3・混乱
ログインすると1万人は入れそうな広場が広がっていた。広場は石畳で真ん中には転移ポータルと呼ばれる階層を移動できる物が建っていて、存在感を放っていた。
「すごいな、本当に感覚がリアルだな!」
シオンは手を握ったり、足元の石畳を触ってみるが、現実のような質感があった。
「風も太陽のあったかさも感じるなんて、ゲームじゃないみたいだな」
先にログインしてきた人たちが、パーティーを誘ったりしたり、商人NPCの物売りからアイテムを買ったり、歓喜しているやつがいたりして、みんなもLMO楽しみだったんだろうなー。俺も負けてられないな。
モンスターが出てくるのは、広場から東西南北に各エリアがあって、弱さも東西南北の順になっている。
シオンはその中で東のエリアに行こうとした。しかし、なぜかNPCの声しか聴こえなくなり、広場が静まり返っていることに気付いた。
「あれ!?どうしたん…」
シオンが振り向こうとした時に、ポーンと機械音が聞こえてきた。
システムメニューを開いて見ると、メール未読1となっていた。
未読のメールを開いてみると…
メール・運営からのお知らせ〈GM〉
この度LMOに置いて、よりリアルさを求めるためにデスゲームなるものを実行しようと思う。
デスゲームでは、LMOのプレイヤーが死ぬことで強制ログアウトされ、現実世界での死が
待っているといったものだ。
もちろんデスゲーム中はログアウトできない。ログアウトしたければ、第10階層にあるダンジョンを全てクリアしたらいい。我々は干渉は一切しない。
君たちの脳内電子測定機は、時間を加速させているから、50年かけてゆっくり攻略しても大丈夫だ。頑張りたまえ。
「は?デスゲーム?まじかよ」
静まり返っていた広場は、一呼吸置いて騒がしくなっていった。
「おい!GMここから出しやがれ!!」
「ふざけるな!!会社はどうなる!!」
「いやだ、いやだ、ここから出してぇー」
さっきまでの楽しそうな雰囲気が消し飛び、
今では、パニックになっている人達で広場は溢れかえっていた。
「こんな時こそ冷静にならなくちゃ」
まずは状況の確認だな。LMOのゲームいや、もうゲームだと思わない方がいいな。LMOの世界には、モンスター出現制限、アイテム制限、クエスト制限、空腹度があるってβテスターが掲示板に載せてたな。
つまり、武器や回復アイテムが買えなくなるかもしれないし、簡単なクエストや弱い敵が狩り尽くされたりして、お金が手に入らなくなるから、状態・空腹になって弱いモンスターすら倒せなくなるバットステータスがついてしまい、負の連鎖になる可能性もあるな。
シオンはパニックになっている人達を尻目に
、装備とアイテムの確認をしてみた。
装備…ただの服上、ただの服下
アイテム…初心者ポーション×5、初心者マジックポーション×5 、1000D
たったこれだけか、早く武器を買わないといけないな。ってことでβテスターが情報をあげていた武器屋にダッシュで向かった。
武器屋には何人かβテスターぽいのがいて、先に武器を選んでいた。そんな中、武器屋のおっちゃんに話しかけた。
「すいません!武器を買いたいんですけどー」
「おう!何が欲しいんだ?」
「ナイフとかありますか?」
「それならこっちの箱に入ってるやつが、一本300Dだ!」
武器屋のおっちゃんが指した箱の中から、良さそうなナイフを2本選んで購入した。
鉄のナイフ…筋力+5、装備条件・耐久力2以上
鉄のナイフ…筋力+6、装備条件・耐久力2以上
ナイフを購入したら情報が入ってきた、LMOでは街の中にいると自分の所有するアイテムの簡単な詳細が表示されるみたいだ。街の外では、鑑定とかのスキルが必要になってくる。
回復アイテムは俺の回復スキルでなんとかなるとして、状態異常の薬もいるな。あと、食べ物だな。
薬屋に状態異常の薬を買いに行くと、さっきの武器屋よりも多い人数のプレイヤーたちが薬を買おうとしていた。まだ人数的に待ち時間なく初級解読ポーションと初級麻痺ポーションを一本100Dで一つずつ買うことができたので、そのまま近くにあったパン屋で、ボソボソパンを10個買って200D支払った。
これでシオンのお金は無くなったが、戦いの準備が整ったので、筋力+6ナイフを持って東の狩り場へと急いだ。
名前・シオン
種族・人間
レベル・1
体力・210
魔力・10
筋力・41+6
耐久力・41
速度・1
知力・1
器用・1
運気・1
〈スキル 〉
『狂人化』『痛みの強化』『痛覚の代償』『痛回復』『増血』空き5
〈称号 〉
なし
〈お金 〉
0D
〈装備〉
鉄のナイフ、筋力+6
ただの服上
ただの服下
〈アイテム〉
初心者ポーション×5、初心者マジックポーション×5 、初級解毒ポーション×1、初級麻痺ポーション×1、鉄のナイフ×1、ボソボソパン×10