━━━━━━━━


新魔法習得


金剛障壁(アダマン・バリア)


━━━━━━━━━━


「これ、かなり硬そう」


 《光盾》よりさらに上の防御魔法。


 ボスの大技を受ける時に使えそう。


「白金箱だけでも当たり」


 でも。


 今日の本命は。


 こっち。


◇◇◇


 私は一度深呼吸してから。


 《インベントリ》を開いた。


━━━━━━━━━━


《ミスリルの宝箱》


×1


━━━━━━━━━━


「初ミスリル箱」


 取り出す。


 白金よりも淡く青みがかった銀白色。


 縁には細かな青銀色の魔法模様。


「見た目から違う」


「ウォン」


「ノルンも気になる?」


「ウォン!」


「じゃあ開けよう」


 蓋へ手を掛ける。


 カチッ。


 次の瞬間。


 パァァァァ――!


「眩しっ」


 白金箱より明らかに強い光。


━━━━━━━━━━


《ミスリルの宝箱》


開封


━━━━━━━━━━


六耀魔導指環ヘキサ・アストラルリング》×1


《戦技書:六耀魔穿狙撃》×1


《技能書:魔力出力限界突破》×1


《技能書:限界魔力充填》×1


《魔導書:六属性魔法融合》×1


《技能書:超高速魔力演算》×1


《緋緋色金塊》・高品質×120


《アダマンタイト精錬塊》・高品質×200


《高純度虹霊晶》×100


《六属性魔晶核》・高品質×30


《古代魔導核》×10


《特級万能霊薬》×20


《神秘の大宝玉》×1


《白金貨》×10000


━━━━━━━━━━


「……すご」


 白金箱より。


 明らかに一段上。


「指輪から」


 取り出す。


 銀白色の指輪。


 中央には六色の小さな魔晶が円形に並び、中心に透明な宝石が嵌め込まれている。


 魔力を流していないのに。


 六色の光がゆっくり巡っていた。


「カッコいい」


 《上級鑑定》。


━━━━━━━━━━


六耀魔導指環ヘキサ・アストラルリング


S(ランク)


伝説級(レジェンド)


分類:


超高位攻撃魔導指環


━━━━━━━━━━


《魔法威力超強化》


《魔力矢威力超強化》


《射撃威力超強化》


《六属性攻撃威力超強化》


《複合属性威力超強化》


《魔力収束威力超強化》


《弱点攻撃威力大幅上昇》


《長距離射撃威力大幅上昇》


《装甲貫通大幅強化》


《魔力障壁貫通大幅強化》


《属性耐性貫通》


《魔力出力上限大幅上昇》


《魔力消費大幅軽減》


《属性切替瞬時化》


《複合属性制御超強化》


《魔法・射撃連携超強化》


━━━━━━━━━━


「これ」


 思わず笑う。


「火力用だ」


 《エクリプス・ブレスレット》は、魔力制御。


 生成。


 照準。


 発動速度。


 効率。


 それらを大きく引き上げる。


 それに対して。


 《ヘキサ・アストラルリング》は。


「とにかく攻撃を強くする」


 分かりやすい。


 すごく好き。


「装備」


━━━━━━━━━━


《六耀魔導指環》


装備完了


━━━━━━━━━━


 指へ嵌めた瞬間。


 身体の中を流れる魔力が一段強くなった。


「おお……」


 まだ魔法すら使っていないのに分かる。


「これ絶対強い」


◇◇◇


 次は本。


━━━━━━━━━━


《技能書:魔力出力限界突破》


━━━━━━━━━━


「火力」


 即決。


━━━━━━━━━━


《魔力出力限界突破》Lv1


習得


━━━━━━━━━━


「Lv10」


━━━━━━━━━━


《魔力出力限界突破》


Lv1



Lv10 MAX


━━━━━━━━━━


効果:


《魔法威力大幅上昇》


《魔力矢威力大幅上昇》


《魔力収束密度大幅上昇》


《最大魔力出力大幅上昇》


《高威力魔法制御補助》


━━━━━━━━━━


「いい」


 次。


━━━━━━━━━━


《技能書:限界魔力充填》


━━━━━━━━━━


「これも火力」


━━━━━━━━━━


限界魔力充填オーバー・マナチャージ》Lv1


習得


━━━━━━━━━━


「最大」


━━━━━━━━━━


《限界魔力充填》


Lv1



Lv10 MAX


━━━━━━━━━━


一本の魔力矢へ

通常限界を超えた魔力充填が可能。


充填量に応じて、


《威力上昇》


《貫通力上昇》


《射程上昇》


《属性威力上昇》


《爆発威力上昇》


━━━━━━━━━━


《魔穿狙撃》系統との併用:


可能


━━━━━━━━━━


「絶対強い」


 頭の中ですぐ組み合わせを考える。


 《魔力出力限界突破》。


 《限界魔力充填》。


 《エクリプス・ブレスレット》。


 《ヘキサ・アストラルリング》。


 《ファントム・ブラック・ムーン》。


「全部乗せできる」


◇◇◇


 そして。


 一番気になるもの。


━━━━━━━━━━


《戦技書:六耀魔穿狙撃》


━━━━━━━━━━


「《魔穿狙撃》の上?」


 戦技書を開く。


 銀白色の光が溢れ。


 頭の中へ新しい射撃感覚が流れ込んだ。


━━━━━━━━━━


戦技(アーツ)習得


六耀魔穿狙撃ヘキサ・アストラル・ピアース


━━━━━━━━━━


《六属性超収束》


《魔力超圧縮》


《射撃威力超増幅》


《超長距離威力補正》


《弱点特効超強化》


《超装甲貫通》


《超障壁貫通》


《属性耐性貫通》


《大型・強敵特効》


《ボス特効》


━━━━━━━━━━


固有効果:


