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マルス適合者~二度死ぬ彼女は雑草の姿をした魔法使い~  作者: しがない草
第七章 真夏のデートプランD

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第64話 夏風に舞う粉結晶

 烈風がなびく頃。ユラは巨大な蜘蛛を目の前にして接戦を行っていた。



(なんとかしてこの蜘蛛を退治しないと……)



 何故これ程までの大きさの蜘蛛が現れたのか。そもそもこの蜘蛛を倒せば汽車は止まるのか。様々な疑問が浮かんだがユラは気にせず次の攻撃に入る。足に刃物。身体に投げ刃。やれるだけの事はやった。だがどの攻撃も素早い反応でかわされビクともしない。現時点で唯一効いたであろう攻撃は背中に刺した刃物のみだった。



(この蜘蛛見た目によらず結構素早いのよね)



 今度は自身で作り上げた剣を持ち、構えると蜘蛛に向かい立ち向かう。だがやはり相手の方が俊敏で。足を切り落とそうにも即座に糸を出され包まれかわされてしまう始末。どうしたものか。そう考えながら剣に絡まれた糸を解くために悪戦苦闘していると、蜘蛛がヒョイっと糸を投げ出しユラを線路に突き落とそうとする。



「まずい!?このままだと!」



 蜘蛛の予想外の動きに思わず口に出すユラ。するとユラが咄嗟に呪文を唱え、線路側に投げ出されないようにする。



「祝福ノ樹木!《アビエス・フェルマ》」



 そう唱えるとユラは再び蜘蛛の糸に魔力の結晶が張り付くよう魔法を出す。これで大丈夫だ。ユラがそう思いながら汽車の上に登ったのもつかの間。今度はその糸とは違う別の糸を噴射させ、ブンブンと荒っぽく振り回しユラを叩きつけようとする。



「本当この蜘蛛攻撃パターンがシンプルな割に多彩よね」



 ユラがそう言うと蜘蛛が挑発に乗るかのようにさらに糸を投げ出しブンブンと床を叩きつける。それに対しユラがジャンプしてかわすとユラはある事を考える。この蜘蛛に勝てる戦略。ティグリスのテントから帰った後に起きたあの時の戦い方はダメだ。ここは汽車の上だから迂闊に変身を解けないし、解いたとしても風圧でバランスを崩してしまう。では他の戦い方はないか。おそらくエルなら上手い事倒せるかもしれないのに。そう思うとユラは首を横に振り思い直す。ダメだ。今彼は線路作りの真っ最中なんだと。皆を事故に巻き込まないために彼も必死なんだと。そう言い聞かせるとユラはある事を思いつく。先程投げて背中に刺さった剣。エルならアレを使うのではないだろうか。ユラがそう思うと再び態勢を整え呪文を唱える準備をする。そしてイメトレが終わるとそのままイメージどおりに事が運ぶよう呪文を唱え始めた。



「私はエルのように器用じゃない……だけどそれでも……あなたを全力で倒す!……妖精の輪!《ピクサリング》」



 すると背中に刺さった刃物から魔力の結晶が生えだし、蜘蛛の身体を包み込んだ。そしてしばらくすると全体まで行き渡り最終的には徐々に亀裂が入り、蜘蛛もろとも粉々になって消えた。それはまるでエルの魔法のようで。粉々になった結晶が突風と共に消えていく。教え込まれた時間がここぞという時に発揮されたような気がして。ユラは心の奥底で歓喜の歌を歌った。



 ◆ ◇ ◇



「お、終わった……」



 戦闘が無事終わるとゴロンと汽車の上で寝転がる。流石に消耗したか。ユラが息を整えながらそう思うと汽車の様子を見張るように辺りを見渡す。おかしい。巨大な蜘蛛を倒したのに汽車が止まる気配が感じられない。そうユラが思うと汽車の下を覗こうと最後尾まで向かう。すると黒い複数の気配がユラを襲った。



(なんだろうこの謎の気配)



 その謎の気配を払うように最後尾まで突き進むと段々とおぞましい気配が近づいてくる。よく分からない怖い何か。その正体から逃れるようにユラは颯爽と走り去った。


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