22.
ぐぅぅぅ。
腹の虫は、いつだって空気を読まない。
刑事からカツ丼を連想した私のお腹は、欲求に抗えなかった。
大丈夫。私はいま、14才の食べ盛りの少年。だから恥ずかしくない。
「ははは。続きは食べながらだな」
明るく笑いとばしてくれたレグラスさんは、絶対にモテ男だと思いました。
「あの、でも、この格好では...」
自分の姿を見下ろす。
改めて、悲惨だった。
どろどろのジーンズとスニーカー、染みだらけのパーカー。きっと髪の毛も、ホコリと汗で酷いことになっている。
倒れる前だったら、ガツガツと食事にまっしぐらだっただろう。でも、眠ってすっきりした頭は理性が働いた。
「よし、ちゃちゃっとシャワー浴びてこい」
シャワーという言葉に胸が踊る。
すると、
「はっ...俺が!案内します...ので」
フリーズしていたはずのキースさんが再起動した。
レグラスさんに掴みかかる勢いで主張している。
「ありがとうございます。あの、図々しいのですが、簡単な着替えも貸していただけますか...?」
「わかってるよ。子どもが遠慮すんなって」
本当にいい男だ。レグラスさん。
***
キースさんと目が合わない。
部屋を出て、二人で廊下を歩いている。
キースさんが少し前を歩いているので、私からはほぼ背中しか見えない。
それにしても、美形は後ろ姿まで洗練されている。
シャワー室への案内を買って出てくれた彼だが、無言だし目が合わないし、見えない壁を感じる。
まだ、不審者として警戒されているのかもしれない。
レグラスさんだって、私を怪しんでいないわけじゃないのは分かってる。
歩いていると、ちくちくと視線を感じた。
見られている。
同じ制服を着た人達が、遠目から観察するようにこちらを見ていた。
無視するのもどうかと思い、ぺこりと頭を下げる。
お邪魔しています。
すると、ビクッと固まったり、怪訝そうにしたり、歓迎されていない雰囲気がひしひしとつたわってきた。
私、これから、どうなるんだろうなぁ。




