12.嵐の夜に
12.When the Night is Cold
どうしても目が冴えてしまって、今夜は少しも眠ることが出来そうになかった。
それは集落からあの洞穴へと行って帰るだけで相当に体力を消耗し、午後につい長い昼寝を決め込んでしまったせいではなかった。
はっきり言って、疲労の程度は尋常ではなかったので、まだいくらでも寝ていられそうだった。あいつは近所だって言うけれど、もう筋肉痛がやばい。
まして、昼に家に戻ってきてみれば、外から石を投げ入れられ、窓ガラスが一枚割れてしまっていて、そこから吹き込む雨風が煩わしいからでもなかった。
「…。」
Fenrirのことばかりが頭を過った。
今日の彼の様子や、彼が話してくれたこと、話せないと言ったことを思い返しては、整理がつかずに頭を悩ませている。
彼が言及したように、人から見た狼の生き方があまりにも異質であったからだろうか。
本当にそうだろうか。
俺はFenrirに対して不安な感情を抱いていた。
…だが、今眠れないのは、それでは説明のつかない、妙な胸騒ぎがしたからだ。
当てになるのかわからない俺の直感を、自分でもおかしいと思うのだが…。
”Fenirirは死んでしまうのではないか”と危惧している。
訳の分からない心配だった。きっと彼に話せば鼻で笑うだろう。
お前が心配せずとも、死にはせん。だったか、忘れてしまった。
何を考えているんだろう、俺は…。
家中に響く雨の音だけでも、今夜は土砂降りであることがわかった。
この時期だから、さぞかし冷たいだろう。窓も開いているせいで、布団をひっかぶっていても寒い。
今、何時ぐらいだろうか。真っ暗だから検討もつかない。
「…。」
外套は、どこにかけただろう。




