12.
...長かった。本当に、長かった。
目の前に、道。
アスファルトじゃないけど、ちゃんと踏み固められて整えられた道だ。
「...やった」
声は、震えていた。
よくやった、私。がんばった。
おそるおそる道の真ん中に立ち、ぐっと拳を握る。
じっくり余韻を噛み締めた後、道の先に意識を向けた。
人だ、人の声。
喧騒が聞こえる。
あれ...なんか、急に緊張してきた。
どうしよう。人がいるよ。
なんて説明すればいいかな。
道に迷ってしまって、かな。
うん、間違ってない。
おもむろに、フードをかぶる。
不審者感が強まったけど、とても落ち着く。
あ、そうだ。短剣もしまっておこう。
敵意はありませんよ、という意思表示だ。
木の皮で適当に作った鞘もどきに剣をしまう。
パンツの後ろポケットにぎゅっと差し込んだ。
とりあえず行ってみようか。
どんな人達がいるのか分からないから、
そーっと、そーっと。
賑やかな声を目指し歩いていく。
お祭りでもやってんのかなぁと呑気に考えていたが、すぐにそれが緊迫感に包まれたものだと気づく。
叫び声や怒号が聞こえてきて、胸が騒ぐ。
ほっとしたばかりなのに...
少し開けた場所に、それはいた。
牛みたいな、獣。
剣を構えた人達が、それを取り囲むようにしている。どちらが先に動くか。空気が張り詰めてる。
ふいに、視界の端で何かが動いた。
「...ん?」
それが何か理解して、私は衝動的に飛び出した。
***
「借ります」
走り抜けながら、その辺に立っていた人から剣を拝借した。
「なっ、あ、...おい!」
抗議の声に応えている時間はない。