《適応属性破壊》


━━━━━━━━━━


対象の属性耐性を解析し、








六属性の構成比率を

最も有効な状態へ自動調整。


属性弱点が存在しない場合、

六属性を均等超圧縮し、

高密度魔力貫通射撃へ変換する。


━━━━━━━━━━


「……ボス用だ」


 完全に。


 強敵を一撃で貫くための技。


「試したい」


「ウォン?」


「今日は撃たないよ」


 宿の裏庭で使う技じゃない。


 たぶん。


 絶対。


◇◇◇


 《六属性魔法融合》。


 《超高速魔力演算》。


 それも取得してLv10まで上げる。


━━━━━━━━━━


《六属性魔法融合》Lv10 MAX


《超高速魔力演算》Lv10 MAX


━━━━━━━━━━


「これで複合属性ももっと使いやすい」


 そして最後。


━━━━━━━━━━


《神秘の大宝玉》


品質:


伝説級(レジェンド)


━━━━━━━━━━


使用者の適性に応じ、

最も高い適性を持つ能力の一つを

恒久的に大幅強化する。


━━━━━━━━━━


「使う」


 迷わない。


 大宝玉を握る。


 淡い虹色の光へ変わり。


 私の身体へ吸い込まれた。


━━━━━━━━━━


《神秘の大宝玉》


使用


━━━━━━━━━━


適性判定中……


━━━━━━━━━━


適性:


《魔力制御》


極高


━━━━━━━━━━


恒久強化:


《魔力制御性能》


大幅上昇


━━━━━━━━━━


「やっぱりそこなんだ」


 弓。


 魔法。


 錬金術。


 全部に使う。


「当たり」


◇◇◇


 報酬を全部収納して。


 私は庭の椅子へ座った。


 ノルンも近くで伏せている。


「強くなった」


 かなり。


 でも。


 今日戦った《ヒヒイロ・エンシェントガーディアン》。


 Lv98。


 勝てた。


 ちゃんと倒せた。


 ただ。


「ちょっと手数多かったんだよね」


 障壁。


 装甲。


 再生。


 弱点。


 全部順番に潰してようやく倒した。


 もちろん。


 相手が強かったから。


 でも。


「もっと火力あってもいい」


 私には大量のSPが残っている。


 なのに。


 まだ使っていない力が多い。


「魔法も」


 火。


 水。


 氷。


 風。


 土。


 雷。


 光。


 そして。


「……闇」


 そういえば。


 闇属性を本格的に取得していない。


「なんで取ってなかったんだろ」


 別に使えないわけじゃない。


 単純に後回しになっていただけ。


「取ろう」


 それに。


 弓だけじゃなく。


「剣ももっと強くしたい」


 《ブラック・ファング》を使う一刀だけじゃなく。


 二刀流。


 上位剣術。


 さらに高位の弓術。


「SP余ってるし」


 百個くらい。


 まとめて取ってもいい。


 魔法。


 射撃。


 剣術。


 身体強化。


 魔力。


 転移。


 錬金。


「全部強くしよう」


 考え始めると止まらない。


 さらに。


 《インベントリ》には。


━━━━━━━━━━


《高純度ミスリル銀鉱》


大量


《高純度ミスリル銀塊》


大量


《虹霊晶》


大量


《六属性魔晶核》


大量


━━━━━━━━━━


 素材もある。


「新しい装備も作れる」


 黒い装備。


 《ファントム・ブラック・ムーン》。


 《クリスタル・シャドウクローク》。


 今の隠密装備は好き。


 でも。


「別の装備があってもいいよね」


 ふと。


 自分の職業(ジョブ)を思い出した。


━━━━━━━━━━


《錬金術師》


《勇者》


━━━━━━━━━━


「勇者……」


 今の私は。


 黒い戦闘服。


 黒い外套。


 黒い布マスク。


 黒銀色の弓。


「全然勇者っぽくない」


 これはこれで好き。


 でも。


 白銀色のミスリル。


 青い魔力光。


 白い服。


「……勇者っぽい装備」


 頭の中に形が浮かんでくる。


 白銀の聖弓。


 二振りの聖剣。


 白い騎士服。


 青いライン。


 ミスリルの胸甲。


 左腕を覆う白銀の籠手。


 脚を守るミスリルの長脚甲。


 そして。


「白い布マスク」


 そこは外さない。


「……いいかも」


 かなり。


 いい。


 私は立ち上がった。


「明日作ろう」


「ウォン?」


「新装備」


 黒い装備とはまったく違う。


 正面戦闘用。


 高火力。


 勇者らしい装備。


「それとスキルもいっぱい取る」


 ノルンが尻尾を動かす。


「楽しみになってきた」


 明日は。


 錬金術師として。


 勇者として。


 今までとは少し違う私を作ってみようと思う。

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