13.side ?
「なっ、あ、...おい!」
剣を奪われ、慌てる男。
颯爽と走り抜けた小さな背中。
子ども...?
「ちっ、あの馬鹿!」
団長の悪態が聞こえる。
俺も内心で同意する。
剣を奪われるなんて、騎士として有り得ないだろう。
魔獣の出現。しかも、大型。
知らせを受けてすぐ駆けつけると、牛型の大型魔獣が暴れていた。街に近づくことはほとんどないはずだ。いったいなぜ。
指示を出し、住民は避難させた。
魔獣を取り囲むように隊員を配置する。新人の隊員は後方へ配置した。そいつが、子どもに剣を奪われ狼狽していた。情けない。
俺は、魔獣とは別方向へ駆けていった背中を目で追った。そして、その先に見た光景に驚愕する。
「っ...!」
幼子がいた。
状況が呑み込めないのか、きょとんと佇んでいる。
とっさに魔獣に目を戻す。嫌な予感がした。
魔獣がその身を低く落とす。
強靭な脚力。この魔獣は、跳躍に優れている。
「っ...止めろ!行かせるな!!」
とっさに叫んだが、動けた者はいなかった。
一瞬で隊員たちの頭を飛び越えた魔獣。
風を巻き上げ、空を翔けるように跳ぶ。
やめろ、やめてくれ。
最悪の想像か頭に浮かぶ。
間に合わないと分かっていて、追いかける。
――どんっっ
大地を震わせ着地した魔獣は、まるで嘲笑うかのように牙を見せ、凶暴な前脚を幼子に向けて振り上げる。
そこに、黒い影が、飛び込んだ。




